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ジェルマ王国の末っ子は海軍大将

作者:蒼たん
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第二章 青年期
  第五十四話

 ゴジがロビンをその場に降ろし、彼女を守るように前に出てクロコダイルに向かって歩いて行くと、ゴジの電伝虫の受話器が再びジリリリリ…と鳴く。


『もしもし、ヒナか…首尾はどうだ?』
 

 ヒナは電伝虫越しにゴジの怒りがヒシヒシと伝わってきたが、自分達に向けての殺気では無いことも分かっている。


『あら?ゴジ君、えらく機嫌悪いわね?面会予定の誰かさんが怒らせたのかしら。ご愁傷さまね ヒナ同情。』


 ヒナは面会中のクロコダイルがゴジを怒らせたのだろうと思い、麒麟の怒りに触れたクロコダイルに少しだけ同情した。


『ゴジ君、“ハヤブサ”のペルの援軍ありがとね。ミキータとペルの活躍でサンドラ河で彷徨いていた人工降雨船を見つけて乗組員全員を拘束したわ。船には違法のダンスパウダーを沢山積んでいて乗組員はバロックワークスの社員だけど、ゴジ君の読み通り…その中に恩赦を受けているクロコダイルの部下がいたわ。』
 

 ゴジは違法なダンスパウダーを使って一つの島から雨を奪おうとする計画には彼が最も信頼する部下に命じる筈だと考えていた。
 
 王下七武海となった海賊の懸賞金は廃止され、クロコダイルも当時8000万ベリーの賞金首だったが廃止されて、彼の部下にも恩赦が与えられている為、クロコダイルに限らず王下七武海の主要な部下の名前と顔は海軍本部は全てを把握している。

 その為、人工降雨船に乗っている人物と写真を照らし合わすことでクロコダイルの恩赦を受けている部下であると特定出来たのだ。
 

『そうか。ありがとう。最高のタイミングだ。』

 
 ゴジはヒナとの通話中も見聞色の覇気を使いながらクロコダイルの様子を伺っていた。

 クロコダイルはそんな隙のないゴジの様子を伺いつつ、ヒナとの通話を聞いて冷や汗を流す。

 
「チッ…小賢しいガキだ。なるほど……“ハヤブサ”のペルを使って空から探したか?考えたな。」


 まさかこんな短期間に広大なサンドラ河に身を隠す人工降雨船が捕まるとは思ってなかったが、大空の王者の力ならそれも仕方ないと素直に賞賛の言葉を送る。


「使う?言い方を間違えるな。ペルにはこの国を守るために協力してもらったんだ。」

「ふん。同じことだろうか……。Mr.7達では”黒檻”とハヤブサのペルの相手は荷が重かったな。てめぇがガープのような腕っ節だけのバカならやりやかったんだがな。」

 
 クロコダイルは念の為に人工降雨船の護衛としてMr7ペアを配置していたが、意味をなさなかったようだと左右に首を振る。

 さらに人工降雨船に乗っていた自分の部下が捕まっては、無関係だと言い逃れるのは厳しい。
 

「聞いての通りだ。王下七武海サー・クロコダイル。違法薬物ダンスパウダー使用の容疑で、海軍本部准将ゴジの名のもとに貴様から王下七武海の称号を剥奪する。さぁ、海賊クロコダイル、海底大監獄(インペルダウン)までご同行願おうか?アラバスタ王国乗っ取りの件は道中にじっくりと聞いてやるよ。」


 ゴジは名探偵よろしくクロコダイルを人差し指で指差しながら降伏を迫るが、クロコダイルのような大海賊が抵抗もなく降伏するはずもない。


「クハハハハ!この俺の”ユートピア計画”を粉々に打ち砕いた報いは受けてもらうぞ!”麒麟児”!!」


 クロコダイルは笑ってはいるが、内心は激しい怒りに震えていた。

 計画の露呈と王下七武海の剥奪により、この国を乗っ取った上でこの国に眠るはずの古代兵器プルトンを手中に納めてジェルマ王国を超える軍事国家を建設する夢が潰えてしまったのだ。


