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おっちょこちょいのかよちゃん

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152 従姉は毒使い

 
前書き
《前回》
 戦争正義の世界本部にあるという異世界の剣を奪い返しに向かう三河口達剣奪還班。三河口がフローレンスから貰った手紙より自分の武器が持つ為の条件があると知る。そんな時、彼らの付近で濃藤の妹・すみ子達が敵と交戦していた!!

 羽柴家の長女の戦闘スタイルはどのようなものなのか?今回でようやく明らかになります!ていうか、妹二人と比べて明かされるのが遅かったですね・・・。 

 
 剣奪還班は小学生四名が敵と交戦している事について関わるかどうか悩んでいた。
「はて、ゆりちゃん、どうしますか?」
「手助けしたい気持ちはあるけどね・・・」
 その時、全員の通信機器から声が聞こえる。
『こちらフローレンス。剣奪還班の皆様、聞こえますか?』
「聞こえるわ」
 ゆりが応答した。
「そちらに今、領土攻撃班が戦っています筈です。彼らは小学生の四人組で心細いと思います。その内一人の女の子は濃藤徳崇君の妹の濃藤すみ子ちゃんです。援護をお願いできますでしょうか?」
「やってみるわ」
『ありがとうございます。それでは御武運を』
 ゆりは呼び掛ける。
「皆、私はあの子達の援護に行ってくるわ。誰か瞬間移動させてくれる人はいるかしら?」
「それなら私が」
 政美が応える。
「政美ちゃん・・・ね。それじゃ、私を近くへ移動させて他の皆はそこから支援して攻撃してね。何かあったら連絡よ」
「はい、それでは」
 政美が超能力でゆりを移動させた。
「三河口君、ゆりさんってどんな道具持ってるの?」
 奏子が三河口に聞く。
「え?」
 三河口はゆりがどのような戦闘スタイルかは全く知らなかった。名古屋でさりの援護に現れた時もどう戦っているのかも確認していない。
「実は俺も解らん。光江ちゃん、知ってるか?」
 三河口はゆりの隣に住む光江に振った。
「ええと・・・」
 光江は答えようとする。
「確か、毒でも使ってたような・・・」
「毒?」

 山口、川村、ヤス太郎、そしてすみ子の四人は軍勢と遭遇していた。
「小僧どもか・・・。さっさと片付けちまうか」
「何者だ?」
「私はコノート公とでも呼んでくれ。邪魔立てする気なら子供でも容赦はせん。かかれ!」
 コノート公は部下の隊に攻撃を命じた。
「来るぞ!」
 山口は矢を放ち、川村はバズーカを打ち、ヤス太郎はパチンコを発射する。しかし、相手に全く通用しない。
「山口、全員例の機械を持ってるぜ!」
「ああ、これじゃあ埒が明かねえ!」
 相手が砲撃する。すみ子が銃でバリアを張るが、いとも容易く破られた。隊の爆発に四人は巻き込まれ、吹き飛ばされた。
「ワー!」
「キャー!」
 命は無事だったが、あまりにも劣勢すぎる。その時、通信が来た。
「こちら剣奪還班、祝津ゆり。近くで戦ってる人、返事できるかしら?」
 山口が応答する。
『こちら山口。今敵と交戦した』
 しかし、コノート公の軍隊の二発目の砲撃が来る。対して山口は慌てて矢を放つ。爆発を起こして相手を攻撃する矢だったが、相手の砲撃の方が上だった。
「川村、ヤス太郎、すみ子!!」
 山口は見回した。しかし、返事はない。軍隊は隙なく近づいてくる。その時、コノート公が止まり、後ろを振り返った。
「何だ!?」
 後ろから煙が上がっていた。
「くう!」
「早く、守れ!」
 煙が広がる。兵隊達は無事だったが、機械が破壊される音がした。
「うわああ!」
(敵か?味方か?)
 その時、山口は自分が何処かに吸い込まれていくような感触がした。そして瞬間移動された事が確認される。
「ここは・・・?」
 仲間もいた。
「川村、ヤス太郎、すみ子!お前らも無事だったか!」
「うん・・・」
「この人が助けてくれたでやんす!」
「無事でよかったですわ」
 西洋人の女性がいた。以前、すみ子の兄が通う高校の文化祭の帰りにフビライを倒すのに共闘してくれた人物だった。
「アンタは確か、エレーヌ!」
「ご無沙汰しております。私の能力で遠くへ移動させました」
「それで今の煙は何なんだ?」
「あれは剣を奪還する方による毒の煙です」
「毒の煙?」
「ええ、ここにいれば安全です」

