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僕は 彼女の彼氏だったはずなんだ

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第四章
  4-⑴

 8月になって、僕は、前にお世話になった肉の卸会社を訪ねていた。

「所長さんはおられますか」と、尋ねたら、奥からあの時の人が顔を出して

「君は、あの時の 確か、三倉君だったかな」

「そうです お世話になりまして、ありがとうございました」

「いや 何のことかな 僕は、なんにも・・」

「そうなんですけど、松永さんからも、連絡をもらつて 彼女とも会うことが出来たんです。新しい店を開店するとおっしゃて居ました」

「そうなんだよ ナカミチが復活するんだよ 今度も、いい肉を納めるよ 君は、就職決まったのか」

 僕は、就職先の食品会社の名前を出すと

「そうなんか あそこは、うちの得意先だよ 厳しいこと言ってくるけどな 何かの縁なんだろうな 向こうにいったら、よろしく頼むよ」

「ええ もちろん 何が出来るか、まだ、わかりませんが」と、お礼を言って出た。続いて、酒の卸、京阪酒販に行った。

 だけど、僕は、あの時対応してくれた人の名前を聞いていなかったんだ。事務所で聞いたが、要領を得なかったので、そのまま出てきてしまった。あの時の配達の人と思い、配送者の人に聞いたら、多分、ジローさんだろうと言うことで、後、1時間もすれば戻って来るだろうと言うことで、待つことにした。

 入ってきたワゴン車を見ると、あのジローさんのはずだ。降りて来るドァーの側に行って、声をかけたら、しばらく、僕の顔を見ていたが

「あぁ あん時の学生さんか どうかしたか」

「えぇ 実は あの時に、お世話になった人、名前もわからなくて お礼にきたんですが」

「ああ 確か、木下さんだったと思うけどな 先月、辞めた 徳島で、農業を継ぐとか言ってな」

「そうなんですか あの時のお礼を言わなければと思ったんですが」

 僕は、買っておいた冷たい缶コーヒーを差し出して

「あれから、松永さんからも連絡が来て、あの時はありがとうございました 親切にしていただいて」

「なんの あんた 義理堅いな そういうのって、出世するぜ」

「だと良いですけどね 松永さんが、新しい店を出すんでしょ?」

「うん というより、中道さんかな 松永さんも、しばらくは面倒みるらしいけど、あの人は今の店もお客さんが付いているから、閉められないって言っていた。多分、あの人は今の店を残すみたいだぜ」

「そうですか あの人らしいですね」

 僕は、お礼を言って別れようとしたら

「がんばれよ」と、何だかわからない言葉をかけられて、送り出された。

 
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