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ジェルマ王国の末っ子は海軍大将

作者:蒼たん
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第二章 青年期
  第八十六話

 クロコダイル討伐から早半年が経ち、17歳となったゴジと第二部隊はアラバスタ王国の支援の元で海沿いの町ナノハナを拠点として活動していたが、バロックワークスが無事に壊滅されて第二部隊はそのままアラバスタ王国を離れて別の任務に向かうことになった。
 

「“黒麒麟”ゴジ中将、本当に国を救ってくれてありがとう。」


 コブラ王は王女ビビ、護衛軍副官ペルの3人がナノハナの港でゴジとの別れを惜しんでいた。

 ナノハナの港には他にも大勢のアラバスタ王国国民が詰めかけており、そのほとんどの人は手に黒い麒麟の置物を持ってゴジ達を見守っている。

 ゴジの“黒麒麟”の名が公表されるな否や、世界各国で自宅にある麒麟の置物を黒く塗装する事がブームとなり、さらに黒い麒麟の置物が飛ぶように売れていたという。


「コブラ王達も長旅になる身体には気を付けて欲しい。ステューシー、後を任せたよ。」


 今回、第二部隊の軍艦に乗り込むのはコブラ達でゴジは見送る側だった。


「えぇ。ネフェルタリ王家の世界会議(レヴェリー)会場への護衛は任せなさい。ゴジ君もしっかりね。」


 バロックワークスを壊滅したジェガート第二部隊に与えられた新しい任務は4年に一度“聖地”マリージョアに世界政府加盟国の王族が集まって話し合いが行われる世界会議(レヴェリー)に参加するネフェルタリ家の護衛であった。


「ステューシーちゃん、あたしがわがまま言ってごめんなさいね。」

「いえ、ギオン中将。ゴジ君をよろしくお願いします。」


 そして今この港には海軍の軍艦が二隻停泊していた。

 一つは当然ながら第二部隊の軍艦。もう一つはギオン率いるジェガート第一部隊の軍艦であり、ネフェルタリ家の護衛を第二部隊が担い、ゴジと第一部隊は別の任務に向かう予定なのだ。

 元々ネフェルタリ家の護衛はギオン率いる第一部隊に与えられたもので、第二部隊は五老星から与えられた王下七武海視察任務の為にアラバスタ王国から比較的近い場所をナワバリとする王下七武海の視察に向かう予定であったが数日前のこと──


『ゴジちゃん、お願いだよ。あの男の視察にはあたしを連れてって欲しいんだ。』


 ギオンは世界会議(レヴェリー)へ参加するネフェルタリ家のマリージョアへの護衛任務を与えられてアラバスタ王国に到着するや否や、ゴジに対して両手を両膝を付けて頭を下げてわがままを言った。


『ギオンさん、どうした!?頭を上げてよ。コブラ王達の護衛のためにこの国へ来たんだよね?』

『だから……今回だけは任務を交換して欲しいんだよ!!』


 ギオンのあまりの剣幕にゴジはステューシーやカリファと顔を合わせて面食らう。


『ギオン中将、王下七武海の視察は五老星よりゴジ君に直接与えられた勅命ですので、ゴジ君が必ず視察に行かなくてはなりません。』

『ふぅ……なら、ゴジ君を除く私達第二部隊でネフェルタリ家の護衛任務を引き受けましょう。ゴジ君はギオン中将率いる第一部隊に乗って七武海の視察に行ってちょうだい。』

『ん〜……そうですね。それしかないようですね。』


 切羽詰まった様子のギオンを見兼ねて、ステューシーが助け舟を出すとカリファもそれを了承した。


『ステューシーちゃん、カリファちゃん……二人ともありがとう。』


 ギオンはそのままの状態で再度深く頭を下げて謝辞を述べて現在に至るのだ。


「クロコダイルの野望を未然に防ぐことが出来て本当によかった。」


 ゴジは再度コブラと固く握手を交わした後、彼らの言葉は拡声器によりアラバスタ王国中に伝えられており、軍艦に乗り込むコブラを見送るゴジにむけてアラバスタ王国民は盛大な歓声をあげる。


「「「うおおおおぉぉぉぉぉ!!」」」


 コブラが無事に乗船したことで騒ぎが収まり掛けた時、ビビの声に国中が静まりかえる。


「ゴジさん、お別れなの?」


 14歳になった王女ビビが自分のスカートの裾を両手でギュッと握って目に涙を浮かべた上目遣いでゴジを睨んでいる。

 彼女はこの国の真の英雄となったゴジによく懐いており、それこそ四六時中ゴジの後を着いて回るほどで、彼の公務以外は常にその隣に彼女がいたほどであった。

 さらにビビの言葉はアラバスタ王国民の心の内を代弁していると言っても過言ではなく、先程まで盛り上がっていた国民達もゴジとビビとの別れに涙している。


「ビビちゃん、可愛い顔が台無しだよ。俺は少し寄り道してからマリンフォードに帰るだけだから先に行って待っててくれるかい?マリンフォードの町を案内してあげるよ!」


 ゴジは膝を付いてビビの頭を撫でながら指で彼女の涙を優しく拭う。


「ほんと!?約束よ!」

「あぁ。約束だ!」


 ゴジとビビは互いの右手の小指を絡ませてあって指切りをして約束を交わしてから軍艦に乗り込むビビを見送るゴジをアラバスタの王国民はコブラの時と違って二人の別れを微笑ましく静かに見守っていた。

