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おっちょこちょいのかよちゃん

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151 自分だけの武器

 
前書き
《前回》
 娘・テレーズを強引に引き抜きに訪れたアントワネットとその愛人・フェルセンとの戦いに苦しむかよ子達。そんな時、アントワネットの娘のテレーズが助っ人としてかよ子と共闘する。フェルセンを撃破し、アントワネットの何でも防御するドレスや首飾りの攻略に苦しむ一同だったが、のり子の人形・キャロラインがドレスの中身だけを狙えばいいと察する。のり子の念力とさきこの宝石で無理矢理裸の状態にされたアントワネットはテレーズによって始末される。そしてかよ子達は藤木の救出へ向かい、長山達は本部で守備を続けるのだった!!

 オリジナルキャラ紹介・その12
 鷺森光江 (さぎもり みつえ)
 神戸の女子高に通う高校生で先代の護符の所有者の長女・ゆりの隣人。初登場第62話。いつもどこか悲し気な顔をしており、やや控えめな性格。過去に何か深い傷を負っているようだが・・・?数少ない威圧の能力(ちから)の持ち主。神戸の神の力が籠った御守を使用して戦う。威圧の能力(ちから)を流し込むとさらなる力を発する。好きな食べ物はあんパン、ホットケーキ。 

 
 長山達はかよ子達藤木救出班が去った後、イマヌエルの声が聞こえた。
『皆、アントワネットの撃退お疲れ様。君達はそちらの方の守護をやって貰えるかな?』
「はい!」
『テレーズ、君も戦えるかい?』
「ええ、勿論ですわ」
『よし、では健闘を祈る。それでは』
 通信は終了した。尾藤はあの小学生の女子が持つ杖とネロを倒した女性の持つ護符で思い出した。
(あの杖と護符・・・。きっと母さんが子供の時に会った不思議な子って人達の娘なんだろ・・・。あの二人のお母さんもな・・・)

 本部の一室。かよ子の母はホッとした。
「よかったわ。あの子・・・」
「ええ、しかし、まだ戦いは始まったばかりですわ。やっと藤木茂君の救出に向かえます」
 フローレンスは地図を指差した。藤木救出班は平和を正義とする世界の区域を脱した事を示す点が見えたのだった。

 かよ子達藤木救出班は本部区域を脱した。
「藤木君、どこにいるかな・・・?」
「君、名前は確か山田かよ子ちゃんと言ったかな?」
 関根が聞いた。
「はい」
「藤木君っていうのはさっきの眼鏡の少年の能力からして温泉を楽しんでいたようだが、自分が人質にされていると気づいていないんじゃないのかい?」
「あ、はい、私が野良犬に襲われそうになって藤木君は私を見捨てて逃げたんです。それでクラスの皆に責められて私達の世界にいるのが嫌になっちゃったんじゃないかと思います」
「そうか、それなら、いい所に連れて行くって言われてそれを鵜呑みにしたって可能性が高いな。それにしても裸で女と温泉なんて羨ましいガキだ」
「関根、お前も女好きだからな」
「あ、バレちゃった?」
 その一方、友蔵はご機嫌だった。
「いやあ~、ここに来てよかったのう~、食事は美味しいし、さっきの女の人の裸なんて見れて儂は興奮したぞい!温泉が楽しみじゃ!」
「は?」
 友蔵は皆から睨まれた。
「アンタは何もしてないでしょうが」
「言っときますが私達は遊びに来たんじゃありません。向こうの世界だったらアンタを逮捕してましたよ。調子乗らないでください」
「す、すみません・・・」
 友蔵は謝った。
(もしかして藤木君、帰るの嫌がるんじゃないかな・・・?)
 かよ子はそう予想した。

 別の場所の上空。こちらは剣奪還班。そのうちの一人、三河口はフローレンスから貰った手紙を読んでいた。

 三河口健殿

 私達は貴方は三つの能力を宿します稀有な存在として道具なしでも十分戦力としてやっていけますと思っていましたが、秋に赤軍がそちらの学び舎の祭事に攻めてきたというエレーヌの報告及び赤軍が発明した機械がその時、その場に現れた西川純と山田義昭が貴方の能力を複製された事を知った所でこちらも貴方への支援もしなければならないと思いました。しかし、貴方の強大な能力を持つ者に相応しき道具を生み出す事が容易にできずにいます。貴方は確か実家を離れ、親戚である先代の護符の所有者の家に居候していると聞いております。それはその家にある護符と隣の家にある杖があるからこそ貴方を静岡県の清水市に導きましたのかもしれません。私は貴方に相応しき武器はこの世界の最高位の道具「杖」「護符」「杯」「剣」を上回る物と考えます。それを踏まえて私は貴方を剣奪還班に選抜致しました。しかし、それを生み出す条件はその四つの道具が必要と考えます。四つの道具が全て揃った時に貴方の武器は生み出されるでしょう。それでは御武運を。

