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僕は 彼女の彼氏だったはずなんだ

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2-⑹

 僕は、あの家を買ったという不動産の会社に行ってみた。事務所に入って、女性の方に要件を話すと、それを聞いていた年配の人が出てきて、応対してくれた。

「すまんが、お客様の情報は漏らすわけにはいかないんだよ。それに、あの物件は、大阪の業者から引き継いだものだから、名義も変わっているし、詳しいこともわからないんだよ」と、言いながらも、大阪の業者を教えてくれた。

 その足で、僕はその業者に行ってみた。受付で事情を話すと、しばらくして、奥から男の人が出てきて、

「ご用件を伺いましたけどね、お客様の情報ですので、お教え出来ないんですよ。あの時の、担当者も外に出掛けていますしね。すみません、決まりですので。それに、移転先を知りたいということであれば、我々が調べても、あそこの住所までしか、わからないと思いますよ」

 僕は、丁寧にお礼を言って、出ようとした時

「ただね、売却を急いでおられたみたいでね、買取の決済を急いだと記憶しております」と、言ってくれたのだ。

 やっぱり、そうだったのか、返済金で急にお金も必要だったんだ。美鈴は、病気のお父さんを抱えながら、ひとりで、そんなに苦労していたんだと思うと、胸が苦しかった。

 でも、やっぱり、行方はわからなかったのだ。僕は、美鈴の彼氏のはずだったけど、見かけだけで、何にもしてやれなかったのだ。
 
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