| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

僕は 彼女の彼氏だったはずなんだ

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

1-⑸

 3月に入ると美鈴は学校に来なくなった。ラインしても「大丈夫 元気 お父さんの側にいたいの 試験にはいくから」とだけ返事が返って来る。心にひっかかるものがあったが、試験の日が迫ってきていた。

 当日の朝、美鈴が現れた。僕達の前では「頑張るぞー」とか声を出して明るく振舞っているみたいだった。僕は、昇二と「様子が変だな」と顔を見合わせながら、試験会場に入った。

 科目が終わった後も、美鈴は自分の席から離れず、僕達とは、話しせずじまいだった。全て終わった後も「ごめん お父さんの側に居なきゃ」と言って、さっさと帰って行った。皆が、夜にラインしたみたいだったが、返事がないままだった。そのまま、学校にも出てこなくなった。

「中道の店 出口店を閉めたらしいぜ 割と急だったらしい」と、昇二が言ってきた。

「そうなんか お父さんが入院しているのって、影響しているのかな 美鈴、何にも話さないから あいつ」

「蒼 お前 中道と特別に付き合っているのか?」

「うん 僕は、彼女が好きなんだ 意識している」

「だろうな うすうす感じていた 最近、名前、呼び捨てだから 二人ともミサンガ着けていたものな でも、お前等、小学校から仲良かったもんな 中道は可愛いし」

「すまん 高校に入ったら、話そうと思ってた でも、最近だよ」

「謝ることじゃぁないよ お似合いだと思うよ やったなー」

 合格発表の日。僕達は、みんな揃って受かっていたが、その日、美鈴の姿は無かった。ラインしてみたが「おめでとう 卒業式は出る」と短い返事が返ってきたきりだった。

 卒業式の朝も美鈴の姿は無かった。僕達は心配しながらも、式を終えて、それぞれの教室に戻ろうととしていた時、僕の前にテニスボールが転がってきた。

 振り向くと、体育館の陰から・・美鈴だ。おいでおいでをしている。僕は、側に駆け寄っていった。

「どうしたんだよ なんで、来なかったん 大変なのか」

「ごめんね 急な用事で・・ 蒼君には、会っておきたかったから・・」

「何でも、抱え込まないで、話してくれよ 約束だろう」

「うん 落ち着いたら話す これ 渡したかったんだ 私が、大事にしている子猫チャンの人形 持ってて あのね 次に会えれば 多分、高校の入学式までも・・」

「どういう意味だよ 僕は、何か力になれないのか」

「うぅん そういうんじゃぁないけど でも、待ってー 蒼 私は、あなたが好き ちょっとかがんで」と、言ってきたかと思うと、いきなり、背伸びして、僕のほっぺにキスをしてきた。そして「元気でね」と、言い残して去って行った。

 僕は、いきなりで、情けないことに、しばらく動けなかった、そして、追いかけることも・・。この時は、もう会えなくなるなんて、思ってもみなかった。昇二と光瑠にそのことを話した。

「そうなのよ 美鈴から 意味不明なメール入っていたのよ もう、会えないみたいな」と、光瑠が言っていたが

「俺にも、来ているよ 今まで、有難うっていうような意味かな」と、昇二も言っていた。

「美鈴のうちにみんなで行ってみようぜ あいつの店、本店も15日に閉めたらしい 大丈夫かな、あいつ」

 先生に住所を聞いて美鈴の家に3人で行ってみた。社長と言うには、ごく普通の家だったが、門には「売り家」の看板が下がっていた。美鈴に電話してみても(電源が切られているか・・)で連絡付かなかった。

 そのまま、何回も電話してもラインしても返事がなく、数日後には(現在使われていません)に変わっていた。

 そして、高校の入学式を迎えたが、美鈴は僕達の前から姿が消えてしまったのだ。

 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