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ジェルマ王国の末っ子は海軍大将

作者:蒼たん
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第一章 少年期
  第二十九話

 執務室に二人残されたつるとゴジは明日から配属される部隊での勤務について話していた。


「ゴジ、あんたは明日からの訓練ことを聞いているかい?」

「ん?ジェガートに配属されるってのは聞いたけど、当分は部隊合流なしで午前中は婆さんに見聞色の覇気を教えてもらって、午後からはセンゴクさんの座学だろう?」


 ゴジが配属される海軍本部中将“大参謀”つるが率いる海軍本部第07部隊。

 女性海兵のみで構成されることもあって主に無線司令や救護等の後方支援を主とするが、07部隊の中で戦闘に長けた者が所属する戦闘部隊は『ジェガート』と呼ばれており、アインとゴジはこのジェガートへの配属が決まっていた。


「見習い期間は1年あるからねその間に可能な限り、覇気や知識を身に付けるといいさ。」

「あぁ……見聞色の覇気は爺さんの説明では全く分かんないから助かるよ。ウィーブルと戦った今だから改めて分かる覇気の習得は俺の夢に必要不可欠だ。それに俺は海のことや世界の事を知らなすぎるからセンゴクさんにも感謝してるよ。」


 見聞色の覇気とは相手の気配をより強く感じたり、生物の発する心の声や感情を聞いたりする覇気のことで空島では心綱(マントラ)と呼ばれている。 生まれつき持つ者やショックで覚醒する者もおり、強力な素質を持つ者は周囲の人間の思いを理解することも可能となる。

 さらに戦闘においては敵の行動を先読みすることで、音速や光速の攻撃にも対応することが出来る上、これを極めた者は数秒先の未来をも見通すことが出来るという。


「ゴジはどちらかといえば見聞色の覇気の才能があるはずだよ。キッカケさえあればすぐだよ。」


 覇気は本人の資質によって習得しやすい方が決まっており、ゼファー、ガープ等は武装色の覇気を得意とするようにつるやセンゴク等は見聞色の覇気を得意としているのだ。

 偏見かもしれないが、考えるより先に行動するタイプには武装色の覇気、思慮深く行動するタイプには見聞色の覇気をそれぞれ得意とする者が多く、ゴジの性格上はどちらかといえば見聞色の覇気を得意するタイプなのだ。


「実際苦労してるけどな、必ず身に付けてやる!」

「その意気だよ。あと来月からはそれに加えて六式の稽古も加わるからね。」

「六式?」
 

 聞きなれない言葉にゴジが頭を捻る。

 
「簡単にいえば武装色の覇気と見聞色の覇気を取り入れた体術だよ。あんたに六式を教えて欲しいっていうゼファーのたっての頼みだ。最強の海兵になるなら六式は身に付けといて損はないよ。」


 六式とは世界政府の諜報機関サイファーポールが使う超人体術で武装色の覇気と見聞色の覇気を効率的に扱う武術のことで、海兵にも六式の一部を扱える者はいるが見様見真似で使っているだけであり、本職はサイファーポールの諜報員達である。

 ゴジに六式を教える為の諜報員が来月から派遣されることが決まっていた。


「爺さんと婆さんが言うなら間違いないな…分かった。」

「しっかりおし。最後にいい事を教えてあげるよ。ヒナがウチに異動願いを出しててね。資質、能力とも全く問題がないからね。受理したから明日にはヒナも来るはずさ。」


 ヒナは自分を負かしたゴジがジェガートに配属されると知り、興味本位でジェガートへの異動を希望した所、元々機関誌等の写真撮影や取材の為に本部に来るように言われていた彼女の異動希望は本部の意向とも合致する為、あっさりと叶ったのだ。


「ヒナ嬢がくるの!?こりゃダメだ……さっさと見聞色の覇気と六式ってのをマスターして部隊に合流しねぇと……。」


 六式を極めるサイファーポールの諜報員達は幼い頃から六式を身につける為の血反吐を吐くような訓練に耐え抜いた者たちである。

 ゴジが見習い期間の1年で習得出来るかどうかも賭けであるのにゴジの苦労を想像してつるは笑みを浮かべる。


「出来るもんならやってみるといいさね。さてゴジ、明日は早いからもうおやすみ。」


 明日はアインと第07部隊の部隊室に集合して着任挨拶の予定なのである。


「そだね。色々あって眠いわ。婆さんももう夜遅いから早く寝ろよ!じゃあな!」


 つるはゴジが手を振って執務室から出ていったのを見送りながら、明日から騒がしくなりそうな毎日に想いを馳せていた。


 ◇


 翌日海軍本部第07部隊ジェガートの隊舎に本日から配属される三人の海兵が訪れていた。


「今日から部隊に加わるヒナちゃんと新兵のアインちゃんと見習いのゴジちゃんだよ。皆は顔見知りだろうが、こういうのは慣例だからね、あんた達挨拶しな。」

 
 そう言い放ったのは黒い艶やかな長い髪を後ろでひととくりに結って前髪をかき上げている髪型に、左腿に蜘蛛のタトゥーを入れた長く美しい足を見せつけるような短パンと胸の谷間を強調するような薄手のシャツの上に海軍コートを着た妙齢の美女、海軍本部大佐“桃ウサギ”の二つ名を持つギオンである。
 
