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星河の覇皇

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第七十九部第一章 気候と災害その三十

「そのリア王を批判して忠告する」
「そうした真剣な人物でしたね」
「笑っている様に見えて」
「そうだった、そして二十一世紀初頭の我が国の政界の道化師は」
 そう言われていた人物はというと。
「わざとだらしない恰好をしていた」
「それで注意されてですね」
「とぼけた振りをしていた」
「しかしそれは振りだけで」
「実は違いましたね」
「これは悪い意味での道化師だった」
 メイクの下に素顔を隠したそれだったというのだ。
「それでテレビの前の大衆の人気を手に入れていた」
「とぼけた振りで注目を浴び」
「マスコミの世界にいてですね」
「お茶の間の人気者となっていましたね」
「そうして政治家として活動していたが」
 それがというのだ。
「最初はジャーナリストだったがな」
「その頃に、でしたね」
「多くの問題を起こしていましたね」
「その実は」
「記事の改竄にだ」
 言うまでもなくジャーナリストの職業倫理では最も否定されるべき事柄の一つである。
「そしてだ」
「そのうえで、でしたね」
「さらにでしたね」
「愛人も中絶させていた」
「不倫だけでなく」
「倫理観のなさは明らかだった」
 お茶の間の人気者の正体、それはそうした輩だったというのだ。
「だがとぼけた振りをしてだ」
「人気を集め」
「そして政界においてもでしたね」
「私利私欲の為に動いていましたね」
「この道化師には公の心なぞなかった」
 全否定を以てだ、ギルフォードは言い切った。
「あるのはだ」
「政界でどう都合よく生きるか」
「名声と権力を得るか」
「それだけでしたね」
「金銭はともかくとしてだ」
 その疑惑は置いておいてというのだ。
「衆愚政治によく出る」
「まさにですね」
「そうした輩でしたね」
「あの道化師は」
「そうだった、そしてEU離脱を主張したが」 
 オックスフォードの後輩でもあった当時の首相に反発する形でだ。
「この時は本気で言っていなかった」
「離脱は否決されると思っていましたね」
「その時の国民投票で」
「そうなると思っていましたね」
「残留となるが名声は残せる」
 離脱という自分の意見を述べたことによりだ。
「そうなるからだ」
「離脱を主張しましたね」
「以前から懐疑派でしたが」
「同じ政党の同志で大学時代から馴染みである首相を裏切り」
「そうしましたね」
「そして道化師に騙されたテレビしか観ない当時の老人達がだ」
 ここでギルフォードは言葉の中にリア王ですら道化の言いたいこと、その真意はわかっていたがと含めた。 
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