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ジェルマ王国の末っ子は海軍大将

作者:蒼たん
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第二章 青年期
  第六十六話

 アラバスタ王国ナノハナの町にある海岸の西端にある大岩の前にワノ国の着物を着た黒く長い髪を持つ一人の美女が現れた。


「キャ…ッ!?」


 突如、その美女の足元の岩盤が白く波打つと同時に溶けた蝋のようになって彼女の足首から下を飲み込んで、蝋が鉄のように硬く固まり一瞬で彼女を拘束した。
 

「フハハハハ! 悪く思わないでくれだガネ。名も知らぬ美女よ。」


 大岩の近くにあった一つの岩が白い蝋のように突然崩れると、その中から髪を結って頭頂部を数字の“3”にした髪型で眼鏡を掛けて黄色のスーツを着た優男と、パレットと筆を持った幅広の可愛らしい帽子を被った小学生くらいの少女が現れた。

 それを見た美女は突然現れた2人に驚いた声をあげる。


「貴方達いったいどこから…? それにこれは何なの…足が……動かないわ。私をどうするつもりなの?」
 

 その美女は足を動かそうとするも、両足首まで白い地面に埋まっている為に、動かす事が出来ない。


「フハハハハ…私のモットーは姑息な大犯罪だガネ。それは超人(パラミシア)系悪魔の実、ドルドルの実の能力で作り出したドルドルの蝋。私の蝋は固まると鉄の強度を誇る。もはや逃げることは叶わないガネ。」


 髪型が“3”の男はニヤニヤして、両手を広げて天を仰ぎながら自分の犯罪論を雄弁に語り始める。
 

「私達はMr.3が蝋で作った地面と岩に似せた隠れ家に私が色を塗って周りとソックリにしてバレないように隠れてたの。私達はボスの司令で貴女をここで殺すつもりよ。」

「ミス・ゴールデンウィーク!名前を言うと私がMr.3とバレてしまうガネ!それに作戦の内容を一々説明をする必要はないといつも言ってるガネ!!」


 マイペースに淡々と種明かしをしたミス・ゴールデンウィークと呼ばれたパレットを持った少女に対してMr.3が近寄って怒鳴っているが、彼女は無表情のまま可愛らしく首を横に傾げる。
 

「そう?」


 二人の話を聞いていた蝋で両足を拘束されたままの着物の美女は顔を覆うほど長い前髪をかきあげながら、口に手を当てて妖艶に笑い出した。


「ウサフフフ…ミス・ゴールデンウィークちゃん教えてくれてありがとう。貴方達がバロックワークスのオフィサーエージェント Mr.3とその相方のミス・ゴールデンウィークで間違いないみたいね?」


 Mr.3は前髪を掻き揚げた美女の顔を見て、彼女の正体に気付いて驚愕する。
 

「なっ…!?貴様はまさか……海軍本部中将の“桃ウサギ”ギオン!?」

「“桃ウサギ”……聞いた事あるわ。」


 流石のいつもぽわぽわして何事にも動じないミス・ゴールデンウィークも流石にギオンの名前を聞いて目を見開いた。


「ウサフフフ…大正解。ミス・ゴールデンウィークちゃんは本名までは分からなかったけど、未成年のあなたは保護して更生施設行きね。そしてMr.3、あんたの正体は“闇金”のギャルディーノ懸賞金2400万ベリーで間違いないわね。」


 賞金首であるギャルディーノと違い、賞金首でもなく10代前半の子供であるミス・ゴールデンウィークは更生施設で再教育を受けさせることになっている。

 ギャルディーノはギオンの名前を聞いて一度は慌てたものの、彼女を未だに拘束する足元を見て安堵する。


「し……しかし、“桃ウサギ”、お前は既に拘束しているガネ。」

「拘束ってこれのことかしら?」


 ギオンは妖艶に微笑みながら、腰に帯びた名刀「金毘羅」をゆっくり抜き放つと同時にその刃を足元の蝋に振り下ろすとバターを切るようにサクサクと斬り裂いて、瞬く間に拘束から脱出してみせた。


