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僕は 彼女の彼氏だったはずなんだ

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3-⑷

 昇二と光瑠には、いきさつを話してある。当日、近くの駅で待ち合わせすると、光瑠は浴衣姿だった。

「光瑠ってこんなに可愛いかったっけ あっちから、来た時、どこの女優さんかって思ったよ」と、昇二が言うと

「昇二! 今日は、特別だから、素直に喜んでおくわよ」

「いや 本当に 可愛いよ 光瑠 今日の泊りは大丈夫だったか?」と、僕は、心配したが

「うん 事情話してね 美鈴も一緒だからって許可もらった でも、みんなが一緒の部屋だなんて、言って無いよ 反対されるもの― だから、君達、変なことしたらダメよー」

「わかったよー 今日は、純粋に楽しむよー」と、昇二が応えていたが、僕は、美鈴を前にして、冷静に居られるだろうかと、思っていた。

 天満橋から目的地の橋のたもとを目指して歩いた。花火は大川沿いで上げられる。そこに、松永さんは、美鈴を連れ出すと連絡をもらっていた。その時に、声を掛けてくれって。そのまま、4人で一緒に居て、知り合いのホテルに部屋を取っておくから、時間を気にしないで、今までの分の時間をお嬢さんにを取り戻してやってくれと頼まれていた。それを聞いて、みんな賛成したのだ。

 目的地に着くと、多くの人がもう集まっていた。僕達は、美鈴に見られないように、少し、離れた所で、来るのを待っていたのだ。

 見えた。美鈴だ。紺地に白いスズランの花。松永さんが、人の間を前に進んでいて、その後ろから、離れないようについてきている。暗くなってきていたが、ひと際目立つ、そんなに化粧をしている様子がないが、綺麗なんだ。

 松永さんは、止まって場所を決めたようだった。僕達は近寄って行った。間もなく、打ち上げが始まり、しばらくすると、松永さんは、僕達が後ろに居るのを確かめて、目くばせして、ぼくの側に来て「あとは、頼む」と短く言って、群衆の中に消えて行った。

 僕は、美鈴の後ろに立つようにしていた。長い髪の毛からシャンプーの香りがしていた。

「わぁー すごい きれい」と、美鈴が感嘆の声を上げた時、僕は

「美鈴もきれいだよ」と、言った。その瞬間、美鈴の動きが止まったように思えた。

 そして、ゆっくりと振り返ったかと思うと、逃げるようにした。僕は、思わず美鈴の左手を掴んで

「なんで、逃げるんだよー」と、言うと

「だって 私 何にも 言わないで・・ 約束破ったんだもの・・」と、下を向いて、泣きそうな声だったんだ。

 僕は、手首のミサンガをみせて、美鈴の手首のリストバンドをずらしたら、下から何度も補修したようなミサンガが現れた。

「この約束は、そんな簡単なものじゃぁないだろう つないで、つないできたじゃぁ無いか 僕は、美鈴の彼氏のはずなんだよ」と、言って、僕は、美鈴を抱きしめていた。

「美鈴 会いたかったんだよ ずーと」

「蒼 私も ずーと」と、美鈴は小さい声で・・

 花火もあがっていたが、さすがに、周りの人達も少し引いて、僕達を見ていたんだ。

「蒼 美鈴 恥ずかしいから、あっちに行こうよ」と、光瑠が言ってきた。

「光瑠 昇二も 来てくれたんだ」

「そうよ 美鈴 みんなで花火見に行こうって言ってたじゃぁない」と、光瑠が言うと、美鈴は、本当に泣き出してしまった。光瑠は

「だからぁー 恥ずかしいんだってー」と、ハンカチを渡して、美鈴の手を引いて、その場を逃れるように歩きだしていた。

 落ち着いた場所に移動すると、美鈴が

「あっ 松永さんは」

「大丈夫だよ 美鈴 今夜のことは、松永さんも承知しているんだ」と、僕が言うと

「あー そうか それで、変だなって思っていた 妙に、誘うし、浴衣も用意してくれて・・」

「うん 今夜は、みんなで楽しめって 泊るところも用意してくれたんだ」

「えー そんな 私、そんなつもりで来ていないよー 着替えもないし」

「大丈夫だと思うよ ホテルに行くと・・」

「そうだよ 美鈴 久し振りに会ったんだよ」と、光瑠も言っていた。

「あっ 花火 見れなかったね ごめんね」

「あそこに 何とか 見えてるぞ 花火なんて、いつでも、見れるさ 俺達、仲間だから、この時間の方が大事だよ それに、若い男と女が抱き合って、後ろに花火があがっているとこ見られたんだから、最高だよ」と、昇二が言うと

「恥ずかしいよ 昇二 そんな風に言わないでー さっきは・・」と、美鈴は恥ずかしがっていたが

「光瑠 さっきから、ずーと 美鈴と手をつないだままだよ おかしくないかー」と、昇二が言ったが

「なんでー 懐かしいんだものー うれしくって・・」と、光瑠が言うと、美鈴は、又、泣きだした。それにつられて、光瑠も泣いていた。


 
 
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