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ジェルマ王国の末っ子は海軍大将

作者:蒼たん
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第二章 青年期
  第四十四話

 
前書き
会話パートが続くなぁ……。 

 
 ゴジが家族との会話を終えて上陸準備を進めていると、扉をコンコンとノックされる。

 ゴジはカリファが頼んでいた三人の将校達を連れてきたのだと思い、入室を促す。
 

「どうぞ。」

「失礼します。」 


 予想通りにカリファが入ってくると、何故か彼女が連れてきたのは頼んでいた三人ではなく、ジェガート入隊1年目の一人の新兵だった。
 

「ん?ミキータどうした?」


 ミキータは金色の長く美しい髪を持ち前髪を中央で分けてヘアピンで留めており、両耳にレモンのイヤリングを付けた可愛らしい17歳の海兵で、線も細くて一見して戦いに向かない女の子という雰囲気であるが、こう見えても超人(パラミシア)系悪魔の実 キロキロの実を食べた能力者であり、今期の新兵随一の実力を持つ将来有望な海兵である。

 キロキロの実とは自分の体重を1㎏から10000㎏まで変化させることができるようになる能力である。

 ミキータはデボン討伐のニュースを知った日から同年代で次々に悪者を捕まえて昇進を重ねていくゴジの大ファンだったが、腕っ節にはお世辞にも自信があると言えないので、一ファンとして満足していた。

 しかし、ある日偶然に悪魔の実を手に入れて口にしたことで彼女に転機が訪れて今ここにいるのだ。


「キャハハハ!ゴジ君、それって新しい海軍コートよね?かっこいいじゃん!」


 この部隊においてゴジを准将や隊長と呼ぶのはカリファくらいなもので、ゴジは基本的に名前で呼ばれており、ゴジ本人もそれを全く気にしていない。


「すごいなミキータ。前のが小さくなったから新しいコートをカリファが届けてくれたんだよ。よく気付いたね、いいお嫁さんになりそうだ。」


 ゴジにとっては特に代わり映えのしないコートだが、一目見ただけで新品のコートと見抜いたミキータに驚き、ミキータは“嫁”という言葉にゴジと結ばれた自分を想像して顔を赤らめてモジモジし始めた。


「お……およめさん……。」


 ゴジの言葉に一喜一憂し、顔の表情をコロコロと変えるミキータはギャルっぽい話し方や見た目にそぐわず、パティシエを志していただけあり、料理が得意で細かな所に気付く家庭的な女性である。


「准将、セクハラです。」


 顔赤めるミキータを見たカリファは眼鏡をクイッとあげながらゴジを睨みつける。


「は……はい。」

「キャハハハハハ!毎度このやり取り飽きないわねぇ!」


 ミキータはカリファにセクハラ発言を注意されて凹むゴジを見ながら、お決まりのやり取りを見て腹を抱えて笑っている。


「それでミキータはどうしてここへ?」


 ゴジが彼女がここへきた要件を尋ねると、カリファが代表して答える。

 
「はい。実はミキータから興味深い話を聞いたので、直接准将がお聞きになったほうがいいかと思って連れてまいりました。」

 
 カリファの報告を受けて、ゴジはミキータを見ながら話を促す。
 

「わかった。話を聞こう。ミキータ、話してくれ。」


 ミキータは緊張しながらも敬礼してから話を始める。
 

「は……はい。ゴジ君がバロックワークスって組織を追ってるって噂になってて、その実は…私、キロキロの実を食べてから、しばらくしてそのバロックワークスって会社から、勧誘されたことがあるの。」

 
 ミキータの話を聞いたゴジは驚き、目を見開いてカリファと見ると、彼女は少し冷や汗をかきながら小さく頷いた。

 カリファはミキータからバロックワークスについて知っている事があると相談を受けて話を聞いて、彼女をすぐにここへ連れてきたのだ。

 ゴジはダンスパウダーの件からバロックワークスについて調べているが、実は全く情報が得られないから現地調査をしてどうにかシッポを掴もうとこのアラバスタ王国へ来ていたのだ。
 

「ミキータ…准将がバロックワークスの手掛かりを掴む為に、睡眠を削って調べ回っていた事を捜査に従事していた貴女が知らないわけではないしょう?何で今まで黙って…「カリファ止めろ!」…准将……なぜ止めるんですか!?」