 つるの部隊で彼女の次に階級が高いのは海軍本部大佐のギオンであり、第07部隊は海軍本部内の作戦指揮や事務等を行う部隊と実働部隊に分けられて、その実働部隊を率いるのが彼女なのだ。

 海軍本部将校の中で“桃ウサギ”のように特に色と動物を組み合わせた二つ名を与えられている将校は将来の海軍本部大将候補である証に他ならず、ギオンは刀といつ細身の片手剣を扱い、女性であるにも関わらず実力者揃いの海軍本部において最強の剣士と呼ばれる実力を持っている。
 

「今年からジェガートに配属されたヒナよ。階級は中尉。あとギオン大佐、流石にちゃん付けは止めてください。」

「ウサフフフ。ごめんね、気をつけるわ。ヒナちゃん!」

「はぁ……。」
 
「「「あははは!」」」


 海軍本部一有名な女海兵とも呼べる“黒檻”のヒナの登場に場が湧くが、そのヒナの苦情をあっさり受け流したギオンに向けて笑いが起きた。

 ギオンは誰に対してもちゃん付けで呼ぶ癖があり、元帥であるセンゴクすらも『センゴクちゃん』と呼ぶ程である。
 

「新兵のアインです。訓練生を卒業してすぐにジェガートに配属されるなんて、夢みたいです。よ…よろしくお願いします」
 

 アインは緊張しながらも、噛み気味に挨拶して頭を下げた。

 アインが優秀であることは皆知っているので、アインの今後の活躍に期待して大きな拍手が巻き起こる。

 
「ゴジです。俺は綺麗な皆と働ける今日が来るのをずっと楽しみにしてた。皆よろしくぅ!」

「「「きゃあああぁぁぁー!」」」

「ゴジ君ったら泣くほど嬉しいのね!」

「ゴジ君いらっしゃ〜い。」
 

 ゴジが感動の涙を流しながら頭を下げると、この日一番の大歓声が巻き起こった。

 暇な時はこの部隊に顔を出し、風呂も一緒に入っているゴジを知らない者はこの場におらず、何だかんだで裏表のないゴジは人気者だった。

 ゴジはそんな彼女達を見ながら、女海兵達に囲まれて仕事をするという夢をこんなにあっさりと叶えてくれたゼファーとつるに本当に心から感謝している。
 

「相変わらずゴジちゃんは人気もんだね。でも、ゴジちゃんはしばらく別メニューで特別訓練だよ。」

「うん。ギオンさん分かってるよ。」


 ゴジは前述の通り見習い期間の1年間は見聞色の覇気と六式の習得の為の訓練期間に充てられるのだ。


「それとイスカちゃん!」

「はい!」
 

 ギオンに名前を呼ばれた一人の海兵が一歩前に出る。

 イスカは額の上に置いたサングラスと朱色の髪が特徴の美女で幼い頃に故郷を海賊に襲われ、火災により両親を亡くして自身も手に火傷を負ってしまった過去を持っており、その時に自分を救ってくれたドロウ中将に憧れ、自分のように海賊によって家族を失う子供たちを増やしたくないという理由で海軍へと入隊した。

 将来的には自分を助けてくれたドロウ中将の元で働きたいと考えているが、ギオンに目を掛けられて彼女に剣術を教わる為にこの部隊に席を置いており、昨年訓練生を経てジェガートに配属されたので、アインの一年先輩隊員となる。
 

「イスカちゃんはアインちゃんの面倒も見ておくれ。アインちゃんは双剣を使うから丁度いいだろう。」

「はっ!」
 

 通常、部隊に配属された新兵は一年間は先輩の元で仕事を学ぶ実習期間が設けられている。

 先月、実習期間終了を言い渡されたイスカは自分が新兵の教育係に指名されるであろうことはなんとなく分かっていた。

 何故なら先月実習期間の卒業を言い渡されたイスカの教育係も一年上の先輩だったからである。
 

「軍曹のイスカよ。貴女も剣士なのよね…アインよろしくね。」

「はい。イスカ軍曹よろしくお願いします。」
 

 つるに紹介されたイスカがアインの両腰に帯びている二本の双剣を見ながら嬉しそうに挨拶を交わした。

 イスカが僅か一年で軍曹になれたのは、彼女が修練の末、身に付けた目に止まらぬ高速の剣技で実績を重ねてきた結果であり、アインの加入で模擬戦の相手が増える事を純粋に楽しみにしている。
 

「ん?ヒナちゃん…不満かい?」


 ヒナが不満そうにゴジとギオンを交互に見ていることにギオンが気付いたので声を掛けた。


「はぁ……呼び方を変える気はないのね。性格は置いといて、ゴジ君の戦闘力は私以上…そのゴジ君に何を教えるの?ヒナ疑問。」
 

 ヒナは悪魔の実の能力者である自分を圧倒したゴジに何を教えるのかと当然の疑問であり、それはこの場にいる全ての女海兵も同様である。
 

「性格は置いといてってさ……酷くない?」


 ゴジはジェガートの仲間たちに同意を求めるが、ここにいる女性海兵達全員がゴジ=エロガキである事は知っているので、ゴジの抗議の声と視線に目を逸らした。


「みんな酷い!?」

「よしよし…」
 

 肩を落したゴジは隣にいたアインに頭を撫でられて慰められているが、忘れることなかれ、彼女もゴジの擁護しなかった一人である。 
 

 
後書き
新キャラ2名です。

どちらも既存のキャラです。 
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