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ジェルマ王国の末っ子は海軍大将

作者:蒼たん
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第二章 青年期
  第五十八話

 
前書き
ボンちゃんは好きなので話し方、セリフにこだわりましたが、違和感あれば教えてください。すぐに修正します。 

 
 ベンサム(Mr.2 ボン・クレー)がステューシーの襲撃から逃れる為に一番近い窓を蹴破って外に出るとそこには赤いスキュレットを被った背の低い女の子が待ち構えていた。
 

「あ〜んた誰よぉ〜?可愛いわねぇ〜食べちゃいたいくらいよ〜。」


 ベンサムは目の前にいる女に対して舌なめずりすると、彼女は心底嫌そうな顔をしながら名乗りをあげる。


「うげー。私は海軍本部少尉のコアラ。バロックワークス、オフィサーエージェントコードネームMr.2ボン・クレー。本名“荒野”のベンサム、貴方を捕らえに来たわ!」


 コアラがベンサムを指差すと、彼は滝のような冷や汗を垂れ流しながらコアラから不自然に目線を逸らす。


「えーー!!!なにぜんぜん聞こえない!!」


 さらに耳をコアラに向けて音がよく拾えるように耳の裏に掌を添えている姿を見たコアラは冷静にツッコミを入れる。


「いや、あんたの顔に図星って書いてるわよ。」


 ツッコミを受けて開き直ったベンサムはコアラを見ながら早口でまくし立てる。


「海にいるはずの海兵がなんで砂漠にいるのよぉ〜!!!あやふやじゃな〜い。シカモ、なんであちしの名前もバレてるのよぉ〜〜。あちしビックリこき過ぎて二度見!!オカマ拳法“あの秋の夜の夢の二度見”!」
 

 ベンサムはわざわざ技名まで付けてコアラを二度見しながら驚きをアピールするので、それ見せられているコアラは頭を抱えたくなるのを我慢していた。
 

「あぁ、分かったわ。貴方馬鹿なのね。それとも一人でここから逃げる時間稼ぎかしら?」


 コアラは顔にピエロのような巫山戯けたメイクにバレリーナの格好をしているベンサムに対しても、3000万ベリーを超える賞金首であるため注意深く様子を見て彼の出方を探っている。

 不本意ながら日頃からゴジに対してツッコミし続け、さらに革命軍にはこの男よりも見た目のインパクトの凄いエンポリオ・イワンコフというオカマの女王と呼ばれる仲間がいるので、コアラは普通の人よりはベンサムの見た目やボケに耐性があるので、彼の格好等を見ても冷静さを失わずにいる。


「ジョーダンじゃな〜いわよ〜。”マスカラブーメラン”!」


 ベンサムは両手で目の下にあるマスカラを外してコアラに向けてブーメランのように投げた。


「おっと!?いきなり攻撃するなんて危ないわね。」

「が〜っはっはっは!!躱してくれちゃったわねぇい。でもぉ〜……」


 コアラはベンサムの投げたマスカラを躱してから、バレリーナのように両手を頭の上で合わせて片足を後ろに上げて海老反りしてるベンサムとの距離を詰めていく。


「う”っ!?な……何?」


 しかし、突如コアラは左肩と右の脇腹に痛みを感じて立ち止まってしまうと、先程ベンサムの投げたマスカラがブーメランのように回転しながら戻ってきていた。


「”キャッチしマスカラ”!がっはっはっは。あちしのマスカラは戻ってくるのよぉ。」


 しかもそのマスカラはそのままベンサムの目の下に張り付くように元の位置に戻った。


「どうなってんのよ。そのマスカラ、刃物で出来てるの?でもこれでよく分かったわ。逃げるつもりも投降するつもりもないってことね?」


 コアラは左肩と右脇腹が薄く斬られて出血しているのを確認し、戦いには支障のない程度の怪我と判断する。

 その間にベンサムは周囲を見回して、仲間であるMr.1とミス・ダブルフィンガーもそれぞれ別の女海兵と戦っているのを確認して、真剣な顔になってコアラに対して体を低くし、両手を開いて指先を相手に向ける蟷螂拳のような構えを取った。


