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ジェルマ王国の末っ子は海軍大将

作者:蒼たん
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第二章 青年期
  第五十五話

 クロコダイルはこの戦いにおいてゴジを狙って攻撃を放つ必要のないことに気付いたのだ。

 不敵な笑みを浮かべたクロコダイルはその左腕を砂に変えて正面にいるゴジではなく、少し離れた所にいるロビンを標的にして毒の滴るフックを飛ばす。
 

「っ!?…チッ…ゲスがっ……“電光石火”!」

 
 ゴジはクロコダイルとロビンとの間に超高速移動で移動してロビンを庇うように両手を広げて武装色の覇気を纏いながら体の筋肉に力を入れると、ロビンはいきなり目の前に現れた『正義』の二文字の書かれた背中に驚く。


「えっ…“麒麟児”さん!?」

「掛かったな!女を見殺しに出来ねェのが貴様の弱点だ!」

 
 クロコダイルがロビンを狙ったのは当然、彼の作戦の内、絶対に女であるロビンを庇いに来るであろう“女好き”のゴジにフックを突き刺すのが狙いだった。


「“ 鉄塊・爆”!」


 しかし、ゴジはロビンを庇いながらもで自分の左胸心臓にフックが突き刺さる未来が見えているので、そこを武装色の覇気で硬化しながら爆発の能力を宿すと、未来視の通り左胸にフックが当たった瞬間にバァンと爆発してフックは弾き飛ばれた。


「チッ!…相変わらず厄介な能力と武装色の覇気だな。」

 
 クロコダイルはフックを左腕に戻しながら、ゴジの硬い武装色の覇気を賞賛する。

 さらに爆発しても消し飛ばせない砂に対して爆発の能力が無意味と思っていたが、爆風で簡単に飛ばされてしまう砂もまた爆発の能力とは相性が悪い事に気付いて苛立ちを隠せなくなる。

 幸い左手のフックは頑丈なのよう爆破の熱で焼け焦げているが、刀身は折れておらず無事のままだった。 
 

「これならどうだ!“砂漠の金剛宝刀(デザート・ラスパーダ)”!」


 クロコダイルは右手でゴジに向けて手刀を繰り出した後に、砂を高速で走らせ斬撃に変えて大地を一刀両断する巨大な4本の刃がゴジに迫る。

 しかもクロコダイルは当然のようにゴジが避ければロビンに直撃するような軌道で砂の刃を放っている。
 

「消し飛ばしてやるよ!”嵐脚・乱”!」

 
 ゴジは後ろにいるロビンを見ながら避ける訳にはいかないと判断し、その場でブレイクダンスを踊るように体を傾けて地面に両手を付いて両足を回転させながら無数の“嵐脚”をクロコダイルに向けて放つと、クロコダイルの技とぶつかって相殺した。

 ゴジの”嵐脚”の嵐は止まらずにさらに無数の“嵐脚”がクロコダイルに向かって飛んでいく。
 

「舐めるなぁ……“砂嵐・圧(サーブルス・プレッスィオーネ)”!」


 クロコダイルは“嵐脚”の盾となるように砂を操って巨大な砂の竜巻を自分の目の前に発生させる。

 クロコダイルの狙いはそれだけではなく、砂嵐の砂の含有量を通常の砂嵐よりも圧倒的に多くすることでゴジの嵐脚による鎌風を逆に飲み込みながら、元々幅10m程だった砂の竜巻は回転を重ねる事に成長してますます巨大になっていく。


「なっ……!?俺の“嵐脚”が砂嵐に喰われた…」

「女と死ねれば本望だろうが!?ニコ・ロビンごと砂で削り潰してやる。“砂嵐・重(サーブルス・べザード)”!」


 砂嵐はゴジの“嵐脚・乱”を飲み込んで空まで届こうかという高さまで成長して、幅も50mはあろうかという巨大な砂の竜巻となった砂嵐が右腕を形作ると、その右腕は掌を開いてゴジ達を叩き潰すように倒れて来た。

 天をも掴みそうな巨大な右腕の掌の幅は200m以上はあろうかという巨大なモノで、この周辺一帯を飲み込もうかという大きさである。


「さて、どうしたもんか。」


 ゴジ一人だけなら避けるのことは可能であるが、後ろにロビンがいるため止めるしかない。

 問題は砂嵐を殴ったところでゴジの拳が弾き飛ばされ、仮に殴れたとしても殴った部分の砂が吹き飛ぶだけで砂嵐は止まらずに飲み込まれて、砂の嵐で体を切り刻まれた上で最終的に高密度の砂で生き埋めにされてしまう。


