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ジェルマ王国の末っ子は海軍大将

作者:蒼たん
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第二章 青年期
  第六十話

 ゴジの突然の口付けに両目を見開いて驚くロビンだが、失血と毒が回り始めたことにより体は動かすことも出来ずにされるがまま、ゴジに見つめられながら口内を蹂躙される。


「「…チュ…ンッ……チュ…ンハァ…チュ……」」


 時間にして数秒経った後、ゴジはずっとロビンを見つめ続けながら彼女の唇を解放してゆっくりと頭を上げると、二人の口を繋いでいた銀色の糸がプツリと切れた。


「き……“麒麟児”さん!!はぁ、はぁ…いきなり何を…こういうことは時と場所を選んで………」


 ロビンはリンゴのように"真っ赤な"顔でゴジを見つめて若干欲望交じりな抗議の声をあげるが、ゴジは構わずにロビンを横抱きにする。

 
「ロビンちゃん、説明する前に穴から出るよ。“疾駆”!」


 まもなく流砂の中心に飲み込まれる寸前だったので足裏を爆発させて穴から飛び出て、ロビンを横抱きにしたまま優しく話し掛ける。


「顔色がよくなったからもう大丈夫だよ。毒は全て吸い出した。傷口も幸い急所は外れているけど、念の為に止血剤と痛み止めの薬は飲ませてある。」


 そう。ロビンは先程まで毒に侵されて紫色になっていた顔色がゆでタコのように赤くなり、息も絶え絶えだったはずが、抗議の声を上げれる程元気になっていた。


「えっ……?」
 

 ロビンはゴジに言われて、自分の体から痛みや倦怠感が消えていることに気付く。


「俺は毒を操る事が出来るんだよ。だから君の体内を蝕む毒を吸い出してから、俺が能力で作りだした止血剤と痛み止めを飲ませておいた。」


 ゴジはロビンに駆け寄ってすぐに状態を観察し、傷の程度や毒の巡り具合を診ながら、自身の毒を操る能力で彼女の体を蝕む毒を全て口から吸い出した上で体内で作り出した薬を口移しで飲ませた。


「えっ……毒を吸い出した?それに薬ってどういうこと?」

「毒と薬は表裏一体、全く同じものだからね。正しく使えば毒は薬に、間違って使えば薬は毒となる。だから君の顔色を見ながら口内の体温を測りつつ、止血剤と痛み止めの量を調整して飲ませたんだよ。」

「はぅ……あの口付けは治療…。そ……そうだったのね……。」


 ロビンの真っ赤な顔が、ゴジの口付けの理由が治療だと知った事でさらに真っ赤になったことで恥ずかしくなり彼女は両手で顔を隠す。


「あとは患部の止血だけだな。ロビンちゃん…少し痛むよ…。」

「えぇ……。」


 ゴジは海軍コートを脱いで、なんの躊躇いもなく将校の証たるコートの裾をビリビリと破くと包帯のようになったその裾をロビンのウエストに巻き付ける。


「うっ…!?」
 

 ゴジは巻き付けたコートの裾をギュッとキツく縛って傷口を止血した後、血を流して冷える体を暖めるために、自分の上着を脱いでロビンの肩に掛けて、裾の破れた海軍コートを彼女の足に優しく掛けた。