友達(ダチ)が戦っているのに…ここで逃げるはオカマに非ず!!」


 急に真剣な顔と構えを取ったベンサムに対して、コアラは薄く笑いながら深く腰を落として半身になり、前に出した右手は開き、腰に構えた左手は固く閉じる魚人空手の構えを取る。

 
「いい度胸ね。」

「かかってこいやぁ!」


 ベンサムはMr.1とミス・ダブルフィンガーの2人は友達という間柄ではない。

 スパイダースカフェのオーナーでポーラと名乗っていたミス・ダブルフィンガーとは、よくこのカフェで顔を合わせているが、彼女の正体がミス・ダブルフィンガーであることは今日知った上、Mr.1に至っては今日初めて顔を見た間柄である。

 しかし、同じ会社の同僚と知り、互いに危機を乗り越えようとする仲間であるという事実に情に厚い性格を持つ彼にとって、二人はもう”友達”に相違ない。


「魚人空手“二千枚瓦正拳”!」

「オカマ拳法“どうぞオカマい(ナックル)”!」

 
 コアラとベンサム互いの正拳突きがぶつかり合うと、このたった一合で相手の実力が自分と同格である事を互いに悟る。

 
「やるわねい♪」

「あなたもね…!」


 流派は違うとはいえ、互いに格闘術を収める者同士気分が高揚する。

 ベンサムはつま先立ちというバレエのようなしなやかな動きで、コアラの攻撃を捌いて反撃し、コアラはそれを受け流しながら反撃していくという技の応酬が始まる。


「アン ドゥ オラァ……アン ドゥ オンドリャー!!」

「エイ ヤッ トォ……ハッ シッ エェーイ!!」


 互いに譲らずに一進一退の攻防が続き、2人は数十合ほど拳を交えるが、互いに決定打はない。


「オカマ拳法“蹴爪先(ケリ・ポアント)”!」


 ベンサムはバレリーナのように体ごと回転してその爪先でコアラの側頭部目掛けて横から突き刺すように蹴ると、コアラも後方回し蹴りでこれを迎え撃つ。


「魚人空手“三千枚瓦回し蹴り”!」
 

 互いの回し蹴りがぶつかり合った衝撃で互いに弾かれて、彼我の距離が離れた。
 

「はぁ、はぁ…やっぱりあんた中々やるわねぃ。」

「はぁ、はぁ…そんな変な格好してるのになんでこんなに強いのよ。でも…そろそろ終わりにするわ。」


 コアラが油断なく、構えを取るとベンサムは両肩に付いていた白鳥の首を両足先にそれぞれ装着する。


「あら?奇遇ねぃ。あちしもそう思ってた所よ。しょせ~ん この世は~男と~女~しかし~オカマは~男で~女~だから~最強!!見せてあげるわ。オカマ拳法の主役技(マリア)!」

 
 コアラはベンサムの足先から白鳥の首が生えているような巫山戯た姿をジト目で見る。
 
 
「ふざけてるの?」

 
 元々ピエロのような顔にバレエダンサーのような衣装を着たオッサンという巫山戯た見た目の上で、足先に白鳥の首を装着しているのだから彼女の反応は凄く真っ当なものであろう。

 突如ベンサムは足に白鳥を付けたままコアラに向けて前蹴りを放つ。
 

「ふざけてないんかな〜いわよ〜。喰らいなさい“爆撃白鳥(ボンバルディエ)”!」
 

 コアラは嫌な予感がして、ベンサムから放たれる突き技のような蹴りを慌ててしゃがんで躱すと白鳥のツチバシが、スパイダーズカフェの壁を貫く。


「えっ!?」


 コアラはそのベンサムの弾丸の如き蹴りに唖然となる。


「がっはっはっは!正解!!避けて正解よぉ!しなる首に鋼の嘴。一点に凝縮された本物のパワーってやつは無駄な破壊はしないものよぉ。あちしの蹴り一発がライフルの一発だと思えばいいわ。たーだし少々、弾は大型だけどねい!!」


 ベンサムが白鳥を壁から引き抜くと壁からは煙があがり、穴の周りには傷一つなかった。


「その見た目でなんて威力なの!?」
 
「これで分かったかしら〜オカマの強さ?あっ!ちなみに右側の首がオス、左側の首がメスよ。」

「そんなのどっちでもいいわよ!!」


 コアラは条件反射でツッコミを入れたが、ベンサムの巫山戯た見た目とは裏腹にあの白鳥はヤバいとしっかり判断を下す。

 元々身長160cmのコアラと240cm近い身長のあるベンサムとでは手足のリーチが全然違うのに、白鳥の首の長さの分リーチが増す上、白鳥の数字の“2”の形のように曲がった首が攻撃時には伸びて間合いが取りづらい上に爆発的な威力を生み出していることに気付いて冷や汗を流す。

