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イベリス

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第二十二話 ゴールデンウィークに入りその八

「今度ね」
「愛ちゃんのお料理も食べろっていうのね」
「そうしたら?」
「そこまで上手なのね」
「私よりずっとね」
「そういえばあの娘爪奇麗ね」
 母はここでふと気付いた。
「そういえば」
「いつも短いでしょ」
「服装は派手でもね」
「マニキュアとかしてないでしょ」
「ええ、確かにね」
「お料理それで家事するからって」
 それでというのだ。
「いつもね」
「爪は切ってるのね」
「それでマニキュアとかしてないの」
「如何にも伸ばしてしてる感じだけれど」
「だからそれはファッションで」
「実はなのね」
「前にも言ったかも知れないけれどお姉ちゃん下着は白とか地味でね」
「派手じゃないの」
「デザインもね」
 それもというのだ。
「シンプルなのよ」
「下着に本質が出るっていうわね」
「人のね」
「それじゃあ愛ちゃんは」
「そう、服装は派手でもね」
「スカートも短いしストッキングの色も派手でも」
「ブレスレットとかペンダントとかしていても」 
 それでもというのだ。
「下着はね」
「そうだったのね」
「だからね」
「愛ちゃんは実はっていうのね」
「根はそうなのよ」
 真面目だというのだ。
「そのこと覚えておいてね」
「わかったわ、あらためてね」
「それでお料理もなのよ」
 こちらもというのだ。
「結構上手で」
「お豆腐も得意なのね」
「そちらのお料理もね」
「お豆腐得意なのはいいことね」
 母はここで考える顔で述べた。
「それはね」
「いいの」
「お豆腐は身体にいいからね」
 だからだというのだ。
「そのお料理が上手なら」
「いいのね」
「そのまま食べても美味しいけれどね」
「冷奴ね」
「簡単に湯豆腐にしてもいいけれど」
「冬とかいいわね」
「お豆腐料理が上手なのはいいことよ」
 咲にまた言った。
「本当にね」
「それじゃあね」
「今度なのね」
「ご馳走になってね」
「よくわかったわ」
「それじゃあね」
「そういうことでね。あとね」
 母は咲にこうも言った。
「あんた牛や豚の内臓食べるわね」
「それがどうかしたの?」 
 ホルモンやレバーを思い出しつつだ、咲は母の今の言葉に応えた。彼女にとっては何でもないものだ。
「一体」
「今度鶏のレバーとか玉ひものお料理作るつもりなの」
「作ったら?」
 咲は素っ気なく返した。 
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