「「えええぇぇぇーーっ蝋が斬れた!!?」」


 ギャルディーノとミス・ゴールデンウィークは二人ともギオンが両足を拘束する蝋を刀一本でサクサクと斬り裂いたことが理由が分からずに両目が飛び出る程に驚いている。


「はい。これで脱出完了。ゴジちゃんじゃあるまいし、一人でのこのこ来るわけないでしょう?でもあたしは今回は手を出さないから安心しなさい。ゴジちゃんに無理言って譲ってもらったんだ。あんた達、気合い入れな!」


 ロビンは司法取引に従い、バロックワークス副社長ミス・オールサンデーとしてMr.3ペアに「ナノハナ郊外の海岸に現れる着物を着た女を殺せ。」と命じ、ゴジに部下に経験を積ませたいと願ったギオン率いる第一部隊でこれの対処に当たった。


 ──瞬時に固まることで鉄の高度を持つ蝋……厄介な能力だね。見聞色の覇気、流桜(りゅうおう)共に未熟なあの子達ではこれは斬れないから私が囮役を引き受けて正解だったわ。


 ギオン達はロビンから事前に聞いていた“闇金”のギャルディーノの蝋を操るドルドルの実の能力を考慮して何があっても対処出来るようにギオン自らが変装のためにいつも掻き揚げている前髪と後ろ髪をおろして目立つ着物を着て囮となった。

 刀で鉄を斬る方法は大まかに二通り、一つ目は見聞色の覇気により対象物の呼吸を感じて撫でるように刀を走らせて斬る方法と二つ目は武装色の覇気を纏わせた刀で叩き斬る方法である。


 ──あの子達が鮮やかな桜色の流桜(りゅうおう)を使いこなす日が来るのが楽しみだねぇ。まぁ、ゴジちゃんのような雄々しい黒い流桜(りゅうおう)を纏う子もいるから一概には言えないけどね。


 ちなみに流桜(りゅうおう)とは武装色の覇気のことであり、達人の域に達した者は体に纏う覇気が鮮やかな桜色となる事ことからギオンの故郷ではこう呼ばれている。

 しかし、稀にゴジのような黒い武装色の覇気を纏う者や、かつてロジャー海賊団にいた”鬼の跡目”ダグラス・バレットのように青い武装色の覇気を纏う者がいるのだ。


「「「はいっ!」」」


 ギオンが指示を出すと、三人の女海兵がギャルディーノ達の左右と背後からギオンと合わせると彼等の周りを四方を囲むように現れた。


「Mr.3。大変よ。囲まれたわ。」

「ミス・ゴールデンウィーク!そんなのは見れば分かるガネ!それよりも何故“桃ウサギ”は私の蝋を刀で斬れたのだガネ!?」


 ギオン程の剣士であれば見聞色の覇気により物の呼吸を感じる事で鉄であってもバターのように斬り裂くことが出来るが、ギャルディーノ達には理解出来ない。

 取り囲んだ海兵の一人である黒髪ショートヘア、黒縁メガネを掛け、セーラー服を着用して腰に刀を帯びた女剣士が刀を抜き放つ。
 

「私はたしぎと申します。先鋒いただきます。“斬時雨(きりしぐれ)”!」


 たしぎは抜き身の刀の切っ先を敵に向けて名乗りを上げると同時に、一足の内にギャルディーノとの間合いを詰めてすぎ去ると同時に刀を振り下ろした。


「速いっ……くっ!?“キャンドルアーマー”!」


 ギャルディーノはたしぎが近付いてくるのが見えた瞬間に全身から蝋を噴き出して一瞬で蝋で作られた全身鎧(フルアーマー)を纏うと、その鎧の胸に刀が当たりカンッと小気味よい音を立てた。
 