「高火力な爆風であの砂の手を弾き飛ばすしかねぇな。でも今の(・・)俺の爆発では弱すぎるな。」


 ゴジは最初にクロコダイルの上半身を吹き飛ばした爆裂嵐脚思い出して砂嵐を爆発の力で弾き飛ばそうと考えるが、イチジの使える能力の五分の一の威力しかない自分の能力では無理と悟る。


「“麒麟児”さん、逃げて!貴方だけなら逃げれるはずよ!」


 ロビンの悲鳴のような声を聞きながらゴジはウィーブルと対峙して自分の能力の未熟さを嘆き、パーフェクトゴールドへの変身したことを思い返していた。


「ロビンちゃん、少し本気をだすから大丈夫だよ。」


 ゴジはロビンを安心させるような優しくも力強い声音で告げた後、目を瞑る。



 《Side ゴジ》


 六式には”生命帰還”と呼ばれる本来脳の命令で動かしたりすることのできない髪や内臓などを己の意識を張り巡らせることによって操ることができる技能がある。

 俺はガキの頃、自分に足りない圧倒的な能力を持つ兄さん達に憧れて、その憧れを体現するパーフェクトゴールドのレイドスーツを作った。

 でも、俺は海兵として正義のヒーローを目指すと決めたからな。俺は俺のままで憧れを体現する方法を見つけたんだ。


「今の俺はあの時の無力なままの俺じゃねぇんだ。砂嵐如きで俺を止められると思うなよ。」


 俺が弱かったせいで爺さんはあの日、右腕を失った。

 俺に力がなかったせいで、代わりに誰かが傷付くなんて思いはもうしたくない。

 髪や内蔵なんて操れないが、ガキの頃から研究し尽くした血統因子ならば造作もない。自分の血統因子配列を憧れの人の血統因子配列に書き換えるだけでいい。


「生命帰還・スパーキングレッド!!」


 イチジ兄さんの力、借してもらうよ。


 《Side ゴジend》


 ゴジは生命帰還により、自分の血統因子配列をイチジの血統因子配列へと瞬時に作り替えて目を開ける。


「“麒麟児”さんの髪が赤く……!?」


 ロビンは突如ゴジの髪が黒から赤に変化した事に驚愕する。

 イチジの血統因子配列に近付けた結果、ゴジの漆黒の髪がイチジのような燃え上がるような深紅の髪に変化した。


「ロビンちゃんは俺が必ず守るよっ!」


 ゴジはロビンを振り返ってニヤッと笑った後に再び正面を見据え、飛び上がって巨大な砂の掌に爆発の能力を纏った両拳を真っ直ぐに突き放つ。


「いくぜぇ!火花(スパーキング)フィガー・ダブル!!」


 ゴジの両拳が巨大な砂の掌にぶつかった瞬間に今までとは比べ物にならないほどの大爆発が起きて砂の掌を消し飛ばした。


「「なっ……!?」」


 クロコダイルとロビンは揃って巨大な砂の掌を消し飛ばしたゴジに驚愕する。


「だははは。これがイチジ兄さんの見てる世界か!!」


 ゴジはあえて六・六式(ダブルロクシキ)ではなく、イチジの代名詞ともとれるスパーキングレッドの技で砂の掌を吹き飛ばした。

 ゴジもレイドスーツを着た状態であればこの火力を生み出せるが、幼い頃から憧れた技を生身の体で放てる事に高揚する。


「吹き飛ばしただと……だが、砂漠には砂が無限にある。今のでダメならもっと大きく作りゃいいだけだ!」


 砂嵐は手首から上が消えただけで肘から手首までは残っているので、その砂嵐はさらに多くの砂を巻き込みながら太く巨大になり、失った掌も再生しようとしていた。


「俺の遊びはここまでだ。見せてやるよ。この四年で編み出した六・六式(ダブルロクシキ)・赤の型ロビンちゃん、少し派手にいくからこのコートを頭から被って伏せててくれるかい?」


