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ジェルマ王国の末っ子は海軍大将

作者:蒼たん
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第二章 青年期
  第六十七話

 キャンドルチャンピオンのボクサーグローブのような拳に突き刺さった無数の花が爆発したことによりキャンドルチャンピオンの腕の蝋が砕けてギャルディーノの腕が見えていた。


「なっ……爆発したガネ!?」

「教えてあげるわギャルディーノ。よく言うでしょう?綺麗な花には棘があるってその花は爆発するのよん。たしぎ惜しかったわねぃ♪あたしが手伝ってあげる。」


 ギャルディーノに向けて新体操で使うようなバトンをクルクルと回しながら花形の手裏剣を放った青く長い髪と高い鼻、切れ長の目が特徴のピンクのつなぎを着た女海兵がたしぎの名前を呼びながら勝ち気に微笑んでいた。
 

「ポルチェ軍曹!ありがとうございます。」


 彼女のバトンに仕込まれた花はクナイのような形をしており、クナイの刃の部分が茎で、持ち手の部分に手榴弾が仕込まれているさながら花型の手裏剣である。


「流石Dr.ベガパンク特性の武器ね。小さい花なのに凄い火力だわ。」


 ポルチェは軍曹なので、私服の着用が許されており、ピンクのつなぎのような服を着ている。

 彼女はコアラと同期で訓練所を卒業して僅か1年で軍曹となった俊英であり、訓練所を卒業したばかりのたしぎの教育係である。

 
「ちっ……厄介な!その花を喰らわなければいいだけだガネ?“キャンドルソードマン”!」


 未だに塗装済みの蝋の巨体を纏うギャルディーノは吹き飛ばされたグローブに変わり、両腕から蝋を生み出して手首から先を刃物に変えた。


「その巨体で避けれるといいわねぃ。“キューティーバトン・お花手裏剣”!!」


 ポルチェは右手に持つバトンをクルクルと回すと無数の花形手裏剣が虚空に生み出され、全てがギャルディーノ目掛けて飛んでいく。

 ギャルディーノはその手裏剣に怯むことなく、両腕の刃が上下に来るように両腕を前に出してポルチェ目掛けて走り出す。


「これぞ!キャンドルソードマンの攻防の一体の技“ウインドミル”!!」


 ギャルディーノの両腕がキュルキュルと音を立てながら扇風機の羽のように高速回転して、ポルチェの放った花形の手裏剣を全て弾きながら前へ突き進む。

 さらにこのままギャルディーノが距離を詰めればポルチェはひき肉になるだろう。


「ふふっ……なるほど考えたわね。でも、あんたにいい事を教えてあげるわぁ“剃”!」


 ポルチェはマジシャンのように何も無い所から左手に花形の手裏剣を出現させると同時にその場から消える。


「消えた!?」

「後ろよ。“指銃・生け花”!」


 ポルチェは消えたわけではなく、”剃”でギャルディーノの背後に回り込み、左手に持った花形の手裏剣を指銃の速度でギャルディーノの鎧に生け花の花をいけるように突き刺した。


「このお花は投げるだけじゃなくてナイフとしても使えるのよん。“咲け(フレア)”!!」


 そして後ろに飛んで距離を取りながら左手の中指と親指をパチンっと弾いた。


「ぐはっ!?」


 背中に付き立てた手裏剣を爆発させたことでギャルディーノの体を覆っていた蝋の鎧は衝撃と熱により全身がひび割れて粉々に砕けた。


「たしぎ…今よ!」

「そんなバカなっ!?私の最高美術が粉々に……」


 たしぎはキャンドルソードマンが崩壊して呆然となっているギャルディーノにトドメを刺すべく両手で刀の柄を持って斬り掛かる。


「は…はい!“斬時雨”!」

「えっ!? グハ…ッ!」
 

 ギャルディーノは爆風を斬り裂きながら現れたたしぎに反応出来ずにバッサリと胸を袈裟斬りに斬られた。
 

「ご安心を…峰打ちです!」


 たしぎは振り返ってギャルディーノの意識を確実に奪った事を確認すると、刃を返していた刀を元に戻してから、刀をゆっくりと鞘に納めた。
 

「いやん♪たしぎも早くギオン隊長のように鉄を斬れるようになってねぇ♪」

「しょ……精進します!」
 

 ギャルティーノを倒したポルチェの指導を受けるたしぎを横目で見ながら、逃げる準備をしていたミス・ゴールデンウィークはもう一人の海兵の接近に気づかなかった。


「あらあら、どこ行くのかしら? ミス・ゴールデンウィーク捕まえたわよ。大人しくしなさい。」


 背中にバスターソードを背負った長身の赤く長い髪を持つ褐色の美女が逃げようとしていたミス・ゴールデンウィークの背後から近付いて首根っこを持ち上げた。

 この美女は黒いシックなドレスの上から白い海軍コートを羽織っているので、一目で海軍将校である事が分かる。

 
「捕まるのは嫌だから逃げるわ…カラーズトラップ“なごみの緑”!」


 ミス・ゴールデンウィークは右手で持った筆に、左手で持つパレットにある緑の絵の具をつけて、自分を拘束しているバカラの体に筆を走らせた。


「バカラ中尉!?」


 たしぎがミス・ゴールデンウィークの攻撃を受けたバカラを心配する。


「あらあら…アンラッキーね。この炎天下でその絵の具は乾いてしまったようだわ♪」


 ミス・ゴールデンウィークは絵の具の色で相手に暗示をかけるカラーズトラップの使い手であり、“なごみの緑”を食らった相手は和やかな暗示に掛かり戦闘意欲を失うので、その隙に逃げる算段であった。