「だって…私…」


 カリファの叱責に対して、ミキータは困った顔をしている。

 第二部隊はダンスパウダーの製造工場を摘発してからこの粉がアラバスタ王国へ流れている事を解明する事に約1ヶ月の期間を要していたのだ。

 ゴジが昼寝する程疲れていたのは、この1ヶ月ほぼ不眠不休で働き詰めだったからで、ゴジの苦労をよく知るカリファがミキータを叱責しようとするのをゴジが慌てて止める。


「カリファ、ミキータを責めるのは筋違いだ!俺は捜査に従事してくれた彼女達に余計な先入観を与えない為に、バロックワークスのことを伝えていなかった。」

「あっ!?そういえば……。」
 

 カリファはゴジに言われて、自分が部隊に伝令した命令内容を思い出して目を見開いた。

 ダンスパウダーの製造工場がバロックワークスという組織がバックについているという事実は製造工場を摘発し、そこで働いていた関係者をサイファーポールが拷問して吐かせた事実で、バロックワークスは世界政府も知らない組織であった。

 存在するかどうかも不透明な組織だからこそ、ゴジは部下にこの情報を伏せて、部下達に『ダンスパウダーが何処に輸出されているか探れ』と命令し、彼女達はゴジの期待に答えて僅か1ヶ月でアラバスタ王国へ輸出されている事を見つけ出したのだ。

 
「うん…それでゴジ君がバロックワークスって会社のことを調べてるって第二部隊で噂になってたから…」


 ゴジは何処から話が漏れたかは分からないが、自分達の話を立ち聞きでもされたのだろうと当たりを付ける。
 

「そうか。それを聞いてわさわざ伝えに来てくれたのか…ありがとう。では、君がバロックワークスについて知ってることを教えてくれないか?」

「うん。えっとね……私が聞いた話はバロックワークスは完全秘密主義で会社の最終目的は“理想国家”の建国。手柄を立てた社員はその理想国家での要人の地位が約束されるって話でね。私は能力者だからミス・バレンタインってコードネームを与えられて、Mr.5って男とペアを組むことで幹部待遇で迎えてくれるって言っていたわ。」

「理想国家の建国…」

「うん。詳しい事は時が来たら話すって…ちなみに社長はMr.0って呼ばれてて正体はもちろん秘密。社員の誰も社長には会ったことないんだって。あとはミスターの数字が若い程上級の幹部で男のコードネームは数字、女性のコードネームは曜日や記念日で呼ばれるらしいわ。」

「だから、ミキータの場合はミス・バレンタインなのか?そういえばダンスパウダーの製造工場にMr.8とミス・マンデーと名乗る男女がいたな。彼らを取り調べて(拷問して)俺達はバロックワークスの名前を掴んだんだ。」


 ゴジはミキータの話とこれまで掴んでいるバロックワークス情報と照らし合わせていく。

 バロックワークスの事を吐いたMr.8という男は幹部の一人であるにもかからず、Mr.0という男が社長である事、社長とペアである副社長ミス・オールサンデーという美女から司令が下されるということしか知らなかった。


「なるほど……幹部ですら社長の正体は知らないのか。徹底してるな。」

「でもね。そのスカウトマンのおじさんさ、私がバロックワークスに入るのを断ると、いきなり襲ってきたから返り討ちにしちゃったのよ。」

「そういうことだったのか。はははっ…。」
 

 ミキータの話を聞いたゴジは彼女がここにいる理由を思い出して乾いた笑いを浮かべる。


 ◇



 ミキータが西の海(ウエストブルー)にある故郷の島においてバロックワークスのスカウトマンから会社概要を聞いた日に遡る。


「どうだい。バロックワークスこそ、悪魔の実の能力者である君の力が輝く理想の職場だよ。」
 

 スカウトマンの熱のこもったスカウトに対して、その場で少し考えたミキータが出した答えは決まっていた。


「キャハハハハハ!そんな会社に入るわけないじゃん。もし能力を使うならゴジ君のいる海軍に行くわよ。私はお菓子屋さんになりたいのよ。」


 ミキータは笑顔でスカウトマンに対して拒否を伝えるとその男は銃を取り出しながら、ミキータの眉間にそれ押し付けながら、先程まで浮かべていた人の良い顔を一変させて凶悪な顔浮かべる。


