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歪んだ世界の中で

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第十八話 クリスマスの光その十二

「そうしようね。あとね」
「あと?」
「希望も来て」
 彼をだ。彼女のところに誘ったのである。
「そうして」
「いや、僕はね」
「希望は?」
「千春ちゃん観るよ」
 彼女を。そうするというのだ。
「ここでね」
「来ないの?」
「観ていると。それだけでとても幸せになれるから」
 にこりと笑って千春に告げた。その彼女に。
「だからね」
「今の千春を観ているだけで?」
「これ以上幸せになっても入りきれないよ」
「希望の中に」
「そう。だからね」 
 この場にいてだ。千春を観続けたいというのだ。
「それでいいかな」
「希望がそう言うのならね」
 千春は希望のその心を受けた。そうしてだった。
 そのうえで明るい笑顔になってだ。こう彼に言った。
「観てて。今の千春ね」
「そこにいてだよね」
「うん、希望に観てもらうから」
 言いながらだ。そうしてだった。
 両手を下に広げた。手の平も指を伸ばして開いた。手をそうさせてそのうえで。 
 千春はその場をくるくると回りながら左右に動きだした。まるでワルツを踊る様に。そうして可愛らしくかつ優雅に舞いながらだ。希望にまた言った。
「どうかな。今の千春」
「凄く可愛いよ。何か」
「何か?」
「木の葉、いや花びらかな」
 千春の白いコートやスカートからだ。どちらかというと花びらを連想したのだ。
「それに近いね」
「千春花びらなのね」
「うん、そう見えるよ」
「千春はお花は咲かせられないけれど」
 希望の今の言葉を受けてだ。それでこう言う千春だった。
「それでも。今咲いたよ」
「お花が?」
「希望が咲かせてくれたんだよ」
 舞うのを止めてそうしてだ。希望と向かい合っての言葉である。 
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