 しかし、ミス・ゴールデンウィークの攻撃を受けたはずのバカラと呼ばれた褐色美女は余裕そうに微笑んでいる。
 

「えっ…!?」


 ミス・ゴールデンウィークは目を見開いて、絵の具の付いていない綺麗な馬の毛で出来た筆先とパレットの上にあるカサカサの絵の具を眺めてから肩を落として抵抗を諦めた。


「ラッキー♪何もせずに勝っちゃったわ。」

「おかしい。いつもなら絵の具がこんなに早く乾くことないのに。」


 彼女は絵の具による塗装技術と暗示能力には自信があるも運動能力については普通の子供と変わらないことは自分が一番分かっており、肝心な時に乾いた絵の具を呪った。


 ◇


 その様子を眺めていたのはギオンだけでなく、彼女達から少し離れた岸壁の上で双眼鏡を片手に戦闘を見ている者がいた。


「流石超人(パラミシア)系悪魔の実、ラキラキの実の能力者のバカラね。あの子は素手で触った相手の運気を自在に操ることが出来るから、ミス・ゴールデンウィークを拘束した時に彼女の運気を吸い取っていたのね。」


 バカラの能力で運気を吸われたミス・ゴールデンウィークは“運悪く”パレットの絵の具が乾いていた為、筆に絵の具が付かずに力を発揮出来なかった。
 
 ポルチェとたしぎは得物(武器)を使う戦闘スタイルのため、ゴジのいる第二部隊ではなく第一部隊に入隊しているが、バカラは違う。


「バカラの能力は私の食べた超人(パラミシア)系悪魔の実、モドモドの実の触れた相手の年齢を強制的に12年若返らせる能力よりもさらに強力で相手に触れさえすればどんな強敵にも勝てる強みがあるわ。」
 

 バカラが第一部隊に所属しているのは能力の使い方が似ているジェガート第一部隊副隊長アイン大佐(・・)の元で鍛えた方が良いと判断されたからである。

 アインは元々の高い戦闘技術に加えて3年前に敵船から手に入れたモドモドの実を口にして以来、見聞色の覇気と相性の良い能力のお陰で出世を重ねてきた。


「ポルチェが鉄の硬度を誇る蝋に花形のクナイを突き立てられたのは彼女の投擲術と指銃の技術も然ることながら、武装色の覇気に目覚めつつある証拠。たしぎもギオンさんが認める優秀な剣士だし3人ともこれから益々強くなるわ。」


 バカラ、ポルチェ、たしぎの3人はゴジに憧れてジェガートに入る事を決意した海兵達であり、未だに覇気は使えないまでも3人とも入隊前から海軍将校入りが確実と言われている優秀な実力を持つ海兵達である。

 今回の任務はゴジから任された任務ということで3人とも特に気合いが入っていた。


「全く…ゴジ君も罪な男ね…はぁ……。」


 不測の事態が起きれば、助太刀しようと3人の戦いを見守っていたアインは弟のように可愛がっているゴジを想う3人を見て、ため息を吐きながら双剣を鞘に納めた。


 ◇


 一方のギオンは3人の戦いを見て満足そうに頷いている。
 

「バカラちゃんとポルチェちゃんに足りないのは実践経験のみ。もっとチャンスを与えてあげたいねぇ。でも、たしぎちゃんはまだまだ鍛える必要があるようだね!」


 オフィサーエージェント相手に完封したポルチェとバカラならば、王下七武海拿捕という前代未聞な極秘任務を与えられたゴジの役に立てると太鼓判を押す。


「バロックワークスの完全壊滅まではゴジちゃんの読みでは約半年。ロビンちゃんを仲間に引き込んだのは大正解だね。」


 ギオンはオフィサーエージェントと呼ばれる最高幹部ですら一切警戒心なく指定場所に訪れた事から、ロビンの偽司令を繰り返せば予定通りバロックワークスを壊滅出来ると確信した。


「半年後にゴジちゃんが王下七武海の視察を始めるならこの国から一番近くにいるあの男に違いない。あたしはその男には用がある。視察にはあたしも同行させてもらうわよ……。」


 水平線の先にいるはずの男に思いを馳せるギオンにはどうしても会わなくてはならない王下七武海がいる。

 それは彼女が祖国を離れて海兵となった理由に深く関係するため、これからはじまるクロコダイル達の海底大監獄(インペルダウン)への護送が終われば、次のゴジの任務に同行できるようにつるに嘆願しようと心に決めていた。 
 

 
後書き
次からは場面がガラリと切り替わります。 
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