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ドリトル先生と幸せになる犬

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第五幕その七

「海外に売られて奴隷にされていた多くの日本人を助けているんだ」
「わざわざ買い戻してだね」
「そのお話を聞いてすぐにね」
「秀吉さんは奴隷制反対だったんだ」
「そうだよ、この人の最大の善行の一つだよ」
 奴隷制反対論者で多くの奴隷の人を救ったことはというのです。
「そうした歴史もあってね」
「日本では奴隷はいなかったね」
「そうだよ、けれどね」
「その日本では」
「最近廃止、禁止されていっている国が増えている」
「ペットの生体販売がまだ行われていて」
「それでね」
 そうした制度があってというのです。
「多くの人が手軽にペットを買ってね」
「家で飼ってだね」
「家族として愛して楽しい日々を過ごしているけれど」
「それでもだね」
「中にはね」
「そんな酷い飼い主がいるね」
 王子はふわりの前の飼い主について言いました。
「そうだね」
「身勝手で無責任なね」
「生きものの命を何と思っていない」
「そんな人達もね」
「ペットショップに出入りして」
「そして無自覚にね」
 本当に軽い気持ちでというのです。
「命を買ってね」
「勝手な理由で捨てるんだね」
「そうだよ」
 実際にというのです。
「ふわりの様な子がね」
「いるんだね」
「どの国でもそうしたことはあっても」
「日本ではだね」
「お金さえ出せばね」
 それでというのです。
「何の責任感も覚悟もなくて」
「簡単にペットを買って」
「簡単に買ったから」
 それでというのです。
「おもちゃとしか思ってなくてね」
「捨てるんだね」
「そうなんだ、けれどね」
「捨てられるペットにとってはたまったものじゃないね」
「ふわりの気持ちは話したね」
「物凄く悲しかったのがわかるよ」
「今頃捨てた家族は平気な顔して暮らしているよ」 
 チーチーはとても忌々し気に言いました。
「五月蠅いおもちゃがなくなったってね」
「どうせそんなのだろうね」
 ダブダブも言いました。
「周りからそのことで相当嫌われているみたいだけれど」
「嫌われてもその原因なんてわかってないね」
「絶対にそうね」
 チープサイドの家族は確信しています。
「もうね」
「そんな筈ないよ」
「それで新しいおもちゃで毎日遊んでるわね」
 ガブガブの口調も否定そのものです。
「自分達の赤ちゃんっていうね」
「だからもう前のおもちゃはいらない」
 ポリネシアの口調も厳しいです。
「それだけね」
「だから親戚や会社でも平気で捨てたって言えるんだね」
 ホワイティの口調も咎めるどころではありません。
「おもちゃとしか思ってないから」
「命って自覚は全くなくてね」
「家族とも思ってなかったんだね」
 オシツオサレツも二つの頭で言います。
「お金かかったにしてもね」
「お金も価値があるとは思ってないね」
「つくづく最低だね」
 ジップは苦いお顔で言いました。 
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