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星河の覇皇

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第七十八部第五章 さらなる近代化その三十四

「そして彼等の情報収集にあたってもらいます」
「その時もですね」
「あまり無理は。今はマウリアについては無理をするよりも」
「工作員を温存すべきですね」
「そうです、今後サハラの諜報活動に力を入れる時も来ます」
「その時までですね」
「工作員は温存します、貴重な人材です」
 工作員、即ちスパイも軍人だ。連合中央政府軍に所属しているからだというのだ。
「スパイは優れた人材が選ばれます」
「そしてその中でも特に有能な人材がですね」
「他国に送り込まれます」
「そこまでの人材なら」
「必要な時まではです」
「温存しておくものですね」
「ジェームス=ボンドは必要な時のみ働いています」
 普段は表向きの仕事で退屈な書類仕事に専念している、この時代の007シリーズでもそれは同じである。
「ですから」
「今はですね」
「必要な時ではないと思います」
「そうなので」
「バグダートとサマルカンドに残り」
 そのうえでというのだ。
「普段通りに働いてもらいます」
「そして危険なら」
「その場から去ってもらいます」
 バグダート、そしてサマルカンドからというのだ。
「安全の為に」
「とかく人材は温存しますか」
「今は。しかし」
「それでもですか」
「時が来ればです」
 その時はというのだ。
「動いてもらいます」
「ジャームス=ボンドの様に」
「そうです、しかしジェームス=ボンドの敵は」
 八条はスパイといえばこの人物と言っていいスーパーヒーローについて笑ってこうしたことも言った。
「連合ですがね」
「そうですね、我々ですね」
「私もこの前映画で敵になっていましたね」
「特殊メイクで金髪と緑の目がそれぞれ黒くなった俳優が演じていましたね」
「はい、そして見事にでしたね」
「007に敗れていましたね」
「最後負けた、と言ってこの席で肩を落としていました」
 敗北、それを認めてだ。
「連合軍の軍事機密を死闘の末に盗まれて」
「007を抹殺する為に連合軍の精鋭部隊を送り込み」
「それも一個大隊です」
 それだけ送りながらもというのだ。
「007一人に敗れていましたね」
「そうでしたね、いや一人を倒す為に一個大隊を送るとは」
「閣下も必死でしたね」
「そこまでのスパイは現実にいるかといいますと」
「まずいないですね」
「はい、我が国では本郷義昭ですね」
 海音寺潮五郎が最初に世に送り出した軍事探偵である、探偵と言うよりかは日本版007と言っていい人物だ。
「あれは」
「まさに架空の人物ですね」
「一個大隊を一人で倒すなぞ」
「西部劇か武侠ものか時代劇ですね」
「そしてスパイ小説です」
 まさに007のことである。 
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