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僕は 彼女の彼氏だったはずなんだ

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2-⑸

 5月になって、僕は、以前の美鈴の家の前に居た。もう、外装もリフォームして手を加えられていた。僕は、思い切ってチャイムを押した。

 直ぐに、若い奥さんらしき人が玄関から顔を出した。門からは、少し離れていたが、僕ははっきりとした声で

「突然ですみません 僕は、三倉蒼と言います。実は、お尋ねしたいことがあって」

「はい なんでしようか」

「いきなり、なんですが、この家を買われた業者さんを教えていただきたくて」

「どういうことでしょうか」 

「実は、この前の持ち主の行方を捜してまして、業者さんに聞けばわかるんじゃぁないかと思ったんです」

「そうですか そんなことは、主人に聞かないと もうすぐ帰ってきますから 家にあげるわけにもいかないですから よろしければ、後1時間したら、もう一度来てもらえます?」

「わかりました 変なこと聞いてすみません 後で、もう一度お伺いします」

 確かに、怪しいことをやっているなと思ったが、何か行動しないでは、居られなかった。時間をつぶして、もう一度行ってみた。チャイムを押すと、さっきの奥さんが顔を出して

「あぁ 帰っているわよ」と、後ろから、旦那らしき人が出てきた

「嫁から聞いたけど そんないきなり来て、理由もわからないで、話すわけいかないよな」と、言われた。

「すみません 以前ここに住まわれていた中道さんのことを探してるんです そこのお嬢さんと、僕は、中学の同級生で、一緒の高校にいこうと約束して居たんですが、受験は受かったのに、中学の卒業式から突然、居なくなってしまって・・何とか、消息がわからないかなと思って」

「そうなんか 中道さんを知っているのか 詳しく事情聞くよ まぁ あがんなさい」と言って、ダイニングに通された。

「君が信用できると思うので、話すんだが、ここを売ったのが中道さんだってことは、不動産屋から聞いていて知ってるんだ。登記簿を見れば、中道さんから直接買った業者がわかると思うから、後で見て教えるよ」

「有難うございます そこで聞けば何か手がかりがあるかも」 

「君は、学生なのか」

「はい 今年から〇〇大学です」

「あら 勉強できるのね あなた あのこともお話してあげれば この人、真剣に、彼女のこと思っているのよ」と、奥さんが口添えしてくれた。

「そうだな 僕は、市役所に勤めているんだが、中道さんとは何回か面識あるんだ。あの時は商工課に居てね こんなこと言っちゃぁだめなんだろうけど・・お見舞いにも行ったことあったが、僕のことも認識が無かった状態だったよ あの時、付き添いしていた娘さんが、君のいう彼女だったんだろう しっかりした女の子だったよ」

「ええ 多分、病院に付きっきりで、最後のほうは学校にも来てなかったですから」

「商工会の人から聞いたんだが、お店をたたむ頃、中道さんとその娘さんが相談にきたらしい。店を閉めるにあたって借入金などの返済をしなければならないし、引き続きの融資の相談だった。店の総料理長と言う人も同席していたんだが、肝心の中道さんの状態をみて、決済に戸惑っている間に、この家を売りに出したということだった。僕も、何にも出来なくて、心が少し、痛いんだ」

「そんなことになっていたんですか 有難うございます 話してくださって」

「私達 結婚前に、よく「ナカミチ」に行ったのよねぇー おいしくて、安かったから」と、奥さんが話してくれた。

「そうだったね でも 彼女が君に何にも言わないで、いってしまったということは なぁー」

「あら そういう女の人だって居るわ この人のことが本当に好きだったから なんにも 言わないで、身を引いたのよ 多分」と、奥さんが言ってくれた。  

「そうなのかもな いや 話過ぎたかもな 君が真剣みたいだったから つい でも、うまくいくといいね」

「もし、又、会えたら、絶対、彼女を離したらだめよ」と、言って送り出してくれた。 
 
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