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ジェルマ王国の末っ子は海軍大将

作者:蒼たん
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第一章 少年期
  第三十九話

 カタリーナ海賊団を無事に海底大監獄(インペルダウン)へ収監し終えた後、例の渦潮海流に乗って正義の門を潜りマリンフォードに帰還した第二部隊をゼファーとつるが出迎えた。

 つるは海底大監獄(インペルダウン)でのステューシーからの報告とその後のゴジとの通話から帰還することを知っており、出迎えついでにゼファーに声を掛けたのだ。


「ゼファー教官、おつるさん、ジェガート第二部隊ただいま帰還しました。“若月狩(みかづきが)り”カタリーナ・デボンとその一味は無事に海底大監獄(インペルダウン)へ収監しました。」


 隊長であるステューシーが先陣を切って港に降り立つと彼女に続いて第二部隊全員も船から降り、つるの前に整列するとステューシーが前に出で敬礼と共に帰還報告をした。

 
「おつかれさん。みんな無事で何よりだね。今日はゆっくり疲れを癒しな。」

「はっ!では皆、解散!」


 つるの労いの言葉を受けて、ステューシーが部隊に向けて指示を出す。


「「「はっ!!」」」


 ステューシーの指示を受けて各々船に戻り、自分の荷物を取りに戻る者、既に荷物を降ろしており、その足で帰宅する者等様々であるが、共通しているのはやはり無事にマリンフォードへ帰って来れたことへの安堵感であろう。

 全員、一様に笑顔であり、そんな中ゴジも笑顔でゼファーとつるの元へ駆け寄って行く。


「爺さん、婆さん帰ったよ!」

「ゴジ、大活躍だったね。」 

「おう…それしても最初の航海がエドワード・ウィーブルで二回目の航海でカタリーナ・デボンとは全く運がいいのか、悪いのか…」


 つるとゼファーはゴジを労いながら、ゴジの持つヒキの強さに苦笑いを浮かべる。


「“若月狩(みかづきが)り”を倒したんだから、ゴジの昇進は間違いないね。」

「まぁ、そうだろうな。元々ウィーブルの野郎の件は保留になってたんだ。」 


 ゼファーとつるがゴジを見ながら、しみじみと話すと身支度をしながら聞き耳を立てていたそれを聞いていた第二部隊の女海兵が反応して口々に驚いた声を出す。

 “牛鬼”エドワード・ウィーブルを拿捕したパーフェクトゴールドがゴジであることは公表していないものの海軍上層部や世界政府は周知の事実であり、この功績を元に近々ゴジの昇進は決まっていたのだが、”牛鬼”を超える大海賊”若月狩(みがづきが)り”の拿捕という功績は昇進しない方がおかしいのだ。
 

「ゴジ君、もう昇進するの!?」

「すごぉーい!」

「よく考えてたらカタリーナ・デボンを倒したのよ!当たり前じゃない?」

「そりゃそうね!」


 第二部隊の面々は自分の胸くらいまでの身長しかないゴジを感心して見つめている。


「うちは実力主義だからな。最恐最悪の女海賊と名高い“若月狩(みかづきが)り”カタリーナ・デボンを捕らえたゴジの名は世界中に響き渡るぞ。」

「これはゼファーと同じく一気に少尉になって、最年少海軍本部将校となるかもね…。」

 
 一般的に海軍本部将校と呼ばれるのは軍曹、曹長を経て少尉から上の階級を差し、将校の証である背中に正義の二文字が刻まれた白いコートを着ることが出来るのも少尉からである。

 過去に軍曹、曹長を飛ばして一足飛びで少尉となった男は一人いる。

 その男こそ、海軍本部入隊わずか5ヶ月で当時1億ベリーの賞金首“切り裂き”ジャック・ストローを捕らえた元海軍本部大将、現海軍本部訓練教官の“黒腕”のゼファーであり、入隊して5ヶ月の18歳9ヶ月での少尉昇格は誰にも破られていない不動の記録である。
 

「ガハハハ!老兵は去るのみってことだな。俺の記録なんかどんどん抜いて偉くなれよゴジ!」

「おぅ!爺さんがくたばる前に最強の海兵になって海軍大将になるって約束したからな。まだまだ長生きしろよ。」

「っ…!?そうだったな。センゴクが元帥室で待ってる。早く行け。」
 

 ゼファーは歳を重ねたせいか涙もろくなったと思いながら、ゴジの想いに感激して涙が出そうになるので、左手で顔を覆いながら、ゴジ達に背中を向けてその場を去っていく。


「おう!じゃ、婆さん行ってくるよ!」

「ホントただのジジイじゃないか。ちょっと待ちな。私も一緒に行くよ。」

「そうか。なら早く行こうぜ、皆行ってくるよぉ〜!」


 ゴジは元気よく手を振って第二部隊に別れを告げて、つると手を繋ぎながら二人で海軍本部基地へ入っ行った。


「「「ゴジ君、またねぇ!」」」


 第二部隊の面々は微笑ましい姿を優しい笑みを浮かべて見送った。

 