「ここまで聞いて貴様を生かして帰すわけないだろう?拒否するならここで死ぬだけだ。」

「っ……!?」


 ミキータは突然銃を突き付けるスカウトマンに驚きながら、撃たれないように両手を上げる。


「さぁ、俺と来てもらおうか?」


 スカウトマンはミキータが両手を上げたことで油断し、銃口をミキータの額から外した。

 彼はミキータは右足先をあげてスカウトマン左足の上に添えていた事に気づかなかった。


「いい事を教えてあげるわ。私と貴方じゃ人間としての格が違うの。“1万キロプレス”!」


 ミキータは悪魔の実の能力で自分の体重を10トン(10000キロ)に変えて右足でスカウトマンの左足を踏みつけた。


「ぎゃあああああああああ!!」

「なんだ!何事だ!?」


 運悪くたまたま見回り中の海兵がスカウトマンの悲鳴を聞いて現場に駆けつけてしまう。


「この女は悪魔の実の能力者だ。俺は突然襲われて足を潰されたんだ!?」


 海軍を見たスカウトマンは即座に銃を仕舞い、踏み潰された左足を海兵に見せ、涙ながらに暴漢女に襲われた被害者の演技を始めた。


「えっ違う……いや、私は……!?」


 その海兵は一目で骨が粉々に砕けぺちゃんこになった男の左足を見て顔を引き攣らせる。


「これは酷い。おい、そこの女、暴行の現行犯だ。支部まで同行願いたい。」


 こうしてミキータは海軍支部に連行されたが、悪魔の実の能力を持つ彼女に対して海軍は罪を軽減する変わりに海軍への入隊を提案するとミキータはファンである彼のことを思い出す。


「もしかして海軍に入ったら、“麒麟児”のゴジ君に逢えたりする?」

「“麒麟児”!?そうか。君はジェガートへの入隊希望か。よし、ちょっと待ってろ。本部に確認してあげよう。」


 こうして希少な悪魔の実の能力者であるミキータはあれよあれよという間に海軍への入隊が決まるとそのままジェガートに配属されたのだ。


 ◇


 ミキータはこのスカウトマンに襲われて、海軍に入れられた話を笑いを交えてゴジに聞かせた。


「ミキータの入隊にバロックワークスが関わっていたとは……まだお菓子屋さんに未練があるなら、俺は君の夢を応援したい。」


 ゴジはミキータは暴行沙汰を起こして情状酌量の為に海軍へ入隊したと報告は受けていたが、そこにバロックワークスが関わってる等知る由もなかった。


「う〜ん……まぁ、色々あったけど私はここ来れて良かったとおもってるから気にしないでよ。ここでお菓子を作る度に皆が美味しそうに食べてくれるから幸せなの!キャハハハハハ!」


 ミキータの作るプロ顔負けのお菓子は第07部隊の癒しとなっており、ミキータほお菓子を作る夢もゴジに逢うという夢が同時に叶ったここが自分の居場所だと思っている。


「そうか。ミキータの作るお菓子は絶品だからな。また作って欲しい。それに何か思い出したことがあったら何でも教えてれ。念の為にバロックワークスに顔が割れているミキータは予定通り船番としてヒナの指揮下に入ってもらう予定だよ。」
 

 ミキータはスカウトマンから渡された資料に会社のマークが付いていた事を思い出した。
 

「あっ!そういえば…バロックワークスの会社マークは海賊旗みたいだったわよ。」

「海賊旗?」

「うん。翼の生えた髑髏にレイピアでバツ印を作ったマークだった。」

「なるほど…カリファ!」
 

 ゴジはミキータの語る海賊旗に見覚えがあったので、カリファに確認を取る。

 
「ミキータ、そのマークとはこれではないですか?」


 カリファはMr.8の右肩に掘られた海賊旗(ジョリー・ロジャー)の写真をミキータに見せるとミキータは声をあげる。


「あーっ!!これよ。これだわ。バロックワークスのエンブレムよ。」

「決まりだな。社員同士は互いが仲間であると分かるようにこのエンブレムを刻印した物を携帯しているか体に刻んでいる可能性が高い。ミキータありがとう。これはすごく貴重な情報だ。」

「キャハハハハハ。私もジェガートの一員だもの。当然よ。」

 
 自信満々に胸を張るミキータを見て、改めて最高の仲間と共に最強の海兵になる決意を新たにする。


 ◇


 その後、ミキータが任務に戻り、船長室から退出してするとゴジはカリファに一つの命令撤回を告げる。


「ふぅ…カリファ、聞いての通りだ。ミキータを警戒対象から外す。」

「そうですね。ミキータの暴力沙汰が正当防衛と判明しましあからね。分かりました。」
 

 世界政府は“麒麟児”と名高いゴジの唯一といっていい弱点である”女好き“を警戒して、ジェガートに入ってくる新兵の身元は全てサイファーポールを使って洗っており、ステューシーを通じてゴジに伝えてある。

 特にミキータは強力な悪魔の実の能力者で暴力沙汰を起こした末、「ゴジ会わせるなら海軍に入ってやる」と言ったのだと微妙に事実を湾曲された情報が伝わっていたので最重要警戒対象だったのだ。 
 

 
後書き
サラッとまたまた新キャラです。

ミス・バレンタインことミキータです。次話ではもう一人新キャラ登場予定です。 
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