ジェルマ王国の末っ子は海軍大将
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第一章 少年期
第三十一話
翌日の午後の訓練の時間。
ゴジは訓練場で自分に六式を教えてくれるサイファーポールの諜報員をセンゴクと二人で待っていた。
「センゴクさん、どんなゴリラが来るの?」
ゴジの疲れたような声を聞いて少しお疲れ気味のセンゴクも疲れたような声で返した。。
ゴジは六式を超人体技と聞いていたので、ガープやゼファーのような屈強な男が来ると思っている。
「ふん。会えば分かる。予言してもいい。ゴジ、貴様は雄叫びをあげるだろう。」
「へぇ。なら見とけよ!そこまで言われるとどんなゴリラが来ても絶対びっくりしねぇからな。」
ここ1ヶ月のゴジの訓練は午前はつると午後はセンゴクとの座学で、ゴジを除くジェガート隊員はギオンと共に航海に出ている為、ゴジに心の安らぎはなかったが、軽口を言い合う程にはセンゴクとの仲を深めていた。
「ふふふっ。こんな美女をつかまえて、ゴリラなんて随分な言い方ね?」
空に輝く太陽をそのまま移したようなウェーブしているプラチナブロンドの髪を煌めかせながら、陶器のような白い肌と色気のあるスタイル抜群の老若男女問わず10人が10人見惚れるような容姿をした美女がゴジが待つ訓練所に入って来た。
「おぉぉぉ!?キラキラして目が眩しい!!ずげぇぇぇ美女!!?」
ゴジは初めて見る超絶美女の登場にテンションが上がっている。
「サイファーポールのステューシーよ。はじめましてゴジ君、よろしくね♪」
「まさかのお色気美女が来たああぁぁーーっ!?」
ヒナやギオン等の戦うカッコいい美女とは違ったベクトルの正しく夜の蝶と呼ぶに相応しい、自分を美しく魅せることを得意とする美女である。
「ふん……。まさかCP-0とはな……。」
センゴクはゴジの驚きとは違う意味で、彼女を先程初めて五老星から紹介された時に腰を抜かす程驚いた。
サイファーポールと面識のないセンゴクがゴジの六式訓練の為にサイファーポールの派遣を依頼した相手である五老星は世界貴族の最高位にして、世界政府の最高権力者である五人の老人たちである。
◇
今から数時間前のこと、センゴクは五老星から『ゴジには六式を教える者を紹介する』という呼び出しを受けて急ぎ、聖地マリージョアへ向かった。
センゴクがパンゲア城と呼ばれる巨大な城にある五老星の執務室「権力の間」にに入ったところ、そこには1人の若い女性がいた。
「失礼します。センゴクただいま到着しまし……ん?何故、貴様がここにいるのだ!?」
その女性を見たセンゴクの顔が険しくなり、臨戦体制を取る。
その女性は裏社会では知らぬ者のいない裏社会の大物“闇の世界の帝王”の1人。
「“歓楽街の女王”ステューシー!?」
世界のありとあらゆる歓楽街は彼女の手中にあると言われているが、闇の世界の帝王達は表立っては至って悪事を働く訳ではなく、ステューシーも数多くの店を経営する有名飲食店の美人オーナーとして名を馳せている。
他には世界経済新聞社の社長や世界を股に掛ける運輸会社社長等錚々たる面々がいるが、彼等は懸賞金等もかかってはいないが、彼等を中心として裏社会が回っているのも事実であり、監視対象となっていた。
そんな中の1人が聖地マリージョアにいればそれはそれは驚くのは仕方ない。
センゴクの驚く顔を予想していた五老星の1人が淡々と告げる。
「センゴク、彼女はサイファーポール“イージス”ゼロの一人じゃ。」
「まさか……CP‐0!!」
話を聞いた彼らは世界政府直轄にあるサイファーポールの中でも選ばれた者のみが選出される「サイファーポール"イージス"ゼロ」。略称名は「CP‐0」にゴジの調査を依頼した。
CP-0は世界政府の諜報機関サイファーポールの最上級に位置する世界貴族直属の組織で、"世界最強の諜報機関"と呼ばれる。
トップの「総監」指揮の下、世界貴族の命令による政治的活動、諜報から天竜人の警護などを主な任務とする彼等はゴジの出生の秘密から今日に至るまでのほぼ全てを調べ尽くした上である結論に出た。
「闇の情報を得るために裏社会に潜入させておったのだが……。」
「ステューシーがおらんでも闇の情報を得る手段は他にある。センゴク、CP‐0ではゴジの訓練相手に不服か?」
五老星達の凄みのある声にセンゴクはたじろぐ……。
「ぐっ……!?い……いえそんなことは……くっ!?」
───CP‐0だと!?しかも飛びっきりの美女と来た。ゴジの監視をする気満々ではないか!?
センゴクの読みは正しく、ステューシーは五老星直々の指示によりゴジの監視と籠絡を命ぜられていた。
CP-0を使って彼の身辺調査を秘密裏に進め、彼が“悪政王”を制したジェルマ66を擁するジェルマ王国の王子でさらに無類の“女好き”である事、さらに8歳で不治の病に伏していた母を治療法(病名については分からなかった)を見つ出す程の頭脳と11歳で武装色の覇気の使い手でクザン、ヒナといった名だたる海兵を降してきた実力を併せ持つゴジに目を付け、どうにかゴジを世界政府へ取り込んでしまおうと考えたのだ。
◇
センゴクはステューシーと共にマリンフォードに戻り、今に至る。
「センゴクさん、俺は信じてたぜ!ステューシーさん最高ぉぉぉぉ!」
ゴジは未だにステューシーを見てテンション高く喜びを全身で表現しており、ステューシーはそのゴジを天使のような微笑みを浮かべて見ている。
───なるほど……この子が確かに女好きなのは間違いないわね。でも、子供を籠絡って…どうやるのよ…
「よ……よろしくね。ゴジ君。」
百戦錬磨で男達の手管を弄してきたステューシーも子供相手の籠絡等初めてで途方に暮れ、さらにもう1人。
───CP-0が来るなんて聞いてないぞ!どうすればよいのだ。
「うっ……胃が……。」
予想だにしない展開にストレスが増え、頭を悩ませるセンゴクの胃が悲鳴をあげて、センゴクもまた途方に暮れていた。
後書き
ステューシーさん登場です(*^。^*)
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