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イベリス

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第十九話 両親と姪の会話その四

「いじめた経験もね」
「ないのね」
「だからそうしたことはね」
「わからないのね」
「けれど弱い者いじめとか興味ないから」 
 このことも言うのだった。
「周りで見たこともないし」
「いえ、それはあったわよ」
「あったの」
「愛ちゃんが気付いていなくても」 
 それでもというのだ。
「やっぱりね」
「あるの」
「だからそこはね」
「見ていくことね」
「そうよ、見たらね」
 周りをよくというのだ。
「あるから見付けたらね」
「その時はなの」
「注意するなりして」
 そうしてというのだ。
「止めてね。ただ自分がいじめられることは」
「避けることね」
「そこは頭使ってな。何かあったらお父さんかお母さんに相談して」
 叔母として姪にさらに話した。
「叔母さんにも叔父さんにもね」
「相談していいの」
「ええ、ここまでお話してわかったわ」
 咲の母は微笑んでこうも言った。
「愛ちゃんは昔のままね」
「そうでしょ。お姉ちゃんはお姉ちゃんよ」
 咲も母に語った。
「いい人なのよ」
「そうね。根はしっかりしているわ」
「私の言った通りでしょ」
「そうだったわ、じゃあお父さんが帰ったら」
「お父さんも交えて」
「今度は四人でお話して」
 そしてというのだ。
「そのうえでね」
「さらによね」
「そう、そしてね」
 それでというのだ。
「お父さんにもね」
「お話するのね」
「そうするわ」 
 愛のことをというのだ。
「そうするわ」
「それじゃあね」
「ええ、むしろね」
 母はここでこうも言った。
「愛ちゃん成長してるわね」
「そうなの」
「人間的にね」
 咲に話した。
「そうなってるわ」
「そうなの」
「昔よりも。高校時代よりもね」
「そうかしら」
 その愛が言ってきた。
「私成長してるの」
「叔母さんはそう思うわ」
「私は別に」
 自分自身ではというのだ。
「思わないけれど」
「叔母さんにはわかるわ」
 こう姪に言った。
「そのことはね」
「わかるの」
「人を見ていたら」
 そうしていたらというのだ。
「それでね」
「わかるの」
「そうなの」
「このことは長く生きて」
 そうしてというのだ。 
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