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おっちょこちょいのかよちゃん

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153 倒しきらなかった理由

 
前書き
《前回》
 コノート公の軍勢に苦戦するすみ子達を援護すべく、ゆりは自分の能力(ちから)や毒を精製する道具を使用して敵を追い詰める。そしてエレーヌも援護に現れ、すみ子達は再び戦線に復帰し、コノート公の軍の討伐を完了させるのだった!! 

 
 コノート公の軍勢を倒した組織「義元」は通信する。
「こちら領土攻撃班。コノート公とかいう奴等を倒した!」
 フローレンスからの返答が来る。
『お疲れ様です。そのまま先に進んでください』
「了解。行くぞ」
「しかし・・・」
 エレーヌが止めた。
「貴方達が勝てたのは剣奪還班の者の援護が大きいです。四人では心細いと思いますので私が援軍をお呼びしましょう」
 エレーヌは腕を一回振り回した。
「何方かこの少年少女と共闘してくださる方?」
 その時、別の声が聞こえた。
「私が行きましょう!」
 騎士が一人現れた。女性だったが、男性のような勇ましさを持っていた。そしてその部下と思われる兵が十名ほどいた。
「ジャンヌですね。ありがとうございます」
「ああ、エレーヌ。貴女の言う少年少女とはこの者達だな?」
「は、はい・・・!」
「我が名はジャンヌ。私も君達と戦おう!」
「あ、ありがとう」
 組織「義元」なエレーヌやジャンヌの軍と共に進む事になった。

 剣奪還班は禍々しい気配のする戦争主義の世界の上空を進む。
「ところでゆりちゃん」
 三河口は従姉に聞く。
「え?」
「先程の連中達、ゆりちゃん一人でも留めをさせた筈。どうして倒しきらずにそのまま戻ったのでしょうか?」
「そうね。それは向こうの仕事だと思ったし、こっちは早く剣を取り戻さないと行けないでしょ?それで後はあの子達に任せたわけ」
「・・・はい」
「それに健ちゃんが昨日フローレンスから貰ったその手紙からして剣さえ本部に持ち帰れば次は他の三つを一緒に揃える必要があるんでしょ?健ちゃんだけの武器を作る為にね」
「そうですね・・・」
 そして進む。だが、三河口はある事を考えていた。
(ところで杉山君、りえちゃん達を振り切って逃げたそうだが、一体何を考える?それが君にとってこちら側の為になるのか?かよちゃん達も心配するぜ・・・)

 本部の一室。先代の杖、護符、杯の所有者達は地図を確認していた。フローレンスとイマヌエルもいる。
「あの子達も援護が来ましたか」
「ああ、剣奪還班の援護で彼らの劣勢を塗り替えた。あの十人を剣奪還班に選抜した結果は間違っていなかったようだね。それから、安藤りえちゃん達の所に羽柴奈美子さんのもう一人の娘さんが到着したようだ」
「でも、杉山君は何処行っちゃったのかしら?」
「そうですね・・・」

 その頃、一人の少年が遊び相手の女性達と温泉を楽しんだ後、ある女性の屋敷に戻っていた。
「お帰り、皆の衆。食事を用意させてあるぞ」
「茂様、行きましょ、行きましょ!」
「うん!」
 自分が誘拐され、かつ政府と赤軍の取引に利用されているとは気づかない少年はこの世界での生活を楽しむ。人々は食堂へと向かう。
「茂様、こちらは林檎と砂糖で作った飲み物がございます」
「こちらは葡萄と砂糖で作られております」
「こっちはですね、蜜柑と砂糖で作られていますよ。どれにしますか?」
「う〜ん、全部貰おうかな?」
「贅沢ですね!」
 結局、全ての飲み物を貰い、食事をする。
「この麻婆丼は私が作らせて頂きました」
「こちらは挽き肉を使った西洋の料理で私の力作でございます」
 料理係の女性が作った西洋の料理とはいわばハンバーグたった。
「ありがとう、どれも美味しいよ!」
「ありがとうございます。私がお嫁なら何時でもこのような食事を・・・」
「あら、私の方がいいわよ」
「け、喧嘩しないでよ!」
 少年に止められ、二人の食事係の女性は我に帰った。
「さて、紂王様。私は一旦失礼しますわ」
「おう」
 妲己は別の部屋へ向かう。そしてとある道具を出す。
『こちら赤軍。敵の勢力が巻き返し始めた!』
「どうやら、この地も危なくなって来たわね・・・」

