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ジェルマ王国の末っ子は海軍大将

作者:蒼たん
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第二章 青年期
  第四十三話

 ゴジはカリファが船長室から退出するのを見送った後で電伝虫の受話器を持って姉レイジュへ連絡を入れる。
 

「もしもし、姉さん?」

「あらゴジ、どうしたの?」

「いや…コノミ諸島にいる魚人海賊団のことなんだけど話は聞いてるよね?」
 

 ゴジは東の海(イーストブルー)にあるコノミ諸島が“ノコギリ”のアーロン率いる魚人海賊団に占拠されているという情報をジェルマ王国に送っていた。

 アーロンは王下七武海の一角“海侠”のジンベエの弟分でノコギリザメの魚人であり、ジンベエが王下七武海に入る条件として当時海底大監獄(インペルダウン)に投獄されていたアーロンの釈放を求め、釈放されたアーロンは魚人島から自分に従う仲間の魚人を引き連れて東の海(イーストブルー)に渡り、コノミ諸島を占拠しているのだ。


「ええ。確か船長は”ノコギリ”のアーロンだったわよね?今向かってる最中よ。」

「そうそう。魚人には気を付けてよ。」


 魚人族は魚、甲殻類、軟体動物など水中生物の特性を主に上半身に受け継ぐ種族であり、逆に下半身にそれを受け継いた種族を人魚族と呼び、魚人族・人魚族共に人間から進化したれっきとした哺乳類である。

 この二種族は共に生まれながらにして人間の10倍の筋力を有し、水中では鰓呼吸を行い、深海1万mの水圧にも耐えられる体を持ち、気性の穏やかな人魚族とは違い、気性の荒い魚人族の中には人間や他の動物を軽視する傾向がある。
 

「何よぉ……私だって強いのは知ってるでしょう?余裕に決まってるじゃない。それに東の海(イーストブルー)は私の海だもの。お姉ちゃんに任せなさい。」
 

 ジェルマ王国はこの4年間の間にゴジやセンゴクから得た情報を元に多くの国や島を海賊の支配から救って国土や同盟国を広げてきた。

 類まれな軍事力と世界各地に国土を持ち、一人一人が王下七武海に並ぶ実力を持つともと評価されているジェルマ66(ダブルシックス)を擁するジェルマ王国は世界政府の支援もあって海軍本部、王下七武海、四皇に並ぶ“第四勢力”として認知されている。


「あ〜確か西の海(ウエストブルー)にはヨンジ兄さん、南の海(サウスブルー)にはニジ兄さんがいるんだよね?」


 ジェルマ王国はロジア島程大きな国はないが、四つの海に一つから二つ以上の島を領土としている為、敵からの侵略や海軍からの討伐要請にすぐに対応出来るように北の海(ノースブルー)のロジア島をジェルマ王国の本拠地として両親と長兄のイチジがいる。


「ええ。ジェルマにはイチジと父さんもいるから大丈夫よ。」


 そして、南の海(サウスブルー)にあるペカン島の小さな町にはニジ、西の海(ウエストブルー)にピート島の港町にはヨンジ、東の海(イーストブルー)にあるヒノキ島の港町にはレイジュがおり、それぞれの町に一個小隊と軍艦一隻を配備しており、分担して各海を守護しているのだ。

 よって今回の東の海(イーストブルー)での魚人海賊団討伐は必然的にレイジュが担当となっている。
 

「うん。まぁ姉さんなら余裕だよね。俺が言ってるのは兵達のことだよ。絶対に島には船で近づいちゃダメだよ。」


 ゴジはレイジュの持つ毒の能力が自分の持つ能力の中で一番厄介なことは切り札として活用する自分がよく知っており、レイドスーツの性能も製作者である自分が一番知っているので、いくら生まれながらに強靭な肉体と運動能力を持って生まれた魚人が相手でも、同様に生まれながらに強靭な肉体と運動能力を持っているレイジュの勝利を一切疑ってない。

 むしろ能力を使わずともレイジュが勝つと思っているほどであるが、彼女が率いるジェルマ王国の兵士達が怪我をしないように心配していたのだ。


「あぁ。そう言うことね…ゴジに教えてもらったから、ちゃんと分かってるわよ。海底から船に穴を空けられちゃうのよね?」


 レイジュは少し拗ねたように海軍から送られた報告書を手に取りながら話す。

 彼女の持つ報告書は過去に魚人海賊団を捕らえに向かった海軍の艦隊が島へ近づく前に海中から船体に穴を開けられて全て沈められたが鮮明に書かれたものであった。
 

「そうそう。だから必然的にレイドスーツを着た姉さんが一人で島に乗り込む事になるよ。頑張ってね。」

「ゴジもこれから仕事でしょう?頑張りなさいよ!」


 レイジュは自分を信じてくれるのは嬉しいが、弟に心配されないのはそれはそれでつまらないという複雑な気持ちになったが、それを弟に悟られるのは癪なので平然を装う。


「うん。じゃ、ジェルマ66(ダブルシックス)の紅一点ポイズンピンクの健闘を祈るよ!」

「ええ。海軍のエース様の活躍も期待してるわよ。」
 

 ゴジとレイジュは互いに揶揄うように互いの健闘を誓い合った後、通話を終えて椅子から立ち上がって窓の外から見ると、既にサンドラ河と呼ばれるアラバスタ王国の中央を南北に流れる雄大な川に差し掛かっていた。