 
「あちしはやられちゃったMr.1とポーラ(ザラ)も助けなきゃいけないからとっとと終わらせるわねぃ。」


 ベンサムはカリファとステューシーに捕まった仲間達をチラッと見てからコアラに向き直って飛び蹴りを放つ。


「拳士であるあなたではあちしの間合いには〜入ってこれな〜いでしょう?これでトドメよぉ"爆撃白鳥(ボンバルディエ)アラベスク”!」


 コアラは息を大きく吐きながらその場で腰を深く落として、大気中に含まれる『水』をその身で感じながらまだ距離のあるベンサム目掛けて真っ直ぐ右拳を突き出した。
 

「ふぅ〜乾燥している砂漠の空気中に漂う水分を集めるのに苦労したわ…魚人空手 "唐草瓦正拳(からくさがわらせいけん)”!」


 砂漠は湿度20パーセント前後しかない乾燥地帯である。

 コアラはベンサムと拳を交えながらも大気に含まれる僅かな『水』を自分の周りに集めていたのだ。


「ぐべらぁ…!」


 コアラは大気中の水を利用して離れたベンサムに向けて衝撃を伝えると、ベンサムがこちらに飛び蹴りを放とうとしていた分、カウンター気味に決まったようで彼は弾かれたように後方に飛んで行った。
 

「舐めないでくれるかしら?魚人空手の真髄は“周囲一帯の『水』の制圧”。『水』があるところ全てが私の間合いなのよ。」
 

 水中や水面などは勿論、大気中や物質内に存在するあらゆる「水」を利用することで、通常の空手を遥かに超える攻撃力を生み、幅の広い応用性を備える。

 魚人空手において生まれ持ったパワーを生かした体技のみしか使えぬ者等半人前でしかなく、大気中の水を感じて衝撃を伝えるこの"唐草瓦正拳"を習得してこそ一人前の魚人空手の使い手と呼べる。


「ふぅ。ベンサム確保っと。」


 コアラは海楼石の手錠を気絶しているベンサムに付けた後で周りを見渡す。


 ◇


 コアラが周りを見渡すと既にステューシーはボーネスを捕らえ、カリファはザラを捕らえていた。


「あれ?私が最後ですか!?」


 肩を落とすコアラにステューシーが声を掛ける。


「ガッカリすることないわよ……コアラら能力頼りじゃない分ベンサムがこの中で一番手強かったのは間違いないわ。怪我は大丈夫?」

 
 ベンサムは超人(パラミシア)系悪魔の実 マネマネの実の能力者で過去に触れた顔になれるという能力者なのだが、戦闘向きの能力ではない分、自分で編み出したオカマ拳法を鍛えぬいていた。


「はい。ホントのかすり傷程度です。」

「でも、治療は最優先よ。カリファ、コアラの治療をしなさい。」

「ええ。コアラ、カフェの中へ行きましょう。」

「はぁ〜い。」


 ステューシーの指示を受けたカリファがコアラをスパイダーズカフェに誘導して傷口を確認したところ、マスカラの大きさ故か、コアラの傷はホントに数ミリ程度斬られているだけであった。

 カリファはスパイダーズカリファの中でコアラの応急処置をしながら声を掛ける。

 
「准将も能力者は能力に頼りすぎるから、そこが弱点になるっていつも言ってるでしょう?私もステューシーもその弱点を付いて勝利したのよ。だからベンサムが一番厄介だったというステューシーの意見には私も同意するわ。」

「うん。カリファさんありがとう。」
 

 悪魔の実の能力者は能力に頼りすぎるというのはゼファーの口癖であるが、最近はその口癖が移った様子のゴジも第二番隊の訓練ではよく口に出しているのだ。

 こうしてスパイダースカフェはステューシー達の活躍で瞬く間に制圧されたのだった。 
 

 
後書き
次話から場面がゴジ君に戻ります。 
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