 ゴジは海軍コートを脱いで、ロビンに向けて放り投げると彼女は驚きながらも素直に受け取る。


「ええ。何をするつもりなの?」


 ロビンは言われた通りに海軍コートを頭から被り、伏せる前にゴジに尋ねるとゴジは笑顔で返事をかえす。


「本気であれを吹き飛ばしてくるよ…“疾駆”!」


 ゴジは”剃”と同時に足裏を爆発させることで弾丸の如き速度を生み出す”疾駆”という技で強大な砂嵐で出来た巨腕の根元に向かっていく。


「鉄塊・爆!」


 ゴジはそのまま体を全体を武装色の覇気で覆った状態で両手を広げて砂嵐に突っ込み、彼はそのまま砂嵐に飲み込まれた。


「”麒麟児”、気でも触れたか?自ら砂嵐に飛び込んで何をするつもりだ?」


 クロコダイルがゴジの行動が理解出来ずに訝しむが、砂嵐の中心にいるゴジに砂粒が当たる度に激しい火花がバチバチと迸り、砂嵐の巻き上がる力に逆らわずにそのまま回り続けてその火花はやがて砂嵐の中でいくつもの爆発を生み出していく。


「鉄塊・暴風輪(ぼうふうりん)!」


 ゴジを飲み込んだ砂嵐は内側で何十、何百もパチパチパチっと小爆発を起こした後、突如大爆発を起こして砂嵐が消滅した。

 その光景を海軍コートを被ったまま見ていたロビンは呆然としながら口を開く。


「まさか…砂塵爆発!?」


 砂塵爆発とは砂嵐に含まれる砂粒どうしが風で飛ばされる間に衝突・こすれ合って、一種の火打石になって高温になり、山野の藁や枯れ草が発火する現象である。


「ロビンちゃんご明察!」


 爆発と共にロビンの前に戻ってきたゴジはサムズアップしながらにこやかに微笑むが、クロコダイルは驚きの余りに目を見開いてゴジに問い質す。


「砂塵爆発だと……?砂嵐ごと消すような大爆発が起きるわけがねぇ。そうか”麒麟児”。貴様自身が起爆剤になったのか!?」


 ゴジはその砂嵐に大量の火種を提供することで砂嵐ごと吹き飛ばすような大爆発を引き起こさせたことにクロコダイルも気付いた。


「今の俺は他の能力が使えない代わりに爆発の能力はスパーキングレッドそのもの。そして覇気をはじめとした身につけた戦闘技術は当然俺のまま。」


 ゴジは支給品のスーツは焼け焦げてビリビリに破けているが、持ち前の外骨格と武装色の覇気を併せ持つゴジに一切の負傷は見当たらない。

 街一つを飲み込もうかという巨大な砂嵐に飛び込んで、無傷で砂嵐をかき消したゴジに驚きを隠せずにいるクロコダイルとロビン。

 
「これが海軍のエースと呼ばれる男の実力……!?」


 ロビンはゴジを見つめながら手渡された海軍コートに刻まれた『正義』の二文字を両手強く握る。


「そんな奇策で俺の砂嵐・重(サーブルス・べザード)が消されるとはな。この化け物野郎が…!」

 
 ゴジは自分の海軍コートを握るロビンをちらりと見てから、苛立つクロコダイルを見据える。

 
「俺はロビンちゃんに伝えなきゃならねぇことがある。お前にこれ以上は構ってられないんだ。もういいだろう?さっさと降伏しろよ。」 

 ──地面から巨大な刃の形の砂を発生させてロビンちゃんを突き刺す殺す技。


 クロコダイルは自分の勝利を疑わずに余裕な顔で投降を促すゴジに対し、もはや一切の冷静さを失っているように見せて正確にロビンを狙った地中からの斬撃を放とうとする。


「髪が赤くなった程度で、砂漠の戦いでこの俺に勝てると思うな!!“砂漠の大剣(デザート・グランデ・エスパーダ)”!」


 ロビンを串刺しに出来るならそれもよし、ゴジが勘づいて庇いにくることでゴジを串刺しに出来れば尚良しという狙いである。


「往生際の悪い野郎だ。徹底してロビンちゃんを狙うか……お前の考えなんて手に取るように分かるんだぜ。“赤の型奥義・火花(スパーキング)……」


 ゴジはクロコダイルの動きを冷静に未来視しながら、対抗すべく、両手から火花により戦場を覆う程の閃光を生み出して目眩しを行うと、目の前にいたクロコダイルは視力を封じられる。


