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ジェルマ王国の末っ子は海軍大将

作者:蒼たん
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第二章 青年期
  第七十二話

 ~1年前~


 この日、弱冠15歳で大佐に昇進したゴジは報奨として丸一日の休暇を与えられたので、マリンフォードの街を散策していた。


「いきなり休暇って言ってもな……。何すりゃいいんだ?」


 つるは自分から休暇を取得しないゴジに無理やり休暇を与えたが、突然休暇を与えられた本人は途方に暮れていた。


「あっ……!?あんた、“麒麟児”ゴジ大佐だよね?」


 ゴジはサングラスと帽子で変装していたが、自分の正体に気付いた一人の女性に背後から声を掛けられた。
 

「しぃー…って、おぉぉぉ!!めっちゃ美女ぉ!?」


 ゴジは今日は休みで街中で騒ぎを起こさないように、振り返って声を掛けてきた女性に大きな声を出さないようにお願いしようとしたが、その女性は桃色の長い髪と勝気な表情が魅力的なスタイル抜群の体を強調するへそが見える半袖のTシャツに健康的な太腿が丸出しのデニムのショートパンツを履いた10代後半の超絶美女だったので、一瞬でゴジの目がハートマークになる。


「えへへっ……実はあたし、大佐にお願いがあるんだよ!」


 その美女はゴジの腕に抱きついて、その腕を豊満な胸の谷間で挟みながら、上目遣いでお願いする。
 

「おぉぉっ凄いボリューム!!何でも俺に話してみな!!」


 ゴジは鼻の下を伸ばしながら、瞳をハートにしているのを見て、美女は自分の思惑が成功した事を知り本題に入ろうとする。

 そう、彼女はゴジを“女好き”と知って近づいたのだが、元々男勝りな性格な彼女が色仕掛けをするほど追い込まれているのだ。
 

「大佐、あたしのパパを助けてよ。助けてくれたらあたし…本当に……何だってするからさぁ……本当だよ…。」


 拙い色仕掛けもゴジには効果は抜群なはずだが、ゴジは彼女の憂いを帯びた目を見て助けを求める彼女の想いは本物だとすぐに気付くとすぐに真顔に戻って彼女の頭を撫でる。

 普段のゴジは基本エロい事を考えて本能に従って生きているが、訓練中や人を助ける時にはエロさが抜ける事がある。

 
「無理はしなくていいよ。君のお父さんは俺が必ず助けてみせるから詳しく話してくれ。」


 美女はそんなゴジの変わりように目を丸くしながらも本当に心の底から助けを求めていた彼女は目を潤ませる。

 ゴジは彼女の頭を撫でながら話を促すと、ポツポツと事情を話し出す。


「あたしの名前はジュエリー・ボニー。王下七武海バーソロミュー・くまの娘でパパの足枷としてマリンフォードで生活させられている。」

「君は“暴君”の娘だったのか?ぜんぜん似てないな。」


 身長7m近い巨体とその名の通り熊のような体型のくまと身長170弱でモデル顔負けの体型のボニーでは似てる所を探す方が難しい。

 
「あたしはママ似なのよ。ジュエリーって姓もママのなの。」

「ほぉ……それで足枷ってのはどういう意味だい?」


 バーソロミュー・くまは基本的に無口で最低限しか話さず、“暴君”の二つ名に似合わずに花や小動物を愛する優しい男であることはゴジも知っている。

 警戒心の塊ともいえる小鳥たちが彼の肩に止まってるのを見たこともあり、何故こんな男が海賊をしているのか疑問に思ったことさえある。


「パパは元々南の海(サウスブルー)にあるソルベ王国元国王で本名はポートガス・D・くまってんだ。」

「聞いた事ある。ソルベ王国のポートガス家……何年か前に突然国王が弟に王位を譲って王座を退いたんだよな。まさか“暴君”が先代の国王だったのか!?」


 ゴジは王子としてジェルマ王国にいる間に聞いた王族事情を思い出していたが、ボニーはゴジがそんな王族の事情を知ってる事に驚きながらも話を続ける。


「流石“麒麟児”よく知ってるね。あまり大々的には報じてないはずなんだけど、その通りだよ。ソルベ王国は寒い上に土地が痩せて作物もろくに育たなくて貧しくて天上金も準備出来ないから、パパは王位を叔父さんに譲って国を出て、海賊稼業でソルベ王国を影ながら養ってたんだ。」


 天上金とは毎月世界貴族の為に納める貢ぎ金のことであり、これを納めることで世界政府加盟国に名を連ねる事が出来て、海軍や世界政府の守護を受けられるのだ。


「天上金を納めることの出来ない国は加盟国から外されて、海賊や犯罪者の闊歩する無法の国となるからな。くまも必死だったんだな。」


 くまは国や国民、家族を思い、天上金を集めるために超人(パラミシア)系悪魔の実 ニキュニキュの実の肉球人間としての力と、身長7m弱という恵まれた体躯を活かして海賊になる事を決意し、国王を辞して弟に王位を譲った。

