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僕は 彼女の彼氏だったはずなんだ

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6-⑶

 その後、しばらく、美鈴とは会えなかった。僕も、会社に慣れるのが精一杯で、土曜日曜も新しいことを覚えることに追われていて、電話で話すのがやっとだった。

 そんなある日、家に帰って独りで晩御飯を食べていたら、お母さんが

「どう? 今日のは、おいしい?」って、聞いてきた。確かに、少し、味付けが違っていた。

「うん うまいよ おかずも、いつもと違うしなー」

「あっそー いつもより、おいしいの?」

「うーん いつもより、おいしいかな 何か、変えたの?」と、答えると、リビングのほうからお父さんが

「蒼 気のせいじゃぁないか 仕事、慣れなくて、疲れているんだよ」と、横槍を入れてきたが

「あら そう 今まで、私の味で育ててきたのにねー 今日のは、美鈴ちゃんが作ったのよ」

「ゲッ なんで、美鈴なのー いゃ いつものもおいしいよー でも、なんで美鈴が居たんだよ」

「今日ね 美鈴ちゃんを、八瀬に誘ったのよ 釜風呂に入って、きれいになろうと思ってね」

「何で 美鈴と一緒なんだよ」

「あなた達、この頃、デートもしてないでしょ だから、代わりに誘ったのよ 喜んでいたわよ おいしいもの食べて、帰りに美鈴ちゃんに、お洋服と下着も買ってあげたの 可愛いから、何着ても似合うんで、選びがいあるのよ 私、女の子居なかったでしょ だから、そういうの夢だったのよ 美鈴ちゃん お母さんって呼んでくれたのよ 楽しかったわ」

「わざわざ 誘ったの? 美鈴、そんなこと言って無かったけどなぁ」

「あなたに、言うと うるさいからじゃぁない」

「別に そんなこと言わないよ ただ あいつも忙しいから、ゆっくり休みたいだろうなって」

「まだ 若いんだし 色んなとこ行った方が、息抜きになっていいのよ でもね、夕食はうちで作ろうってなってね 蒼に食べて欲しいって、美鈴ちゃんが作ったの いつも、蒼のことを考えているみたいよ 嬉しいでしょ?」

「うん まあな」

「美鈴ちゃんってね お母さんと一緒に買い物行くことなんてなかったんだって だから、河原町を歩いている時もね、腕を組んできて、嬉しくって お母さん って言ってみたかったんだって 私も、あの子を本当の娘みたいに思っているから、嬉しかったわ でもね、あの子、少し痩せすぎなんじゃぁなかな もっと、栄養つけなきゃね お父さんの分と二人分、持って帰ったけどあんまり食べないんだって」

「余計なとこに脂肪が付いたら、それはそれで誰かみたいに心配しなきゃぁならんし、女は大変だよ 蒼 あの子は良いぞー ふたりの明るい、はしゃいでいる声が聞こえてくるしな わしがここで酒飲み始めていると、ちゃちゃってつまみ用意してくれてな お父さんに作っているから、慣れているんだって、言っていたけど、気が利くよ あんなかわいい娘相手に飲めるって、あのお父さん 幸せかもな」と、お父さんが、又、口をはさんできた。

「あらっ 気が利かない、おばさん相手で申し訳ございませんわね」

 僕は、美鈴がふたりに気に入られているんで安心していた。


 
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