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ジェルマ王国の末っ子は海軍大将

作者:蒼たん
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第一章 少年期
  第二十六話

 誰がリーダーかを巡ってじゃれ合うイチジ達を見ていたロジア王国の国民達はある事に気付く。


「子供!?」

「「「えっ……!?」」」

「本当だ……悪政王を子供が倒したというのか?」


 元々イチジ達の身長は120cm程度しかなく、サングラスをしていても子供と分かるあどけない顔をしていた。

 当初はジェルマ66(ダブルシックス)への恐怖から大きく見えていたイチジ達だか、年相応に姉弟でじゃれ合う姿を見せられてようやく彼等が子供だということに気付いたようだ。

 そんな彼等の元へ完全武装したジェルマ王国の兵士達が駆けてきた。


「イチジ様、ニジ様、ヨンジ様、レイジュ様!ジェルマ王国軍第一兵団長以下100名只今到着しました。これよりイチジ様達の麾下に入ります。」


 イチジ達の前に来て一斉に膝まづいて指示を待つその一糸乱れぬ動きに民衆達は息を飲む。

 ジェルマ王国の兵士はかつて北の海(ノースブルー)を支配していた時代に活躍した国一番の実力を誇っていた兵士長のクローン達であり、一人一人が王国戦士長クラスの実力を有している精鋭部隊である。

 ジェルマ王国が“戦争屋”と呼ばれるに至った際の原動力となったのが彼等の活躍に他ならない。


「凄い……彼等がジェルマ王国の兵士達か?」

「ちょっと待て、彼らが頭を下げているあの子達……ジェルマ66(ダブルシックス)って……?」

「そういえば……ジェルマ王国って十年くらい前に五つ子が産まれたって話題になった事があったような……。」

「まさか……あの子達は!?」


 大柄な体に筋肉の鎧と黒い戦闘服、数多の重火器を装備したひと目で一騎当千とわかる兵士達が頭を垂れるジェルマ66(ダブルシックス)の正体について思い当たる節があった。

 同じ海に住む国の王族の誕生ならば当然一大ニュースとなる。

 10年前にジェルマ王国で五つ子が産まれたと話題になった事を思い出した民衆達もいたのだ。


「おい!貴様達は何をしている!あの方々を誰と心得る?」


 ジェルマ王国の第一兵団長が唖然となっている民衆達に向けて声を張り上げた。


「あの方々はジェルマ王国第一王子ヴィンスモーク・イチジ様!第二王子ヴィンスモーク・ニジ様!第四王国ヴィンスモーク・ヨンジ様!第一王女ヴィンスモーク・レイジュ様なるぞ!頭が高い控えおろう!!」


 イチジ達四人がその場で光輝き、光が晴れるとレイドスーツを脱ぎ捨てた一見して高級な布地で作られた事の分かる衣装を纏う王子達と王女が現れた。

 この場に集った民衆達は兵団長の言葉とイチジ達等の姿を見て一斉にその場に膝まづいて頭を垂れた。

 生まれながらにジェルマ王家に絶対服従するように血統因子を操作されて産まれた兵団長を初めとする兵士達はその民衆達の反応に満足していて深く頷いているが……


「ぶべっ!?」

「このバカたれがぁぁぁなんてことしてんのよ!!」


 レイジュは変身を解くや否や民衆達を跪かせた兵団長の頭にゲンコツを落としていた。


「俺達がせっかくみんなにジェルマ王国は怖くないってこと伝えたのにお前達のせいで台無しだろうが!?」

「みんなは頭を上げてくれ。巨悪は去ったことを国中に知らせて欲しい。」


 イチジの声を聞いて顔を上げた民衆達がぽかんとした顔を浮かべた後、歓喜の叫びをあげながら思い出したかのように街に向けて走り出した。

「そうだ!“悪政王”は滅んだんだ!」

「悪政から解放されたんだ!!」

「知らせてこよう!アバロ・ピサロを倒した小さな英雄達の話を!」

「「「おおおおおぉぉぉ!!」」」


 民衆達が雄叫びをあげながら一人残らず街に向けて走り去って行くのを見届けた後で、ヨンジが兵士達に指示を出す。


「おい!兵士共さっさと立て。てめぇらは俺らと城や街に残ってる海賊共を一人残らず捕らえるぞ!!」

「「「はっ!!」」」


 ジェルマ王国の兵士達を総動員して残党の海賊達を制圧して、この日ロジア王国は海賊の支配から完全に解放されたのだった。

 この後、既にアバロ・ピサロの手にかかり王族の滅びたロジア王国国民の熱い支持を受けたジェルマ王国がこの国を支配する事になり、科学大国ジェルマ王国は数十年ぶりに領土を得ることになった。

 ジェルマ国はこの島を拠点として海賊や悪性に苦しむ多くの国を救いながらさらに発展していくことになる。



 ◇
 
 

 イチジ達のアバロ・ピサロ討伐の報告があり、ロジア王国に兵士達を降ろした直後に東の海(イーストブルー)に放った諜報員から待ちに待った報告が来た。


『サンジ様を発見しました。』

「何!?何処にいる?無事なのか?」

『無事です。今は海を漂いながら料理を振るう海上レストランバラティエで副料理長として働いております。』

「海上レストラン……バラティエ……?それにサンジが副料理長だと?それにサンジに怪我はないのか……」


 ジャッジは嵐の海に投げ出された10歳のサンジの無事を喜ぶ一方で全く聞き馴染みのない店で副料理長という大役をこなせているのかと不安になる。


「ふふふっ!心配なさそうよ。あなた、これを見て。」

「これは……!?」


 ソラが諜報員から送られた映像電伝虫から送られた一枚の写真をジャッジに見せると険しい表情をしていたジャッジの顔が一気に破綻する。


「サンジは私達がこれほど心配していた事など気にもしてないのだろうな……。」

「ええ。とっても楽しそうに料理してるわ!」


 背の高いコック帽を被り長い髭を左右に分けるように三つ編みして結わえた強面の男に見守られながら、大勢の強面の料理人達と並んで楽しそうに鍋を振るうサンジの姿がそこにはあった。 
 

 
後書き
次からゴジ君の続きに戻ります 
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