 ゴジはそれを国王として“戦争屋”と揶揄されながらも国を潤してきた父の姿と重ねる。


「うん。パパは南の海(サウスブルー)でも特に商船の行き来の激しいバーソロミュー海域をナワバリとして商船や海賊船を襲い積荷を奪ってきたけど、誰も殺してはないはずだよ。」


 さらに国王を辞した時に本国に迷惑は掛けまいとしてポートガスの姓を捨て、娘のボニーには亡き妻の姓ジュエリーを名乗らせた。

 
「なるほど、バーソロミュー海域に皇帝のように君臨したから“暴君”バーソロミュー・くまか……。元々の懸賞金は確か元2億9000万ベリー、偉大なる航路(グランドライン)に入らない海賊にしては破格。相当に暴れたようだな。」


「うん。でもパパに王下七武海の打診が来たから天上金をなしにするって条件で無事に王下七武海になったんだけど、今度ベガパンクの人体改造実験の被検体に選ばれて何故か政府に逆らえないパパもそれを承諾したんだよ!パパが死んぢゃうかもしれない!」


 ボニーは全ての事情を説明してゴジに抱きついて、涙目で縋り付くように助けを求めた。


「人体実験だと……!?王下七武海といえど何故承諾したんだ?そういや……くまは王下七武海で唯一海軍や政府の言いなりで動くと聞いたことがあるが、何が弱みでも握られてんのか?」


 ゴジは人体実験と聞いて目を見開いて怒りを露わにしながら対等な関係であるはずの王下七武海に対する要望とは思えずに訝しむ。


 ◇
 

 これは娘であるボニーも知らないことであるが、くまは国王時代から天上金を巻き上げる世界貴族や政府の在り方を疑問視して革命軍と繋がり、革命軍幹部としての顔を持ち合わせており、革命軍本部に王下七武海として知り得た情報を電伝虫で定期的に報告していた。

 海軍は“暴君”くまが革命軍と繋がりがあることを知った上で本拠地を探るために彼に王下七武海入りの打診をしたので、彼の通話を盗聴、逆探知して革命軍の本拠地が偉大なる航路(グランドライン)にある島のバルディゴにある事を掴んだ。

 しかし、海軍は世界政府からDr.(ドクター)ベガパンクが開発中の平和主義者(パシフィスタ)開発の為、肉体を提供するようにくまを説得するように要請されていたので、くまに革命軍本部を見逃すことを条件に実験体として研究への協力を要請した。


 海軍側

 1 ソルベ王国の天上金免除。

 2 海軍に従順である限り、革命軍本拠地の安全を保障する。

 3 ジュエリー・ボニーのマリンフォード留学中の安全及び留学費用全額の補償する。


 くま側

 1 海軍及び世界政府に対して絶対服従。

 2 Dr.ドクターベガパンクによる人型機動兵器平和主義者パシフィスタ改造のため肉体を提供する。

 3 ジュエリー・ボニーをくまの平和主義者(パシフィスタ)改造完了までの間、マリンフォードへ留学させる。


 これが海軍とくまとの間に交わされた密約であり、娘ボニーを人質として預かった理由は海軍が革命軍本部の場所を知っていることをくまが革命軍に報告しないようにする為で、もし革命軍が本拠地を移すような動きがあればボニーの命はない事を意味する。

 この密約のせいで彼は「王下七武海にして唯一政府の言いなりに動く男」と言われているのだ。


 ◇


 平和主義者(パシフィスタ)とは海軍本部の敷地内に作られた研究所でDr.(ドクター)ベガパンクをリーダーとする技術班が開発中の人型機動兵器のことであるが、既に完成間近にもかかわらず開発が頓挫していると聞いたことがある。


 ───まさか…実の人間を改造して作ってるのか!? 

 
 ゴジはボニーの話を聞いて平和主義者(パシフィスタ)とは『人間を改造して作っている』のではないかと判断し、ベガパンクの研究所のある海軍本部基地をキツく睨む。


 ───ちっ!何が“世界最大の頭脳を持つ男”だ。人の体を弄くり回すだけなら誰でも出来る。


 一から人型機動兵器を作るよりも、元の人間を改造して兵器に作り替えた方が楽なのは想像に容易い。

 海軍の為に数多くの発明をするベガパンクに敬意を払っていただけにこの事実はゴジを失望させた。


「ボニー、俺に任せろ! そんなクソみたいな人体実験は俺が止めてやる。」


 ゴジは人体実験を受けた子供を守る為に劇薬を飲んだ()を知っている。

 国民を守る為に愛する我が子に人体実験を施した()を知っている。

 人体実験により命令に逆らえず、いじめられている弟を救けることも出来ない自分の体に涙していた()を知っている。

 だから、何よりもゴジは人体実験という言葉が嫌いだった。

 血統因子の操作(人体実験)で不幸になっていた家族を知るゴジは人を不幸にする人体実験というものが許せない。

 
「うん。ありがとう!」


 目に浮かぶ涙を拭って顔を上げたボニーの笑顔を見ながら、何よりもこの笑顔を守るために必ず助けると誓った。 
 

 
後書き
はい。サラリとまた新キャラですよ。

くまとボニーの関係や背後設定は原作からの作者考察ですので、二次設定として捉えていただれば助かります。 
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