「ぐっ……目が……!?」


 目眩しにより目標が定まらなかったクロコダイルが生み出した地面から天に向けて発生した巨大な砂の刃はゴジやロビンのいない砂地に出現した。


「えっ……!?」


 クロコダイルと同様にゴジから放たれた眩い光に目を瞑っていたロビンは目を開けると、自分の目の前に巨大な砂の刃が生まれている事に驚愕する。

 しかし、見聞色の覇気によりそこに砂の刃が生まれることの分かっていたゴジは閃光を浴びて未だに視力の回復していないクロコダイルの懐にゴジは瞬時に潜り込んで、彼の胸に両方の拳を上下に添える。


「…爆王銃(バクオウガン)”!」


 ゴジは両拳からありったけの武装色の覇気をクロコダイルの体内に流し込んで内部に衝撃を与えながら、同時に両拳から爆発の能力も解き放つ。


「グアアアアアアっ!!!」


 全身を駆け巡るゴジの武装色の覇気により砂になる事を封じられたクロコダイルの体は生身の体で受けた大爆発で焼け焦げながら弾き飛ばされた。

 生命帰還による最大限火力による爆発の能力と六式の奥義を組み合わせた今のゴジ打てる必殺技をその身に受け、既に全身が至近距離から受けた爆発の威力で黒く焼け爛れたクロコダイルは地面に叩きつけられた。


「クロコダイル、流石の生命力だな。あれを喰らって生きてるとはな。ふぅ……疲れた。生命帰還解除。やはり慣れない激しい技の反動で体力を奪われるのが、課題だな。」


 戦いを終えて息を切らしたゴジは疲れた体でまずクロコダイルの生死を心配して見聞色の覇気で確認すると重傷ではあるが死んでおらず気絶しているだけと分かり、ホッとしながら生命帰還を解除すると、彼の髪色が元の漆黒に戻る。


「すごい。王下七武海のクロコダイルが手も足も出なかったわ……。”麒麟児”さんの髪色も元に……。」
 

 ロビンは目の前で起きた戦いという名の一方的な蹂躙劇を繰り広げたゴジを見つめる。

 ゴジはつるの話を聞いてからロビンに伝えねばならない事があるため、倒れ伏したクロコダイルに対して無防備に背を向けて、砂嵐で巻き上げられた自分の海軍コートを手に持つ彼女の元へ向かって歩いて行く。


「そうよ。貴方はこの海を守る”正義のヒーロー”だもの。クロコダイルを倒した後は、当然私を捕らえる番よね。」


 ロビンは真っ直ぐに自分を見据えて向かってくるゴジの姿を見ながら、王下七武海クロコダイルを一方的に蹂躙する男に勝てる手立ては皆無と無駄な抵抗を諦める。


「”麒麟児”さん、助けてくれてありがとう。コートお返しするわ。」


 そして、クロコダイルに裏切られた自分の命を救ってくれた目の前にいる若い海兵に海軍コートを手渡しながら頭を下げる。


「こちらこそありがとう。ロビンちゃん…君がコートを持っててくれて助かったよ。これじゃ街にも入れないからね。」


 ゴジは海軍コートを受け取りながら、ロビンに両手を広げておどけたようにボロボロに焼け焦げた服を見せながら笑う。


「ふふっ。ねぇ…“麒麟児”さん…」

 
 ロビンはそんなゴジを見て、微笑みながらも両目に涙を溢れさせて、自分の想いを告げる。


「何だい…?」


 ロビンは思う。真っ直ぐな本物の『正義』を背負うこの海兵は私に大した危害を加えずに正しく捕らえようとするだろう。


「私を殺して…私の夢には敵が多すぎる…。」


 ロビンは目を丸くして驚くゴジの顔を見ながら、涙を浮かべたその顔で精一杯の笑顔を浮かべて微笑んだ。

 こんな世の中をたった一人で生きるくらいなら、自分をクロコダイルから救ってくれた人の手に掛かって母やオハラの学者仲間の所へ逝きたい。

 彼女の願いはただ一つだけだった。


 ◇


 ロビンの願いを聞いて、ゴジはあまりの衝撃に油断してしまった。


「ぐっ……。」


 だから、ゴジはクロコダイルの手がピクリと動いていた事に気づかなかった。 
 

 
後書き
ゴジ無双いかがでしたか?

いい所ですが、次話からスパイダーズカフェの方に移ります。

ステューシー達の活躍もご期待ください。 
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