| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

シルクでなくミルク

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
次ページ > 目次
 

第二章

「本当に」
「そうね、ただ見た目だとね」
 ここで桜花はその大きな目をはっきりと開いて言った。
「別にね」
「シルクと変わらないわね」
「全くね」
「けれどこれがね」
「シルクじゃないのね」
「嘘みたいよ」
 桃花はそのドレスを見つつ言った。
「これが牛乳で造られてるなんで」
「あれでね」
「着心地いいわよ」
「そうなの」
「私としてはシルクよりもね」
「そんなにいいのね」
「ええ、だからお姉ちゃんもね」
 次に式を迎える桜花もというのだ。
「このドレス着てね」
「そうするわね」
「一生の思い出になるわね」  
 桃花は笑ってこうも言った。
「牛乳で造ったウェディングドレス着て結婚式なんて」
「そうよね、昔じゃ考えられないことよね」
「それでシルクと違って安いから」
「牛乳から造るとね」
「それは安いわ」
「普通に売ってるしね」
 牛乳はというのだ。
「だから安いわね」
「そうよね、それじゃあね」
「そのドレス着て」
「今からね」
「一生の晴れ舞台に出るのね」
「そうするわ」
 姉にウェディングドレス姿で出席した、そうしてだった。
 桃花は人生で最高の日を過ごした、その後で桜花も。結婚式を終えた二人はその後で姉妹で話した。
「贅沢でなくてね」
「お金もその分節約出来て」
「それで着心地いいならね」
「もう最高よね」
「シルクじゃなくてもいいわね」
「ウエディングドレスは」
「牛乳でも」 
 それで造ったものでもというのだ。
「充分以上に素敵よ」
「本当にそうよね」
 姉妹であの時のことを思い出しながら話した、それは二人にとって最高の思い出となった。純白のウェディングドレス牛乳で造ったそれを着たことは。


シルクでなくミルク   完


                 2021・10・22 
次ページ > 目次
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