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神々は何処に

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第二章

「神の存在を疑うことは、それで貴方は今からですね」
「神の実在を確かめたいと思います」
「その為に学ばれたいですね」
「そうしたいですが」
「では是非学ばれて下さい」
 海原は答えた。
「そしてです」
「そのうえで、ですね」
「答えに至って下さい」
「そうですか」
「それが無神論に至ってもいいのです」
「そうなのですね」
「学ぶこと自体が大事です」
 こう八条に言うのだった。
「ですから多くの本を読み人ともです」
「話してですね」
「世の中を見て下さい」
 こう八条に話した。
「これから」
「そうしていきます」
 八条は海原に答えた、そうしてだった。
 神について真剣に考える様になった、果たして実際に存在するか。
 宗教の本を読み神話の本もそうした、そして。
 教授だけでなく色々な人から話を聞きかつこの世を見ていった、だが。
 確証は得られなかった、いるとも言えずいないとも言えなかった。
 それでだ、また教授に言った。
「どうもです」
「はっきりとですか」
「言えません」
 こう語った。
「神の存在については」
「実在するかどうかですね」
「どうしても」
「そうですね、ですが」
「この中で、ですね」
「読んで見て考えていく」
「それが大事でしたね」
 八条は教授に応えた。
「そうでしたね」
「そうです、神の存在はそうしてです」
「じっくりと時間をかけて考えてですね」
「それぞれの人が答えを出すものです」
 教授は八条に落ち着いた声で話した、見れば二人共それぞれタイプは違うが整った顔立ちで背は同じ位の高さである。
「ですから」
「焦らずにですね」
「はい」
 そうしてというのだ。
「このままです」
「考えていくことですね」
「そうして下さい」
「わかりました」
 八条は彼の言葉に頷いた、それでだった。
 さらに学んでいった、だがやはり答えは出なかった。
 一年経ち二年経ち日常の他の暮らしや学問に励んでもいった、そのうえで大学卒業の時になったがここでだった。
 彼はある日だった。
 ふと大学院への進学が決まっている友人の家に行こうと思った、目的はこれといってなくただ何となく行こうと思った。それだけだった。
 それで彼の家に行くと。
 友人は倒れていた、それで急いで彼に駆け寄って声をかけたが返事はなかった。このことに危機を感じてだった。
 八条は病院に連絡をして救急車で友人を病院に連れて行ってもらった。そして話を聞くと。
「若年性の脳梗塞ですか」
「そうだったんだよ」
 回復した友人は入院している病室のベッドの中で話した。
「これが」
「そうだったんだ」
「最近ずっと忙しくてね」
「論文を書いたりだね」
「あとアルバイトもしてね」
「それでだね」
「普段は家族がいるんだけれど」
 家にはというのだ。 
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