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僕は 彼女の彼氏だったはずなんだ

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5-⑶

 3月に入って、昇二も研修が始まるとかで、その前に4人で集まろうと美鈴が言い出した。食べ物は、美鈴が用意するからって、「ナカミチ」でやることになって、お昼に集まることになった。光瑠も手伝うと言って居たので、早い目に行っていると思う。

 昼をめざして、僕は行ったのだけども、もう、料理が並んでいた。店に入る前、例の掲示スペースを見ると、子供の絵とか、隣には、俳句などが所狭しと、掲示されていた。そして、空いている壁には、落書きされた後もあったが、美鈴の字で(このスペースは皆様の作品を掲示する予定の場所です。皆様が共有できるように、大切にお願い致します)と貼ってあった。

「あの、落書きはひどいよな 美鈴の想いを無視しやがって」と、美鈴の顔を見るなり、僕が言うと

「仕方ないよ 空いている所があれば、何か書きたくなるよね でも、独り占めはずるいな」と、優しかった。

「でも、明璃から聞いたんだけど、最近、あの掲示スペースを増やす為に、寄付が集まっているんだってね」と、光瑠が言っていた。

「そうなのよ でも、少し、困っているの」と、美鈴が

「なんでー いい話じゃんか」と、昇二が言っていたが

「そんな、単純じゃぁないのよ 例え、寄付でもね、一部の人だけの寄付だったら、それで作ってしまったら、どうなると思う? その寄付した人達の発言力が高くなって、他の人達が敬遠するってこともあるじゃない? みんな、どう思う?」

「それぐらいじゃぁ無いと、盛り上がらないのじゃぁないか 美鈴も、店の料理の絵を描いてもらって、宣伝になるんじゃぁないのか」と、僕が言うと、光瑠が直ぐに

「美鈴は そんな気持ち持ってないわよ みんなが喜んでくれればって想いだけよ 蒼 美鈴に謝んなさい」と、厳しいことを言ってきた。

「明璃ちゃんが、言っていたんだけど、小学校の6年ぐらいになって、初めて自分の描いた絵が褒められて貼りだされたんだけど、それまでは、自分でもうまく描けたと思っても、訳が解んないとか見向きもされなかったんだって でも、明璃ちやんは、みんなに見て欲しいって思って居たそうよ だから、下手でも、みんなに見てもらいたいって思っている人の発表の場になればと思っている」

「美鈴は、なんていうか 純粋なのかな いいねぇー さすが、蒼が惚れた女だよ」と、昇二が言っていたが

「そんなことないわよ 私は、色んな人に助けてもらっているから 今、私が出来る恩返しのつもりなだけ」

「やっぱり 美鈴の想いを説明していくしか、ないんじゃぁないのか」と、僕の意見だった。

 その後、食べたり、飲んだりしていたが、美鈴が

「みんなに、もらってほしいものがあるの」と、言って、きれいな包装紙のものを、みんなに渡してきた。

 開けてみると、皮の名刺入れだった。僕と昇二のは茶色、光瑠と美鈴のはレッドピンクで、それぞれの名前がはいっていたのだ。

「あのさー 私のこと、忘れないでいてくれたし、お店のオープンのときも、みんなで助けてくれたし、何かでお礼しなきゃって思っていたの 4月からみんな新しい生活になるから、私からの感謝の気持とお礼なの」

「美鈴 これって 栃木レザーのじゃぁない 良いもんだって うちの教授も持っていて、自慢したいたわよ」

「うん 丁寧につくってあるから、長持ちするんだって 前から、頼んであったんだ みんなで、同じもの持つって良いじゃぁ無い? これから、みんな使う事増えるし」

「美鈴 そんなことに気を遣うなよ 店のことでいっぱいなのに・・ だけど、これは大切に使うよ」と、昇二も有難がっていた。

「あとさー 光瑠 晋さんとは、なんかあるのー? 正直に言ってよ」と、美鈴が思い切ったように聞いていた。

「なんでー 気づいていたのー でも、残念ながら、報告するようなこと何にもないんだよね 正直に言うと、私は、あの人を好きになっちゃった すごく、仕事熱心で、真面目だし でもね、私からモーションかけても、適当にあしらわれて、相手してもらえないんだ」

「えー 光瑠 お前の好みって ああいう人なのー おどろきだよー」と、昇二が言っていたけど、僕も、びっくりしていた。

「美鈴はわかっていたんかー」

「うん なんとなくね 光瑠らしいなって思っていた でも、晋さんはそんな風なんだ」

「まぁ この話は ここまで 私が勝手に想っているだけだから 気にしないで」

 僕は、この後、美鈴が、会う人に対して、どういう性格でどういう風に考えているのかを正確に察する能力を持っているのだと思うようになっていった。
 



 
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