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物語の交差点

作者:福岡市民
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とっておきの夏(スケッチブック×のんのんびより)
  僕らの冒険 〜 分校②

ー飼育小屋ー




れんげ「ウーサギー小屋ー♪ うっさぎ小屋ー♪」


一行はれんげの案内で飼育小屋にやってきた。


朝霞「れんげちゃんノリノリですねー」

なっちゃん「ですねー」

れんげ「おっ世話しっましょー小鳥さんっ!おー世話しましょーうっさぎさんー!」ズンチャズンチャ

れんげ「綺麗に毛づくろいいったしましょー!」ズンチャズンチャ


れんげは奇妙な節回しをつけた歌を歌いながらこれまた珍妙な踊りを踊っている。


蛍(このノリ、まさか・・・!?)ハッ!

れんげ「そーしてまっとめって」グルグル

れんげ「ダイナマーイッ!!」スターン!

一同「!?」ビクッ

蛍(やっぱり…。)


れんげは勢いよく地面にダイブした。


れんげ「」ズンザラザー

一同「」ポカーン

れんげ「」

葉月「れんげちゃん、大丈夫…?」

れんげ「」ギギギ


しばらくの静寂のあと漸く葉月が声をかけるとれんげが涙目でこちらを振り向いた。


れんげ「……膝……やっちまいました……」

蛍「また!?」ガーン

葉月「大丈夫!?」タタッ


葉月はれんげに駆け寄り、彼女を立たせてやった。


れんげ「前にも同じ失敗してるんに、ウサギ小屋にいくと思ったらついテンションアゲアゲしちゃいましたー」オーウ

葉月「あんなに思いっきりジャンプするから…。あーあ、派手に擦りむいたわね」

渚「とりあえず水で洗ったほうがいいね。私はヨモギを摘んでくるよ!」ダッ!

一穂「ごめんね栗ちゃん、お願いするよ」


言うが早いか渚は駆け出していった。


ケイト「ドウシテ栗原センパイはヨモギを摘みに行ったデスカー?」

ひかげ「ヨモギには止血効果があるからね。だからじゃない?」

蛍「ほら、れんちゃん洗うよー」ジャバジャバ

一穂「すまないねえ。れんちょん、ほたるんに『ごめんなさい』は?」

れんげ「ほたるん、ごめんなさいなのん」ショボーン

蛍「気にしなくていいよ。れんちゃんウサギ大好きだもんね」ヨシヨシ

渚「お待たせ、れんげ君」


近くの洗い場で蛍がれんげの膝を洗っていると渚が戻ってきた。手にはヨモギを持っている。


一穂「お帰り。早かったね」

渚「幸い近くにヨモギが生えていたので。本当はすり潰してその汁を塗ったほうが効果があるんだけど……ん?」ピタッ


不意に渚の動きが止まった。


渚「待てよ、ここは学校…ということは家庭科室がある……。一穂さん、家庭科室を使わせてもらってもいいですか?」

一穂「家庭科室?いいよー」

渚「ありがとうございます。れんげ君、洗い終わったら家庭科室に行こうか」

れんげ「了解なーん…」

なっつん「面白そうだからウチらもついていっていい?」

渚「うん、いいよ」


一行は家庭科室に向かった。



ーー
ーーー


ー家庭科室ー


渚「洗ったヨモギをすり潰して…」ゴリゴリ


渚はすり鉢とすりこぎを使い、丁寧にヨモギをすり潰している。


なっちゃん「栗原先輩って本当に何でも知ってますよね」

渚「そう?ありがとう、嬉しいなあ」ポリポリ


渚は照れたように頭を搔いた。


渚「ところでヨモギって案外万能でね、一般的に知られているのは止血作用だと思うんだけどその他にも浄血、発汗、利尿、安眠、抗酸化といった様々な作用があるんだ。美容やガン予防にも効果があるしアトピー性皮膚炎にも効くと言われていて、さらには食物繊維を多く含んでいるからお通じの改善も期待できるんだよ。ちなみに沖縄では風邪をひいたときにヨモギを雑炊に入れて食べるほか、韓国では産後の冷え症対策として煎じたヨモギを蒸してその蒸気を下半身に浴びる“ヨモギ蒸し”という民間療法が愛用されているんだって。これこそヨモギが古くから薬草として認められてきた証しだよねえ」ペラペラ

渚「今回は止血のためにヨモギを使うんだけど、これはヨモギに“ビタミンK”という高い止血効果を持つ成分が多く含まれているからなんだ。ヨモギ自体止血効果が強いから私が今やっているみたいに汁を患部に塗ってもいいし、ヨモギの汁を飲んだり葉っぱを患部に貼り付けるだけでも止血剤の代わりになるんだよ。ヨモギの凄いところはさっき言った以外にも色々あって例えばーーー」ペラペラ

一同(ヤベェ…(はなし)が終わらない…。)

空「わかっていただろうにのう麻生さん。栗原センパイに動植物の話をふったらどうなるか…」ヤレヤレ


空が首を振りながら言った。


なっちゃん「空!?」

葉月「梶原さん!?」

なっちゃん(え?ここで吹き出し代わりのカギ括弧使う?)ガーン

葉月(ていうか動植物の話はふってない…。)ガーン


なっちゃんと葉月は違う意味でショックを受けた。


渚「ーーーと、このぐらいでいいかな」


そうこうするうちにヨモギは完全にすり潰され、ほとんど汁だけになった。


渚「これをれんげ君の膝に塗って…と。痛くない?」ペタペタ

れんげ「痛くないん」


渚の問いにれんげが即答した。


れんげ「なんかこれ、緑色したマキロンみたいなんなー」

渚「そうだね。でもマキロンより効果があると思うよ」

渚「よし、あとはこれが乾けば止血完了だね。5分もすれば乾くんじゃないかな」

れんげ「ありがとうございましたん」


れんげは渚にお礼を言った。


木陰「栗ちゃん、さすがね」

小鞠「よかったね、れんげ!」

れんげ「ウチ、完全復活なーん!」ウオー!


いつの間にかれんげも元気を取り戻したようだ。


渚「時間はかかってしまったけど、れんげ君が元気になったみたいでよかったよ」

蛍「あ、あのー。非常に言いにくいんですけど…」モジモジ


おずおずといった感じで蛍が言った。


小鞠「どうしたの、蛍?」

蛍「これってはじめから保健室に行けばよかったんじゃ…?」

一同「あっ・・・・・・。」

気づいてはいけないことに気づいてしまった一同。




シーン・・・。




ーーーしばらくの間、静寂が辺りを支配した。 
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