 ◇

  

 ゴジとつるは元帥室に入ると、中にはセンゴク元帥と海軍本部が誇る三大将と、中将のモンキー・D・ガープの五人が待ち構えていた。

 ゴジは三大将の内、顔見知りのクザンの横に並んで立っているボルサリーノ大将とサカズキ大将と会うのは初めてだが、当然顔くらいは知っている。

 この世界において正義の象徴である海軍本部の三大将を知らない者の方が少ないだろう。
 

「センゴク、ゴジを連れてきたよ。」

「ゴジ、入りまーす。」

「ゴジか…“若月狩(みかづきが)り”の拿捕、本当にご苦労だったな。よくやったぞ!!」
 

 デボンの拿捕に気分よくしているセンゴクはゴジの間延びした声を叱責することもなく、笑顔でゴジを出迎えた。

 世界中の女性が恐怖するデボンの拿捕は世界政府から海軍本部に与えられた最優先事項の一つだったのだ。

 
「ぶわっはっはっ!“若月狩(みかづきが)り”は鼻が効くからのぉ…中々捕まらなんだが…まさか狙った船に六式の使い手が二人もおるとは思ってもみんかったじゃろうな。」 

 
 ガープの言っていることは正しく“黒檻”のヒナに目がくらんでゴジやステューシーの実力を見誤ったデボンの失態であった。

 仮にゴジがいなくてもステューシーの実力であればデボンの拿捕は可能だったはずである。
 

「しっかしねぇ〜…覇気使いの“若月狩(みかづきが)り”を本当にこんな子供がやったか〜い?」


 ゴジとの絡みのないティアドロップ型のサングラスを掛けた長身の男は年相応の身長しかないゴジがデボンを一人で倒したことが信じられないようだった。

 間延びするような喋り方で疑問を投げかけてきたこの男は3mを超え、黄色のストライプスーツの上に海軍コートを着用した男で、顔立ちを端的に表すなら「北〇国から」でおなじみの俳優田〇邦衛である。

 
「“黄猿”ボルサリーノ大将ですよね。はじめましてよろしくお願いします。」

「ゴジ君とははじめましてだねぇ〜。よろしくねぇ〜」


 相変わらず間延びした声で、感情の読み解けない表情で自分を値踏みするボルサリーノに対して、不気味さを感じつつゴジは頭を下げる。


「ゴジの力ならデボンを倒しても不思議じゃないよ!」


 身を持ってゴジの実力を知るクザンはゴジを擁護する。


「しかし、仮に実力はあってもわしはこんな子供に海軍将校が勤まるとは思えんがのぉ…ゴジ、わしのことも突然知っろうのぉ?」

「もちろん。“赤犬”サカズキ大将、よ…よろしくお願いします…」
 

 サカズキは海軍の上層部として真っ当な意見を述べて葉巻を咥えて威圧感を隠さずにゴジの年齢の低さを不安視する。

 サカズキはボルサリーノやクザンと同じくらいの3mを超える長身にガッシリとした体躯の持ち主。眉間を中心に顔中に無数のシワを寄せた厳めしい風貌と角刈り頭が特徴であり、こちらも一言で顔立ちを表すと任侠映画でバリバリ活躍していた若かりし頃の名優 菅〇文太である。

 ゴジは今まで会ったどんな海賊よりも恐ろしい顔で自分を上から睨み付けるサカズキに対して一目で苦手意識を抱く。

 
「サカズキ、それならば問題ない。私が直々に指導している。作戦立案から部隊指揮のやり方まで全てを伝えてある。」

「センゴクさん、全てとはどう意味じゃ?」

「全ては全てだ。私の海軍として培った全ての知識をゴジに伝えた。それにゴジは覚えるだけでなく、自ら考えて自分の意見を主張するほどだぞ。」


 ゴジは僅か一ヶ月という短い期間で、センゴクからの教えを全て身に付けている。

 その中には将校になってから教えようと思っていた部隊指揮や部下の心情把握方法、市民応接の心構え等も含まれていたのだ。
 

「「「なっ…!?」」」


 三大将は揃って驚きを顕にする。

 彼等も大将になるまでに上司として大切なことや心構え等、昇進を重ねる度に多くの座学を受けてきたから、それ等全てを身に付けたというゴジに三人揃って大きく口を開けてマヌケな顔になって驚愕する。