 最後にビビと入れ替わるようにアラバスタの英雄たるゴジの前に立つアラバスタの守護神ペルの別れをアラバスタ王国民は固唾を呑んで見守る。


「ペル!」


 ゴジがペルの名前を呼びながら右手をあげると、ペルも右手もあげる。

 互いの掌がぶつかり合ってパンッという小気味よい音を鳴らしながら、互いに反転してペルはコブラ達の待つ第二部隊の軍艦へ、ゴジは第一部隊の軍艦へ乗り込んでいく。
 

「「「えっ……!!?」」」


 ゴジがアラバスタ王国を救った経緯はアラバスタ王国民全てが知っており、ゴジとペルが友誼を結んだことも知っているので、友との別れがあまりにも短調なものであった事に驚くが、二人にとってはそれで充分だった。


「「出航!!」」


 ペルとゴジがそれぞれの船に乗り込んだ事を確認すると互いの船の責任者であるステューシーとギオンが出航を告げると軍艦が動き出す。


「本当にありがとう!!」

「アラバスタの英雄、万歳!!」

「コブラ王、ビビ王女ー、行ってらっしゃい!!」


 二隻の軍艦が同時に動き出したのを見て、呆気にとられていたアラバスタ王国民達は進路を別々にする軍艦が見えなくなるまで見送っていた。


 ◇


 数日後、ギオン率いるジェガート第一部隊が“魔の三角地帯(フロリアントライアングル)”に入る。


「ゴジちゃん、無理言って悪いね。」

「まぁ、よく考えたら長期間バロックワークスの壊滅作戦に従事してくれた第二部隊の皆を休ませたかったから助かったよ。でも、ギオンさんが王下七武海”影の支配者”ゲッコー・モリアに用があったとは知らなかったな。」


 ゴジはマリンフォードに帰る前にアラバスタ王国から近くにある“魔の三角地帯(フロリアントライアングル)”をナワバリとする王下七武海”影の支配者”ゲッコー・モリアの視察に赴いた。


「ごめんね。理由は後で必ず話すからさ。まだ聞かないでいてくれると助かる。あたしもまだ半信半疑なんだ。」


 ゴジは切羽詰まった様子のギオンを見て理由を問い詰める気にはならなかった。


「無理しなくていいさ。でも、ここからモリアのいるスリラーバークへどうやって行くんだい?アイン姉ちゃんの見聞色の覇気かな?」


 真昼間にも関わらず右も左も分からぬ深い霧がかかって暗闇の支配するこの海域において普通に進んで王下七武海“影の支配者”ゲッコー・モリアの待つスリラーバークに到着する方法は“運”に任せるしかない。


「ふふっ。うちにはもっと確実に辿り着く方法があるよ。」

「バカラちゃん、案内頼むよ。ここではあんたの”運”に頼らせてもらうよ。」


 ギオンが運気を操るバカラの力を借りるのだ。


「任せて下さい。」


 バカラはチラリとゴジを見て意気込む。

 とうとう自分の力を憧れの人に見せるチャンスが来たのだ。

 魔の三角地帯(フロリアントライアングル)”は暗闇に包まれるため、この海域に足を踏み入れると迷ってしまうので、目的地であるスリラーバークにも辿り着くのは困難であるが、この船には“豪運”バカラがいる。

 彼女は甲板に立ち、背中に背負った長剣を抜くと切っ先を甲板に付け、剣の柄をクルクルと駒のように剣を回した。


「運気解放……“剣倒し”!」


 剣がクルクルと回りながら、カランという小気味よい音を立てて、その場に剣が転がった。

 バカラは自信満々に倒れた剣の柄が向いている方向を指差す。


「よし、スリラーバークはあっちです。」

「では、バカラちゃんの示した2時の方向に全速で進むわよ!」

「「「はっ!」」」


 ギオンがバカラの指差す方向に進むように指示を出すと第一部隊は一切疑うことなくその方向に船を向けた。


「なるほど……もしかしてバカラちゃんが剣を使ってるとこ見たことないけど、剣ってこの為だけにあるのか?」


 ゴジはバカラの頼もしすぎる能力を見て楽しそうに笑った。


「この剣は海楼石で出来てるから戦いでもたまに使います。投げると運良く敵に当たるのですよ!!」

「わっはっはっは!…それは是非見てみたいな!」


 ゴジは剣を振るではなく、投げるために持っているバカラがおかしくなり、声を張り上げて笑った。

 よく道に迷った人が木の棒を立てて倒れた方向に進むと言う話を聞いたことがあるが、バカラのやったことはまさにそれである。

 ただ超人(パラミシア)系悪魔の実ラキラキの実の能力者である彼女が同じことをするとその方向は下手をすれば記録指針(ログポース)の指針以上に正確であることを全員知っているのだ。 
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