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本当のゴリラ

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第二章

「悪魔が来る、悪魔を殺せ俺は天使」
「殺せ!?」
「本当にやばいぞあいつ」
「早く逃げろ」
「何されるかわからねえぞ」
「こっちに来るぞ」
 誰もが校舎の中に逃げ込んだ、そして学校でも状況を確認して即座に校内放送をかけた。
「不審者が校内に侵入しました、皆さんそれぞれのクラスに避難して下さい」
「皆クラスに入れ!」
「戸締りをしろ!」
「クラスの入り口にバリケードを作るんだ!」
「クラスから出るな!」
「相手は刃物を持ってるぞ!」
 口々に言ってだった。
 生徒達はそれぞれの顧問の教師の指示を受けて教室の出入り口にバリケードを築いた、それは桐生の受け持つクラスもだったが。
 生徒達はその彼を見て言った、今彼は教室の出入り口に前に腕を組んで仁王立ちをして前を見据えている。
「ったく、ついてないな」
「こんな時にゴリラと一緒なんて」
「あいつがクラスの担任ってだけでも最悪なのに」
「こんな時に一緒なんて」
「威張ってる奴なんてここぞって時に使いものにならないんだよ」
「そうよね」
 こうしたことを話していた。
「もういざって時は逃げる」
「そうするに決まってるから」
「どうせあいつもそうよ」
「ガタイはいいけれどいざとなったら逃げるさ」
「どうせへたれだよ」
「あんな奴は」
 こう話していた、クラスの誰も彼が何か出来るとは思っていなかった。普段威張っている者程何も
出来ないと思っているからだ。
「警察呼んだそうだけれど」
「早く来てくれ」
「ナイフ持ってる相手なんかやばいだろ」
「何とかしてよ」
「早く来て」
 警官達が来るのも待った、彼等は祈る気持ちだった。
 そしてだ、校舎の中に。
 遂に男が入って来た、廊下から男の虚ろな声が聞こえて来た。
「やばい、こっちに来るぞ」
「うちのクラスの方じゃない」
「まさかこっちに来るのか?」
「バリケードしてるから大丈夫と思うけれど」
「若しあいつが来たら」
「その時はどうしよう」 
 ナイフを持っていて訳のわからないことを言っている男だ、誰が見ても危険だった。 
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