「降伏はしないってことでいいのか?出来れば戦いたくはないんだが……。」

「なるほど頭が切れるが、戦いは不得手か?”麒麟児”!!負け犬は正義を語れねェ!ここはそういう海だぜ!“三日月形砂丘(バルハン)”!!」

 
 クロコダイルは下半身を砂に変えて空を飛ぶかのように右腕を三日月のような形の砂の刃に変え、ラリアットのように右腕を横方向へと突き出してゴジの喉に目掛けて叩きつけようと迫ってくる。
 

「ご心配どうも……“爆裂嵐脚(ばくれつらんきゃく)”!」


 ゴジは足を振り上げて発生した爆発の力を纏った鎌風をクロコダイルの右腕の刃にぶつけると彼の右腕が爆発して、爆風で彼の上半身全てを吹き飛ばす。


「ほぉ……爆発の能力者か?」


 しかし、クロコダイルは悪魔の実の最強種とされる自然(ロギア)系悪魔の実スナスナの実の能力者である全身砂人間である。
 

「おあいにくさま。俺はどちらかと言えば頭使うよりも腕っ節の方が得意なんだが、平和的に解決出来るならそれが一番だろ?」


 ゴジの吹き飛ばした上半身が砂となって彼の下半身に集まり、形を作って傷ひとつないクロコダイルの姿が現れる。


「クハハハハ!”麒麟児”随分と余裕だな?でもな。砂に爆発は効かねぇぞ?」


 クロコダイルはニケながら無傷の右拳を握ったり開いたりして健在ぷりをアピールする。


「砂を吹き飛ばすくらいは出来るさ。クロコダイル、最後通告だ。今投降すれば痛い目をみなくて済むぞ?」

「砂漠でこの俺に勝てるもんならやってみろォ!小物がァ!“砂嵐(サーブルス)”!」


 クロコダイルは“砂漠の王”と呼ばれ、砂漠での戦闘においてなら四皇にすら負けないと自負しているにも関わらず一切怯むことのないゴジに苛立ちながら、右掌に小さな砂嵐を生み出してゴジに向かって放り投げるとその砂嵐は周りの砂を巻き込んで徐々に大きくなって迫っていく。


「話の通じないバカが……ロビンちゃん、君はすぐに俺達から離れてくれ!」

「っ…わかったわ!」


 ロビンはこの場において自分がゴジの足手まといにしかならない事はよく分かっていたので、指示に従って後ろに走って距離を取ろうとする。

 ゴジはロビンがこの場から走って離れて行くのを背中で感じながら見聞色の覇気を使ってクロコダイルの動きを未来視していく。

 
「なるほど……この砂嵐は囮。本命は左腕を砂に変えて背中から俺の心臓を狙うフックか。でも、砂嵐をそのままには出来ない。ならば!“剛力嵐脚(ごうりきらんきゃく)”!」


 ”砂嵐”は偶然にもロビンが逃げる方向に向かっているため、ゴジは怪力の能力を解放した右足を思い切り回し蹴りして横一線に生み出した巨大な鎌風で“砂嵐”を真っ二つに切り裂く。


「砂嵐を斬り裂いただと!?だが……ニヤッ。」


 クロコダイルは”砂嵐“を出した瞬間に左手のフックの金色のカバーを外して無数の穴の空いた刀身を持つフックをゴジの背中に突き刺すべく腕を砂に変えて、砂塵に紛れてゴジの視界に入らないように大きく迂回させてフックを飛ばしていた。


「残念……背中から迫ってくるフックなら視えてるよ。“超電磁砲(レールガン)”!」


 ゴジは電気の能力と“剃”を合わせた超高速移動技の“電光石火”でクロコダイルの懐に潜り込むと、ゴジの背中を狙ったクロコダイルのフックによる刺突攻撃は空を斬る。

 ゴジはクロコダイルの懐に潜り込んだその超速度を電気の能力と武装色の覇気を纏って黒く“硬化”した右拳に乗せて真っ直ぐに突き出した。


「ぐはっ…!?」

「爆発は効かなくても、武装色の覇気による攻撃ならお前(ロギア)にもよく効くだろ?」
 

 一筋の青い閃光となったゴジの繰り出した右拳はクロコダイルの腹部に突き刺さって彼の体を大きく殴り飛ばした。
 

「ぐっ……!?ぺっ……やはり武装色の覇気使いか!?“砂漠の宝刀(デザート・スパーダ)”!」


 殴り飛ばされてクロコダイルは血反吐を吐きながらも電気によるダメージはない様子で感電することもなく、痛みを我慢しながら砂に変えた右手刀上から下に振り下ろしてゴジに反撃する。
 