「少なくとも、貴様らよりはゴジの方が何倍も物覚えがよかったぞ。」


 三大将といえども強い悪魔の実の能力者で腕っ節には自信あっても、頭の硬いサカズキ、サボり癖のあるクザン、理解しているか分かりずらいボルサリーノ彼らも頭の方を鍛えるのはかなり苦労したようだ。


「でも━━。」

「だから、━━━━。」


 その後、しばらく三大将とセンゴクに部隊長のつるを混じえた五人でゴジについて話し合いが続く。


 ◇


 話に飽きたガープは同じくつまらなそうにしているゴジに気付いて、ポケットに入れていた煎餅を取り出して、袋を開いてゴジに勧める。


「ゴジ、お互いに置いてけぼりじゃの…こっちに座って一緒に煎餅でも食べんか?」


 ガープは煎餅の袋を机に置いて、自分の腰掛けているソファーをポンポンと叩くと、ゴジは嬉しそうにそこに腰掛けて煎餅を摘んだ。


「ガープさん、ありがとう。ガープさんの煎餅は美味いよね!」

「そうじゃろそうじゃろ!ぶわっはっはっ!」

 
 ガープは嬉しそうに煎餅をバリバリと食べているゴジを見て、自分も煎餅に手を伸ばす。

 こういう他人の機微によく気付く所が、ガープという男が海兵から市民まで幅広い人達に長年に渡って好かれてきた由縁である。
 

「ゴジ、こっちに来い。」

「バリバリ…もごっ(はい)…バリバリ…」


 センゴクは三大将達との会話を終えてゴジを呼ぶと、口に煎餅を含んでリスのように頬が膨れているゴジに気付いて、その隣で同じ顔をして煎餅を食べているガープを睨む。
 

「こらガープ!大切な話をしているのにゴジに煎餅を食べさせるな!」

「ぶわっはっはっ!」


 ガープは大笑いしながら、なおもゴジと同じように煎餅をバリバリと頬張る。


「全く…このバカだけは…」

 
 頭を押さえてセンゴクは口から煎餅の欠片を撒き散らしているガープに心底から呆れ果てる。

 現在いる海軍将校の中で何かと理由をつけて座学をサボり続けたにも関わらず、中将という地位にいるのはこのガープだけである。
 

「はぁ…バカは置いといて……ゴジ、これを見ろ。」


 センゴクは机に綺麗に折り畳んで置いてあった背中に正義の二文字が刻印されたゴジの身長に合わして作られた特注の海軍コートを「正義」の二文字が彼に見えるように両肩を持って広げる。
 

「ゴジ…話を聞いているかもしれんが、お前は“若月狩(みかづきが)り”を拿捕した功績だけでなく、”牛鬼”エドワード・ウィーブルを拿捕した功績も鑑みて、即日大尉(・・)への昇進が決定している。これはお前に支給するコートだが、将校入りの証である『正義』のコートを着る我々海軍将校にはそれぞれ己が掲げる正義がある。ゴジ、お前はどんな正義を掲げる?」

「大尉?まさか将校入りは間違いないと思ったけど、いきなり大尉とはね。これは流石に驚いたよ。」

「あぁ。異例中の異例だが、若いという事を除けばゴジの実力的にはそれ以上であることは間違いない。」


 二種の覇気を使いこなし六・六式(ダブルロクシキ)を身に付けたゴジの実力を知るつるもセンゴクの説明に納得する。


「まぁ……それはそうだね。」


 通常、実力主義の海軍において低階級の海兵がその階級に見合わない大物海賊を拿捕した際の功績で二階級特進は珍しくない。

 ゴジの場合は表には出ないものの”牛鬼”拿捕の功績により、何もしなくとも来年には少尉への昇進が確定していたのだが、そこに”若月狩(みかづきが)り”拿捕の二階級特進が合わさり大尉への昇進が決定したのだ。


「もぐもぐ…ごくん。う〜ん…いきなり言われてもな…」


 ゴジは口に頬張った煎餅を飲み込んでから、両腕を組んで考える。


「ゴジ、難しいことを考えなくていいよ。あんたはどんな海兵になりたいんだい?それがあんたの掲げる正義だよ。」

 
 ゴジはどんな正義と言われてもピンと来ないが、どんな海兵になりたいかという質問には強くは自信を持って答えられる。


「俺は最強の海兵になる。」


 悪から恐れられ、民から慕われる最強の海兵になるというこの夢を成し遂げるのは確定しているなので、自ずと自分の目指すモノが見えてくる。


「正義……せいぎね……。そうか……俺は━━━を目指すよ!二ヒヒヒっ。」


 ゴジは口に出してみると、最強の海兵にはこの言葉がピッタリだと思って満面の笑みを浮かべた。 
 

 
後書き
ゴジの目指す正義とは……?。
 
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