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イベリス

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第十八話 ゴールデンウィークを前にしてその七

「あんな仕打ちはね」
「やっていいことと悪いことがあるでしょ」
「あの兎がやったことは完全に悪いことね」
「あれが正しいって思えたら」
 それこそというのだ。
「おかしいわよ」
「そうよね」
「あの兎に自分が似てるって思ったらすぐに行いあらためてね」
「そうしないと復讐鬼になるわね」
「嫌いな相手がいても」
「接し方が大事で」
 それでというのだ。
「あそこまでは駄目よ」
「復讐鬼になったら」
「ああして騙して後ろから攻撃して延々と陰湿で残虐な攻撃したら」
 それこそというのだ。
「最後は自分に返って来るわよ」
「因果応報ね」
「因果応報は絶対だから」
「悪いことをすれば自分に返って来る」
「これはね」
 まさにというのだ。
「絶対のことよね」
「この世の摂理よ」
「そこまでのものね」
「だからね」
「あの兎にしても」
 どうかとだ、愛は言った。
「若し狸に家族や親戚やお友達がいたらね」
「家族怨むわよね」
「惨殺だからね」
 文字通りのそれでというのだ。
「だからね」
「怨むわよね」
「そうなるでしょ」
「そうよね」
「だからあの兎もそうなるかも知れないし」
「あの兎みたいにはならないことね」
「私も気をつけてるから」
 愛自身もというのだ。
「だから咲ちゃんもそうしてね」
「ええ、しかしあの兎確かにね」
「どうかしてるでしょ」
「憎しみの感情強過ぎるわね」
「そこがおかしいでしょ」
「幾ら何でもね」
「狸より怖いわよ」
 それこそというのだ。
「あそこまでいったら」
「だからおかしいからね」
「私もああしないことね」
「そしてああならない」
「気をつけていくことね」
「人間憎しみに心を支配されたら」 
 そうなってしまえばというのだ。
「復讐鬼になって」
「ああなるのね」
「そうなっても終わりだからね」
「そうね、最初に話したあまりにも図々しい人もだけれど」
「こっちも問題よ」
「わかったわ、謙虚でしかも心穏やか」
「それが一番よ、憎んでもね」
 何かをそうしてもというのだ。
「何にもならないわよ」
「本当にそうね」
「憎しみで生み出されるものはマイナスのものばかりよ」
 愛は咲に語った。
それこそね」
「そうよね」
「そう、それで先に進んでも」
 そうしてもというのだ。
「あるものはね」
「かちやち山ね」
「それしかないわ」
「本当に酷いことにしかならないのね」
「そうなの。けれど咲ちゃんは今はそうした人も周りにいないし」
「大丈夫かしら」
「これからはわからないけれど」
 それでもというのだ。 
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