「さて、行くか。」


 アラバスタ王国を見ながら真新しい海軍コートを羽織り、上陸準備の為に甲板に向けて歩き始めた。

 

 ◇

  

 一方のアラバスタ王国レイベースにあるレインディナーズと呼ばれるの同国最大のカジノのオーナー室に二人の男女がいる。

 艶やかな黒髪の上に紺色のテンガロンハットを被り、大きな胸の谷間を大胆に露出した紺色のボンテージのような服とミニスカートを履いた彫りの深い顔立ちをした褐色の美女が黒い高級な机にある高級そうな黒革の椅子に腰掛けた中年の男にある報告している。
 

「Mr.0。どうやら“麒麟児”ゴジ准将はアラバスタ王国国王ネフェルタリ・コブラに面会を求めているそうよ。」

 
 Mr.0と呼ばれたその男は身長2メートルを超える程の大柄な筋肉質な体型で左腕の肘から先に金色のフックを付けたオールバックの黒髪にワニのように鋭い目付きに顔の中央に横一線に斬られたような斬り傷を持った顔に黒いコートを着て、報告を受けて不機嫌そうに葉巻を吹かしていた。


「ちっ…!?うちのダンスパウダーの工場を潰した噂の“麒麟児”。この国まで嗅ぎつけてきたか…ミス・オールサンデー、Mr.1ペアとMr.2を念の為に待機させておけ。」


 この男こそゴジの追い求める闇の組織バロックワークスのトップMr.0。そして共にいるミス・オールサンデーと呼ばれた美女は副社長であり、バロックワークスの全ての司令は彼女を通じて行われている。


「Mr.1、ミス・ダブルフィンガーそしてMr.2ボン・クレーの3人にはスパイダーズカフェで待機を命じておくわね。」


 アラバスタ王国の街の一つ”緑の街”エルマルの西方に位置するスパイダーズカフェはバロックワークスの幹部たちへの任務の受け渡し場所である。

 バロックワークスの幹部は数字を与えられた男性と曜日や祝日の名を与えられた女性との二人ペアであり、男性の数字が若いほど実力や実績が高い事の証であり、ゴジを警戒してMr.0である自分に次ぐ実力者である最高幹部三人を招集したのだ。


「あと、その“麒麟児”さんだけど、貴方にも面会を求めてるわ。Mr.0…いえ勿論、彼が面会を求めているのは表の顔である貴方よ。王下七武海”砂の王”サー・クロコダイル。」


 ゴジの読み通りバロックワークスの社長Mr.0の正体は王下七武海”砂の王”サー・クロコダイルであり、このレインディナーズのオーナーとしてもこの国では認知されている。

 クロコダイルは王下七武海として最古参であり、現行の王下七武海の中でも一番海賊を捕らえ、海軍からの信頼が一番厚い王下七武海という地位を得ており、この数年視察は来ていない。

 そのためクロコダイルはゴジがただの視察に来るとは考えられなかった。


「ちっ……麒麟のガキはこの俺を疑ってやがるのか。なら会わねぇと逆に不審がられるな……ミス・オールサンデーいや“悪魔の子”ニコ・ロビン。ここへ直接来るなら会ってやると伝えておけ。」


 幹部に限らずバロックワークスの社員は全てコードネームで呼ばれており、互いの名前すら知らされていないので、たとえ社員が何人捕まろうともバロックワークスの秘密は一切漏れないようになっている。

 しかし、バロックワークス創立者であるこの二人だけはパートナーとして互いの正体からバロックワークス幹部の全ての名前を知っている。


「ええ。分かったわ。」


 バロックワークス副社長ミス・オールサンデーの正体はとある理由から僅か8歳で懸賞金7900万ベリーの賞金首となり、現在25歳となるまで世界政府の網を掻い潜って生き延びてきた“悪魔の子”ニコ・ロビンである。

 ロビンはクロコダイルから指示された任務を遂行すべく部屋から出て行った。
 

「ちっ…!?この俺の障害となるか“麒麟児”。」
 

 クロコダイルはパートナーといえどニコ・ロビンすら一切信用していない為、弱みを見せぬよう平静を装っていたが一人になると怒りを抑えられない。


「ユートピア計画だけは何がなんでも邪魔させるわけにはいかねぇ!」


 しかし、秘密裏に進めてきた彼の夢”ユートピア計画”が海軍に目をつけられた事に焦りや苛立ちを隠す事が出来ず、誰も居なくなった部屋で葉巻の火を灰皿に押し付けながらイラついた声で呟いた。 
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