 平和を正義とする世界の主

「おい、ミカワちゃん、何の手紙読んどるけん?」
 鯉沢が急に呼んだ。
「ああ、フローレンスから貰った手紙だよ」
「ラブレターか?おんどれモテモテのお!」
 鯉沢は冷やかした。
「違うよ。てか、いつ俺がモテモテになった?」
「へん、ウチもいい男思ってんけんな~」
 鯉沢は煙草を加える。
「ちょっと、未成年の癖して煙草吸わないでよ。私、煙草の匂い嫌いなんだよ」
 一人の女子が文句を言う。
「吸いたくてしかたないんじゃけんよ!」
 鯉沢は逆切れした。
「じゃ、ちょっと離れる」
 女子は奏子が広げた羽衣から降りたと思ったら飛行した。
「君、飛行できるのか?」
 北勢田が聞く。
「ああ、このマフラーで九つの能力が使えるんだよ」
 男勝りな口調の女子は答えた。
「ええと、貴女、名前何て言うの?」
 奏子が聞いた。
「青葉政美」
 女子は答えた。
「それにしても本部から出たら随分恐ろしそうな気配を感じるけんな」
「殆ど戦争主義の世界の地と化しているからね」
「いっちょぶっ倒すか」
「無駄な襲撃はやめなさい」
 ゆりが鯉沢を統制した。
「私達の目的は異世界の剣を取り戻す事よ。攻撃は領土攻撃班に任せて必要な時だけ戦闘態勢に入りなさい。いいわね?」
「はいよ」
 その一方、三河口は手紙からある事を考察した。
(フローレンスとイマヌエルが考えている事はつまり、俺に剣を持って来させてそれが済んだらさりちゃんとかよちゃん、そしてりえちゃんの持つ護符、杖、杯を本部へ集めさせる。そこで俺だけの戦いの道具を作る事ができるという事か・・・)
「ねえ」
 茶髪で日本人のような英国人のような女子が三河口を呼ぶ。
「ん?」
「そのに手紙は何て書いてあるの?」
「ああ、俺は武器を持っていなくてね、その剣を取り返し、俺の従姉が持っている護符、山田かよ子って子が持ってる杖、そして安藤りえって子が持ってる杯を揃った所でおそらく俺の武器が出来上がるって事だよ」
「武器を持っていないの?ここで戦えるのかしら?」
「ああ、赤軍ならともかく、この世界の人間じゃ圧倒はできても倒しきれんだろうね」
「大丈夫よ。私の従弟はそれでも見聞、武装、威圧の三つの能力を持っているのよ。貴女も色々手助けしてあげてね」
「はい・・・。え?い、従弟さんなんですか?」
「ええ、それに護符の所有者は私の妹なの」
「そうなんですね・・・」
「他にもう一人の妹が領土攻撃班に回っているわ」
「俺の従姉は三姉妹なんだ」
「そう・・・。仲好さそうね」
「あの、ところで貴女は見た目が外人っぽいけど、ハーフなん?」
 光江が聞く。
「ええ、私は花沢咲菜・マリエル。学校ではマリエルって呼ばれてるわ。お母さんがイギリス人で小学生の頃に日本に来たのよ。今は千葉に住んでるの」
「君の武器はどんなのだい?」
 濃藤が聞く。
「そうね、この本よ。ブランデー・ナンって人から貰ったの。私の住んでる国のいろんな童話の登場人物が出せるのよ」
「うわあ、童話の世界に入ったみたいやね!」
 その時、爆発音が響いた。
「領土攻撃班の誰かが戦い始めたんか?」
 光江は下を見る。皆も続けて下を見る。
「あれは四人組の小学生だね」
 政美が探知能力を使用して説明した。
「全く、極端に胸騒ぎをさせてくれるけんな」
 ゆりは通信機器を出す。
「こちら剣奪還班、祝津ゆり。近くで戦ってる人、返事できるかしら?」
 返信が来た。
『こちら山口。今敵と交戦した』
「濃藤、山口って事はお前の妹の友達じゃねえのか?」
 三河口が確認を取る。
「そうか・・・!!」 
 

 
後書き
次回は・・・
「従姉は毒使い」
 敵と交戦するすみ子達「義元」。そんな彼らの元にゆりが支援しに向かう。戦いを始める羽柴家の長女はどのような戦いを見せて行くのか。そして四人の元には更に別の人物が駆け付ける・・・!!
  
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