 ゆりはコノート公の兵の後ろに回り込み、息を毒の煙と化して機械の破壊を試みていた。
「こちら祝津ゆり。そっちで遠距離攻撃できる人、奴等の機械を破壊して!」
「了解!」
「俺も行くぜ!」
 政美が超能力で、濃藤が運命の剣(デステニーソード)で兵隊の方に向ける。二人で一気に兵隊達が持つ機械を破壊した。
「俺もゆりちゃんの援護に行きたいんだが・・・」
「道具持っとらん奴は引っ込んどれ」
 鯉沢が三河口に釘を刺した。
「・・・そうだな」
 三河口は鯉沢の台詞にムッと来たが抑えた。ゆりは兵の攻撃を武装の能力(ちから)の防御で跳ね返し、接近して拳を突き込む。突き込まれた兵たちが一瞬で溶解する。
「こ、この女!?」
 コノート公は一瞬で自身の兵を溶かす女に恐ろしさを覚えた。
「貴方、子供相手に随分と容赦ないなんて大人げないわね」
「女!お前も倒してやる!」
 コノート公は剣を振って火薬を発生させた。しかし、ゆりには通じない。それどころか火薬を捉えて無力化してしまう。
「残った者共、やれ!」
「政美ちゃん、私を戻しなさい!」
『え?はい!』
 ゆりは姿を消した。

 避難したすみ子達の元に通信が来る。
「こちら剣奪還班。相手の礼の機械は破壊したわ。後はやれるかしら?」
「あ・・・」
「もちろん、後はとどめを刺す!」
『解ったわ。では私達は先を急がせて貰うわね。それじゃ』
 通信が切れた。
「皆様、行けますか?」
「うん・・・!!」
 組織「義元」は再び立ち上がる。そしてエレーヌは上空へ去る姿を見た。
(あれはシミズの地で徳林奏子さんに差し上げた羽衣・・・。上手く使いこなせていますわね・・・。頑張って剣を取り返してください・・・)
「ヤス太郎、眠り玉を使え!」
「了解でやんす!」
 ヤス太郎は眠り玉をパチンコで発射する。コノート公が眠りに落ちる。行きりの兵も皆寝てしまった。
「川村、俺達でやるぞ!」
「おう!」
 山口は矢で射貫く。川村はバズーカを発射する。爆発が起き、コノート公の軍勢は光となって散った。
「全員やったのか・・・?」
()い。コノート公の軍勢は全滅しました」
 エレーヌは答える。
(しかし、コノート公は確か女帝ヴィクトリアの手先・・・。次に誰が来るのか・・・)
 エレーヌは心の奥で懸念した。

 ゆりが羽衣の上に戻って来た。
「ゆりちゃん、凄い健闘でしたね。しかし、毒使いというのは初めて知りました」
「ええ、私のこのアンクレットが出してるのよ」
 ゆりは自身の左の足首にある紫のアンクレットを見せた。
「これで触れた相手を溶かしたりできるわけ。息を毒の煙にしたり、触れた水を毒薬にしたりする事ができるのよ」
 ゆりは種明かしをした。
「それじゃ、急ぎましょうか」
 剣奪還班は戦争主義の世界の本部へと向かう。 
 

 
後書き
次回は・・・
「倒しきらなかった理由」
 コノート公の軍勢を倒したすみ子達はエレーヌによって共闘できる相手を呼び出され、その者達と行動する事になる。そしてゆりはなぜ全員を倒さなかったのか、三河口は尋ねる。様々な人物が戦闘を次々と進めて行く・・・!!
 
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