 ───手刀と同時に手刀の延長線上に砂の刃を発生させる技。延長線上にいるのは危険。
 

 ゴジは見聞色の覇気でクロコダイルの技を体捌きで躱してから次の攻撃に繋げる為に距離を詰める。


「“電光石火”!」

「速いっ!?」


 ゴジは再び青い閃光を描きながら今だに殴り飛ばされているクロコダイルの目の前まで移動すると、クロコダイルは突然目の前に現れたゴジに驚愕する。


「電気も爆発も砂には効かないみたいだけど、これならよく効くだろう……歯ぁ食いしばれぇ!!“剛力鷹爪(ごうりきようそう)”!」

 
 ゴジは怪力の能力を解放して武装色の覇気を右足に纏い、クロコダイルの顔面に目掛けて回し蹴りを放つ。

 “鷹爪(ようそう)”とは“嵐脚“の派生技の1つで嵐脚の勢いのまま相手を直接蹴り飛ばす技であり、そして“剛力鷹爪”は怪力の能力を解放することでさらに威力の増した“鷹爪”である。


「チッ!?グオォォ……!!」


 ゴジの蹴りはガンと音を立ててクロコダイルの左腕のフックに防がれる。

 しかしクロコダイルはゴジの怪力の力で強化された回し蹴りをしっかりとガードしたにも関わらず、踏み止まることが出来ずに約100m近く蹴り飛ばされてから、起き上がってゴジを睨み付ける。


「ハァ…ハァ……なるほど…その若さで准将は伊達じゃねェか……武装色の覇気に加えてことごとく俺の攻撃を見切る見聞色の覇気そして爆発。さらに電気だと…そうかさっきの超高速移動は電気の力か?そんなもん聞いた事ねぇぞ。てめェは一体何の悪魔の実の能力者だ…?」


 ”海賊王”が活躍した時代に生き抜いた歴戦の猛者であるクロコダイルはゴジの言葉尻を捉えて、ゴジが電光石火を使った時に生まれる青白い光の帯を思い出してゴジの技を冷静に分析して問い質す。


「さぁな…答えると思うか?」


 しかし、ゴジはクロコダイルの質問に答えることなく、彼を睨みながら油断なく構えを解かない。


「やはり答える気はないか……だが、残念だったな。砂には爆発も電気も効かねぇぞ!それに俺にはこれがあるクハハハハ!」


 クロコダイルはゴジが爆発と電気の能力が使えることが分かったことで、悪魔の実の能力者と勘違いしているが、どちらの力も自分の能力とは相性がいいことが分かり、紫色の液体が滴り落ちる左手のフックをゴジに見せながらニヤけている。


「……“麒麟児”さん、気を付けて…!クロコダイルの左手のフックはサソリの毒よ!」


 クロコダイルは認めたくはないが、自分とゴジとの力量差は先の攻防でよく分かった。

 しかし、切り札にしている左腕のサソリの毒が無数の穴から吹き出すこのフックが彼に掠りでもすれば勝てると思っているからこそまだ余裕がある。
 

「ちっ…おしゃべりな売女(ばいた)が……女?……そうか女ね…ククッ。」

 
 ロビンがクロコダイルの毒のフックについて警告した事で、自身の切り札をバラされたクロコダイルはイラついているが、ロビン()を見てニヤリと笑いながら、左腕を砂に変えて毒のフックを飛ばした。 
 

 
後書き
戦いは次話に続きます。ゴジ君に全く意味の無さげなサソリの毒が切り札なクロコダイルが少しだけ可哀想です。

次話はもっと盛り上けていきますよぉぉぉぉ! 
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