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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第三百三十八話 教会の人達その十二

「後輩の彼がいたなら二人でもいいな」
「あの子がいたら?」
「千里も神殿の留守番も任せられた」
「あの子だと心配じゃないの」
「ははは、大丈夫だよ」
 娘さんに笑って言われた。
「あの子は」
「私はそうは思わないけれど」
「男の子なら一人でも大丈夫だしな」
 一人で留守番もをしてもというのだ。
「だからな」
「それでなの」
「何といってもな、千里も守ってくれる」
「あんな調子のいい子が」
「大丈夫だ」
 そうだというのだ。
「本当にな」
「そうなの」
「だからな」 
 教会長さんは娘さんにさらに話した。
「あの子がまたうちに来たら」
「私と一緒になの」
「教会の留守番をしてもらってもいいな」
「あの子のこと随分頼りにしてるのね」
「ああ、これだとね」
 香織さんは娘さんと教会長さんのやり取りを聞いて理解した顔になって言った。
「確かにね」
「わかるよね」
「大変ね」
「周りは皆そう言ってるよ」
「そういうことね」
「ははは、けれどまだまだ時間があるからね」 
 教会長さんも笑って述べた。
「僕は落ち着いているよ」
「そうですか」
「うん、ただね」
「ただ?」
「千里はちょっと仕込むものを忘れたよ」 
 娘さんを見て僕達に話してくれた。
「どうもね」
「そうしたことをですか」
「真面目な娘になってくれたけれど」
 それでもというのだ。
「そうしたことがね」
「どうにもですか」
「そうなったね」 
 こう僕に話してくれた。
「そこが失敗だったね」
「失敗って何よ」
 その娘さんも言われた。
「一体」
「そこでわからないことなんだけれどな」
「ここで?」
「そうだよ」 
 まさにというのだ。
「まあどうにかなるけれどね」
「あの、それでなんですが」 
 香織さんがここで言った。
「二十八日のお餅つきは」
「あのお餅だね」
「この教会でもですか」
「ついたよ」
「そうですか」
「大教会には下の娘二人が行ったよ」
 そちらにはというのだ。
「信者さんと一緒にね」
「八尾までですか」
「大阪のね」
「それでそちらで、ですね」
「ひのきしんをさせてもらったよ」 
 漢字では『日の寄進』と書くらしい、簡単に言うとボランティアだ。 
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