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二度の新婚旅行

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第二章

「俺は海外って行ったのに」
「じゃあ行かないの?」
 妻の返事はこうだった。
「新婚旅行」
「いや、行くけれど」
「だったらね」
「長崎にか」
「行きましょう」
「理恵がそう言うなら」
 それならとだ、尊も頷くしかなかった。
 それで二人で新婚旅行はゴールデンウィークにハウステンボスを中心とした長崎となった、尊は出発まで不満だったがそれでもだった。
 着くと楽しんだ、豪華な西洋風のホテルの環境と食事になった。
 そのレジャー施設を満喫した、長崎市に行ってもちゃんぽんを食べたり観光を楽しんだ。理恵と共に。
 そしてだ、理恵は帰る時に帰りの電車の中で夫に問うた。
「どうだったかしら」
「よかったよ」  
 夫は妻に満足している顔と声で答えた。
「はじめて行ったけれど」
「それは何よりよ」
「うん、けれど」
 それでもとだ、夫は妻にこうも言った。
「何でだったのかな」
「海外じゃなくてなのね」
「ハウステンボスだったか」
「そのことね」
「何でそうしたのかな」
「だって海外に行ったら」
 そうすればとだ、理恵は自分の隣の席に並んで座っている尊に話した。
「それでね」
「それで?」
「終わりでしょ」
「終わりっていうと」
「だから一回行って」
 旅行にというのだ。
「それでね」
「終わりだっていうんだ」
「今度は一緒に有給休暇を取って」
 妻はさらに言った。
「それで北海道に行きましょう」
「えっ、もう一回行くんだ」
「一回だけじゃなくてね」
「二回なんだ」
「行きましょう」
 こう言うのだった。
「そうしましょう」
「いや、まさかね」
「二回行くなんて思わなかったのね」
「新婚旅行っていったら」
 それならとだ、尊は彼の考えを述べた。
「一回だって」
「誰がそんなこと決めたの?」
 妻は夫に微笑んで問い返した。
「一体」
「新婚旅行が一回だけしかないって」
「そう、誰が決めたのかしら」
「それは」
 そう言われるとだ、尊も返事に困った。
「聞いたことないよ」
「じゃあ二回行ってもいいわね」
「そうなるんだね」
「だからね」
「今度はなんだ」
「そう、北海道に行って」
 二人で有給休暇を取ってというのだ。 
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