「すぐ終わらせる。」

「え…えぇ…。気を付けて。」


 ゴジは立ち上がってクロコダイルを見据えながら、ゆっくりと歩いて行く。

 その間にクロコダイルはというと、先の戦闘によるダメージの回復を図りつつ、切り札としていたサソリの毒に変わる真の切り札との準備をしていた。
 

「“麒麟児”、てめぇは本当に…一体何の能力者だ?爆発や電気に加えて…毒の能力だと…?」

「黙れ。」


 突如ゴジから放たれる圧倒的な覇王色の覇気に呆気に取られる。


「なっ…!これはまさか…覇王色……!?」

「お前は絶対に許さない…全力で潰す!」


 クロコダイルはゴジの覇王色の覇気に当てられて驚愕こそしたものの気絶することは無く、ゴジと本気で戦うために体が全体が砂となって崩れていく。
 

「ちっ…!本当は“四皇”どもとの戦いの切り札にするつもりだったが、いいだろう見せてやる。“砂漠の巨神(デザート・ディオギガント)”!!」

 
 突如砂漠の砂が数十メートル以上天に向かって盛り上がると、それは徐々にクロコダイルの形を成していく。
 

「砂の巨人か!?でもクロコダイル本体はその巨体の何処かにいるんだろう“神眼”!」


 ゴジは見聞色の覇気に加え、経験と実績に裏付けされた観察眼も併用して巨神の弱点を探ろうとするが、唖然となる。


「なっ……クロコダイル、お前は砂を纏うんじゃなくて砂漠の砂と混ざり合い周りの砂を吸収する事で巨神となったのか?」


 ゴジは巨神の中いるクロコダイル本体を探していたが、“神眼”により判明したことは砂粒となったクロコダイルが巨神の至る所に満遍なく存在していた。

 例え六王銃で直接体内に武装色の覇気を流し込もうにも巨神がデカすぎて巨神の全身に行き渡ることはない。


「ほぉ……ホントによく鍛えられた見聞色の覇気だな。でも、この砂漠の巨神(デザート・ギガント)となった俺に弱点がないことが分かったか?なら、さっさと潰れて死ね!!“巨神の一撃(ギガント・ソフィアーレ)”!!」


 砂の巨神となったクロコダイルはゴジとロビン目掛けて右拳を真っ直ぐに突き出してくる。


「クロコダイル、俺にロビンちゃんを避難させる暇すら与えないつもりか?“生命帰還・スパーキングレッド”!!ならまたさっき砂嵐のように消し飛ばしてやるよ“赤の型 徹甲弾”!!」

 
 再び生命帰還により赤髪となったゴジは足元を爆発させると同時に飛び上がり、弾丸の如き速度を勢いをそのまま武装色の覇気と爆発の能力を宿した両拳に乗せて、巨神の拳に向けて真っ直ぐに突き出すと、徹甲弾が撃ち込まれた戦車ような大爆発の末、巨神の右腕が霧散した。

 その威力たるや砂嵐・重(サーブルス・べザード)を吹き飛ばした火花(スパーキング)フィガー・ダブルの比ではない。


「ふんっ!だからどうした!!」


 しかし、砂の巨神となったクロコダイルの周りには砂の神を歓迎するような無数の砂嵐が吹き荒れており、砂嵐がクロコダイルの消し飛ばされた右腕に瞬時に収束して元通りになる。


「なるほど……この砂漠ではその腕はすぐに再生するのか!?流石“砂漠の王”の名は伊達じゃないな。」


 クロコダイルは元通りになった右腕を再度振りかぶってゴジに腕を突き出した。


「だから言ったはずだ。砂漠の戦闘でこの俺に勝てるやつはいねぇとな!」


 数十mの幅はあろうかという巨神の拳はゴジとその後ろにいるロビンの両方を狙った攻撃なので逃げるという選択肢はない。


「なら俺も何度でも消し飛ばしてやるだけ……なっ!?」

 ───ダメだ!!あの拳には岩のように高密度な砂が集まってやがる。あれは爆発では完全に吹きとばせない!!


 ゴジが再度巨神の拳を爆発で腕を吹き飛ばそうとした時、見聞色の覇気により先程よりも高密度に砂が集められた巨神の拳を爆破したところで、残った巨神の手首に押し潰される未来が視えた。


「ニヤッ。やってみろ小物がああぁぁぁ!!真・巨神の一撃(ベロ・ギガント・ソフィアーレ)!!」

「絶対後ろにはいかせない!“生命帰還切替(モードチェンジ)・ウインチグリーン”。」


 ゴジは巨大な物量による攻撃でもヨンジのパワーなら力負けしないと判断して、体内の血統因子をイチジからヨンジのモノへ作り変えた事で赤色の髪が緑色に変わる。

 ウインチグリーンの怪力を手に入れたゴジは迫り来る巨神の拳を前にして怯むことなく、両手を広げて構える。


「金剛力を手に入れた俺の六・六式(ダブルロクシキ)緑の型で絶対受け止めてやる!!“緑の型 鉄塊・仁王立ち”!ぐっ……!?」


 ゴジは怪力の力を十全と使える分、以前デボン戦で見せた武装色の覇気と怪力の能力を併用する”鉄塊・金剛”よりもさらに硬い”緑の型 鉄塊・仁王立ち”を以てしても巨神の拳によるダメージを受けて苦悶の声をあげる。


