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僕は 彼女の彼氏だったはずなんだ 完結

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1-⑶

 その年は、僕達には、正月も無かったが、昇二が合格祈願ぐらいは行こうぜと提案があった。みんなも賛成し、大阪天満宮に決めた。

 駅で待ち合わせしていたが、美鈴が現れた時、僕はびっくりした。学期末に別れた時よりも、やつれて顔に艶も無いように思えたのだ。

「美鈴 大丈夫なんか?」

「何が 元気だよ ちょっと、勉強し過ぎて、寝不足なだけ」

「美鈴 お肌も荒れているよ いつもツヤツヤなのに」と、光瑠も心配していた。

 僕達は、天満橋まで出て、そこから歩いて向かっていて、前に昇二と光瑠が歩いて、後ろから、僕と美鈴は並んで歩いていた。美鈴は、前を伺いながら、時々、そーっと手をつないできていた。まだ、初詣客で混んでいた。

 お詣りを済ませて、みんなで絵馬に願い事を書いた。その時、美鈴は隅っこに「みんなで一緒に」と書いていたのが見えた。僕はあわてて「美鈴と」と書いて結んだ。そして、僕は、内緒でミサンガ風のお守りを買っていたのだ。

「美鈴 お父さんの具合どうなの?」と、光瑠が切り出した。帰りの電車に乗る前にみんなでカフェに入っていたのだ。

「うん もうすぐ退院すると思うよ でも、しばらくは、仕事出来ないだろうって それに、なんか仕事のことって忘れてるみたいなんだ」

「そう お母さんが会社の方見てるんでしょ だから、美鈴が病院のほう面倒見てるのか 大変なんだ」

「そうなんだけどね・・」と、美鈴は歯切れが悪かった。

「中道 無理すんなよ 俺等仲間なんだから、手伝えることあったら、言ってくれよな 身体だけは、大事にしろよ」と、昇二も心配していた。

「有難う でも、大丈夫 私のことなんか心配しないで、受験に集中してよね」と、美鈴は返していたのだが・・

 みんなと別れた後、僕は、美鈴を追いかけた。あのお守りを渡すためだ。

「美鈴 これ! もう一つは、僕の 一緒に高校行こうぜ」と、ピンクと赤のほうを差し出した。

「ありがとう うれしいー そっちは、ピンクと青なんだ 絆だね」

「美鈴 本当に、大丈夫なんか?」

「うん なんとか乗り切るよ 今だけ、少し大変なだけ」

「何かあれば、言えよ 俺は、お前の・・」

「わかってるって 君は、私の蒼君 美鈴も蒼君のものってことで、いいんだよね!」と、お守りを美鈴の利き手の左に着けて見せた。
 
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