「なっ…硬い!?」


 たしぎは海兵隊員の証たる半袖の白いセーラー服に白いハーフパンツを着ており、軍曹未満の海兵はセーラー服の着用が義務付けられているので、彼女が一般海兵であることがわかるが、彼女は今年訓練期間を終えてジェガート第一部隊に配属された新兵であるも、先鋒を任される程剣技に秀でた将来有望な海兵である。

 
「危ない……ギリギリだったガネ。何故ここに海兵がいるんだガネ!?」


 余談であるが、「セーラー」の本来の意味は海軍兵士であり、海軍兵士の為の服として開発されたのがセーラー服である。

 幅広い襟を立てて耳を覆うことで、海風吹き荒れる海の上でも上官の指示を聞き逃さず、胸元の開いたこの制服は海へ投げ出されても直ぐに脱ぐことが出来る理想的な海の兵士の為の服と呼べる。


 「しかし、剣士では私には勝てないガネ!“キャンドルチャンピオン”!!」
 

 Mr.3は海兵が突然強襲して来たことで、体から蝋を出して全身鎧をさらに大きくして、10m近い巨大ロボットのような姿となる。


「蝋のロボット?」

「やはり鋼鉄の強度を誇るドルドルの蝋でまろやかに体を包んだ今の私に死角はない。さぁミス・ゴールデンウィーク芸術的に塗装を施したまえ。まずはこの女剣士を倒して体制を立て直すガネ。」

「そしたら休んででいい?」


 この姿こそかつて4200万ベリーの賞金首を仕留めたというMr.3の「最高美術」。攻撃力も防御力も生身とは比較にならないほど強化されているのだ。

 ミス・ゴールデンウィークは淡々と右手に持った筆を左手に持ったパレットを使って一瞬の間に5-6mの高さはあるキャンドルチャンピオンに塗装を施した。


「構わんガネ!“桃ウサギ”がドルドルの蝋を斬れたのは地面が太陽の熱で焼けていたからに違いない。そうだそうに違いない。この最高美術に死角はない……塗装完了!」
 

 固まると鉄の強度を誇るドルドルの蝋も蝋だから熱に弱く溶けてしまう弱点を持っているため、ギャルディーノはブツブツと独り言を呟きながら、ドルドルの蝋をギオンに斬られた事に自分の中で理由を付けて納得しようとしていた。


「では、剥き出しの生首を斬ればいいだけです……“袖ノ雫”!」


 たしぎは首から下をドルドルの鎧で覆ってあるので、むき出しとなっている首を狙って斬り掛かるが、ギャルディーノは両腕でたしぎの刀を弾き返す。


「フッ……無駄だだガネ!“チャンプファイト・おらが畑”!」

「なっ……!?」
 

 ギャルディーノは両腕を足元にいる呆然としているたしぎに向けて振り下ろした。


「もうたしぎったら、世話が焼けるわねん♪キューティーバトン“お花手裏剣”!」


 逃げ遅れた為、慌てて峰に左手を添えて刀を水平に防御の構えを取るたしぎの刃にギャルディーノの拳が当たる直前に鋼鉄の蝋で出来た拳に花の茎の部分が何本も突き刺さる。


「ん? 何だガネ? 花??」


 ギャルディーノは驚き、振り下ろした拳を止めて突然拳に生まれた花畑を見て訝しんでいると、花を放った女海兵がギャルディーノに声を掛ける。


「あら、お花に見蕩れてると怪我するわよ。”咲け(フレア)”!!」
 

 彼女がパチンっという指を鳴らす事が響くと同時に拳に咲き乱れた花たちは一斉に爆発した。 
 

 
後書き
66話、67話でジェガート第一部隊の所属の新キャラを3人追加です。

とりあえずこの話では1人目はたしぎ。2人目は技名のヒントだけです。

ギオンの独自考察が入ります。 
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