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ジェルマ王国の末っ子は海軍大将

作者:蒼たん
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第一章 少年期
  第二十三話

 
前書き
舞台がジェルマ王国に移ります。 

 
 ゴジが“牛鬼”エドワード・ウィーブルと死闘を繰り広げる少し前のこと。

 今、ジェルマ王国で暮らすゴジの兄姉であるイチジ、ニジ、ヨンジ、レイジュの四人が父ジャッジに会う為に彼の執務室に訪れている。
 

「父上、聞きましたよ。」

「な……何っ!?」
 

 イチジの言葉にジャッジは家族に内緒で数十名の部下を東の海(イーストブルー)に派遣して秘密裏にある男の行方を探しているのだが、そのことがとうとう子供達にバレてしまったのかと焦っている。
 

北の海(ノースブルー)のロジア王国にいるアバロ・ピサロという海賊を討伐する為の準備を進めているとか…もちろんそいつは俺達に任せてくれるんですよね?」
 

 しかし、続くイチジの言葉でジャッジが秘密裏に動いている事はまだバレてないと分かってホッとする。

 ジャッジはロジア王国の事は既に把握しており、イチジ達への晴れ舞台として丁度いいと思って、アバロ・ピサロの戦力等を既に情勢を探らせていたのだが、それがイチジの耳に入ったようだった。

 
「なんだそのことか…お前達全員、武装色の覇気は習得したな?」


 ジャッジが一人一人子供達の顔を見ながら問いかける。


「はい。」

「あぁ。手間取ったけどな。」

「バッチリだぜ!」

「なんとかね。」
 

 ゴジと同じく11歳になったイチジ達と13歳になったレイジュはゴジが旅立ってから約1年を掛けて全員が武装色の覇気の基礎を習得した。

 当然“硬化”は未だ使えないものの、武装色の覇気でさえ普通は11歳の子供が習得出来るものでは無く、それを僅か1年で習得したイチジ達もやはり生まれながらの天才であった。


「分かった。この船はアバロ・ピサロ討伐の為、既にロジア王国近海に来ている。」

「へぇー。準備がいいな……父上。」

「父さんは元々私達に任せてくれる予定だったのね?」

「腕が鳴るぜ!」


 ニジとレイジュは冷静にジャッジの思考を読んで、笑みを浮かべ、ヨンジは両拳をガチンとぶつけて気合いを入れている。

 ジャッジはそんな頼もしく育った子供達を見て司令を下す。

「イチジ、ニジ、ヨンジ、レイジュの4人に命ずる。ここから南西に30キロにあるロジア島に目的地のロジア王国がある。」


 海賊アバロ・ピサロはロジア王国を乗っ取ってからこの国に王として君臨して数年に渡って国民に悪政を敷いており、その悪政は度を過ぎていた。

 悪政に耐えかねて逃げ出そうとした国民は皆殺しにして海岸線に串刺しにしたまま晒し者にしているので、国民達は恐怖で逃げ出せずに悪政に従っている状態であり、そんなアバロ・ピサロを世間は“悪政王”と呼んでいる。
 
 世界政府加盟国であるロジア王国を助ける為に派遣された北の海(ノースブルー)支部の海軍の大艦隊をアバロ・ピサロはあっさりと迎撃してしまう。

 ならば精強で知られる海軍本部の海兵達はというと彼らは偉大なる航路(グランドライン)で手一杯であり、支部の海兵ではアバロ・ピサロに手も足も出ないと長年放置されていた。


「お前達は強い。それにゴジの開発したレイドスーツがあれば一海賊等恐るるに足らん!決して倒せない敵ではない!!“悪政王”アバロ・ピサロを捕らえてかの国を解放してジェルマの名を世界に示せ!」


 ジャッジは綿密な調査の結果、“悪政王”アバロ・ピサロは恵まれた体躯に武装色の覇気と見聞色の覇気を身に付けた男であるも、武装色の覇気を身に付けたイチジ達四人ならば十分に勝てる相手だと判断していつでも戦いに行けるようにこの船も既にロジア王国近海に入っていた。
 

「「「「はっ!!」」」」

 
 やる気に満ちたイチジ達は一斉に返事をした直後、各々“1”、“2”、“4”、“0”と書かれた赤、青、緑、桃色の缶を下腹部に当てると各々光に包まれた後でレイドスーツ纏う。


「行くぞ!」

「「「おぅ(えぇ)!」」」


 彼等はイチジの号令に従い、靴に仕込まれた浮遊装置と加速装置を使って窓から飛び立って行った。


「頼もしくなったな。あの子達に何も伝えなくていいのか?」


 ジャッジが飛び去ったイチジ達を見送りながら、自分の傍に寄ってきた妻ソラに声を掛けた。


「ええ。あの子達なら何の問題もないもの。そうでしょ?あなた。」

「あぁ……。」
 

 それを見送ったジャッジとソラはイチジ達ならば心配ないと核心していた。

 何故ならイチジ達は各々が生まれながら外骨格と運動能力さらに各個人の特殊能力を使いこなし、武装色の覇気の“硬化”を扱える自分よりも既に強い。

 さらに姉弟ならではの連携攻撃やレイドスーツがあるから全く問題ないと踏んでいる。


「それよりもサンジの情報はまだ何も?」

「あぁ……追加で人員を送って捜索しているところだが、まだ何の報告もない。」


 ソラの質問に項垂れるように答えるジャッジの震える手をソラの手が優しく包む。


 当初こそロジア王国を救う為に計画を立てていたジャッジであったが、今の彼の心中は正直ロジア王国どころではない。

 先日、メスキートのレストランにサンジの様子を見に行かせたジェルマ王国の調査員から急遽ジャッジ宛に昨日送られてきた報告内容に頭を抱えていた。
 

『半年ほど前にメスキート様とサンジ様が乗る船が嵐の日に海賊に襲われ、その際に運悪く嵐の海に飲まれたサンジ様を助ける為にメスキート様が海へ飛び込んだそうです。』

『なんだと!サンジは……メスキートは無事なのか!?』

『はっ!メスキート様は遺体で発見されましたが……その……サンジ様は行方不明のままだそうです。』
 

 メスキートはジャッジとの約束を守ってサンジの出生に関して家族にも秘密を貫いていたことが仇となって、サンジが行方不明となっても先方からの連絡がジェルマ王国に来なかったから、サンジの行方不明にジェルマ王国が気付くまで半年も掛かったのだ。
 
 この事はこれからアバロ・ピサロ討伐を控えたイチジ達には伝えていなかった。


「きっと大丈夫よ……あの子も強いから……」

「あぁそうだな。すまない…必ず見つけ出す。」

 
 ジャッジはどんな結果になろうともサンジを見つけ出すという決意の元、現在動かせる部下のほとんどを東の海(イーストブルー)に派遣して総力を挙げてサンジを探している最中だったのだ。 
 

 
後書き
サンジの原作参加に向けた調整です。

次回はイチジ達の大暴れ回です 
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