「無駄だ!この拳は最初よりも砂の密度を増やすことで爆発でも完全には弾き飛ばさねぇ程固く固めてある。ニコ・ロビン諸共潰れろぉ!」


 岩石の如く高密度に集められた砂の拳であればサラサラとすることなく、受け止めきれるのではないかと思い、急遽圧倒的な怪力能力を持つウインチグリーンに切り替えたのだが、予想を超える力に殴り飛ばされそうになるのをその場から一歩も後退することなく堪えていた。


「んな事は分かってんだよぉ。受け止めきれねぇなら弾き返すだけだ!!絶対に負けてたまるかぁぁ!!“緑の型 鉄塊・仁王力”!!」


 ゴジは仁王の如き渾身の力で圧倒的な物量と重さのある巨神の拳を弾き飛ばした。

 ”緑の型 鉄塊・仁王力”とはステューシーがボーネス戦で使用したみせた”鉄塊・空木”と同じ防御後のカウンター技であるが、ウインチグリーンの金剛力を手に入れた今のゴジとステューシーの技とでは防御力も反撃力も段違いである。


「ほぉ……なるほど読めたぞ。“麒麟児”の髪色の謎。」

「はぁ……はぁ……。ギリギリだった。」


 ゴジはたった一度拳を弾き返しただけで息も絶え絶えになった。

 巨神はゴジの怪力で拳を弾かれてたたらを踏んだことで、クロコダイルは砂の拳を爆破するのではなく、弾き返したことでゴジの力の謎に気づく。


「その髪色は見掛け倒しじゃなく赤は爆発、緑は怪力の力を使えるようになるのか?だが、たった一撃弾いただけでフラフラのようだな。」

「はぁ……はぁ……うるせぇよ。」


 ゴジは顔色を変えずに強がりを言いながらも、クロコダイルの経験と実力に基づいた見極めに驚いた。


「これならどうする?」


 巨神は再度右拳をゴジに振り下ろす。


「何度でも受けてやるよ。”緑の型 鉄か……いや、これはまずい!?”緑の型 韋駄天”!!」

「きゃっ!?」


 ゴジは”鉄塊・仁王立ち”を使おうとしたが、急遽発動を止めて怪力の力を使う事で地面を通常よりも多く蹴り”剃”を超える高速移動でロビンの元へ走り彼女を抱きかかえてその場を離れると、巨神の拳は砂漠に触れた瞬間砂に変わり、先程ゴジ達がいた場所に巨大な砂丘を作り出した。

 見聞色の覇気によりこのサラサラとした拳は受け止めきれないと分かったからゴジはロビンを連れてその場を離脱したのだった。


「ほぉ……気づいたか?拳に纏う砂の密度を変えることでサラサラとした砂で生き埋めにすることも、岩のような硬度で押し潰すことも出来る。」

「ちっ……厄介な能力だな?」


 ゴジはサラサラとした拳であれば赤の型で吹き飛ばせるが、緑の型ではサラサラした砂は受け止めきれずに生き埋めにされてしまう。逆に硬い拳であれば赤の型では腕を完全に吹き飛ばせないが、緑の型で受け止めて弾くことは出来る。


「さて、次から両手で連続で行くぞ。サラサラとした拳か硬い拳か全て見極めてみやがれ!!無理と諦めてニコ・ロビンを連れて逃げるなら勝手にしろ…その時は俺はこのままレインベースを破壊して憂さを晴らすことにする。クハハハハ!」


 クロコダイルは巨神となった両腕を振り上げながら、ゴジの能力を見極めた上で彼に一番効果的なやり方で退却という選択肢を潰しに掛かる。

 彼にとって実際はレインベース等どうでもよく、ただ裏切り者のロビンと夢を壊したゴジさえ殺せればいいのだ。


「はぁ…はぁ……ホントに頭がいいくせにいちいち考えることがゲスだな?安心しろよ。逃げたりしねぇよ。でも流石にこれは少しヤバいかもな。」


 ゴジは油断なく構えながらも自分一人だけなら、速さで撹乱しながら隙を見て何度も六王銃などの大技を叩き込む事で目の前にいる巨神すら倒せる自信はあるが、重傷のロビンを庇いながらの戦いでは勝機が薄いことを悟って冷や汗を流す。 
 

 
後書き
クロコダイルさんのオリジナル技です。

9月27日18:30戦闘シーンを書き足しました。 
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