 その頃、杉山を見失ったりえや冬田達は援軍を待った。
(杉山君ったら、何してくれるのよっ・・・!!)
 りえは喧嘩しつつも、裏では好意を持っていた男子からの仕打ちに悪意を覚えていた。
「大野くうん、早く来てえ・・・」
 冬田は好きな男子の登場を待つ。そして、「大丈夫か、冬田?これからはどんな時も俺が守ってやるぜ」などと大野から言われる事を妄想していた。
「冬田さん、残念だけど大野君は来ないと思うわ」
 りえが断言する。
「どうしてえ!?」
「だって大野君はかよちゃん達と藤木君の救出に行ってるはずよ。それに、もう助けてくれる人が来たわ」
 大人の男女が二名、現れた。
「皆、大丈夫!?」
 かよ子の隣の家に住むというおばさんの娘の一人、ありとその夫・悠一だった。
「はい」
「皆、俺達と行動しよう」
 ありは通信機を取り出す。
「こちら煮雪あり。杯の所有者達と合流しました」
『畏まりました。共に行動をお願い致します』
「ありがとうございます。冬田さんだっけ、その羽根で私達を乗せてよ」
 みゆきが頼む。
「え、ええ・・・」
 冬田は大野と一緒が良かったと心の中で不満に思いながらも皆を羽根に乗せて移動した。

 一人の女王がその場で一人の将軍が率いる軍勢の消息を知る。
「・・・コノート公が倒された。あんなに優勢だったのに・・・」
 その女性は嘗てイギリスを帝国としてアジア・アフリカなど多くの国々を植民地にした女帝だった。一人の男性が女王の部屋に入る。
「ヴィクトリア女王様。只今敵の本部へ侵攻していたコノート公が倒されました」
「そうみたいね。どうやら我々が生きていた頃の世界の人間がこの地に敵に肩入れしているとか・・・」
「いかにも」
「でも我々も同じ。奪われた領土は奪い返すのみ。全員世界統一の為に!」
「はっ!」
 部下の男は敬礼した。そして部屋を出た。
「私は嘗て女帝として民衆から支持を得た身・・・。植民地化する事で強くなれる・・・」
 ヴィクトリア女王はとある地での戦いに目を向ける。
「それにしぶといわね。同じ祖国の女王であるというのに、何度も攻め入って・・・」
 ヴィクトリア女王の傘下の軍はある艦隊とも激突を繰り返していたのである。その場所はとある海。戦争主義の世界の本拠地であるレーニンのいる場所の近辺の海の守護をレーニンからの依頼により軍を派遣させているのだが、それでも襲撃する隊がいる。赤軍という日本の過激派が発明した機械によってこちらが優勢に傾くとはいえ、それでも彼女からしても、レーニンからしても鬱陶しい存在だった。
「いい加減にしなさい、クイーン・ベス、ブランデー・ナン・・・。忌々しい・・・」
 女帝は各地で派遣した軍隊に早々と平和主義の世界の侵略完了を願った。

 そして杖の所有者達は行方不明のクラスメイトの卑怯な男子を連れ戻す為に進む。
「くそ、胸がすげえざわつくぜ・・・」
 大野の見聞の能力(ちから)が強まっている。
「もしかしたら、敵がもっと近づいてるのかもしれないね・・・」
 かよ子はこの北東の方角に藤木がいると確信しているが、自身は見聞の能力(ちから)を持っていない。しかし、それでも緊張による心臓の鼓動は激しくなっていった。 
 

 
後書き
次回は・・・
「容赦なき金属攻撃」
 藤木の救出に向かうかよ子達にいきなり敵が来襲する。戦闘態勢に入るかよ子達だったが、銀の槍が襲ってくる。杖を利用して上手く迎撃しようと試みるかよ子ではあったが・・・!? 
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