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ジェルマ王国の末っ子は海軍大将

作者:蒼たん
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第一章 少年期
  第二十話 圧巻

 ゴジの爆発拳で叩き起されたウィーブルがフラフラになりながらも、動物(ゾオン)系 悪魔の実の三形態の中で最強の力を得ることが出来る獣形態に変身して、立ち上がって天に向かって吼える。
 

「おで、強いはず…ブモオオオォォォ―――ッ!」


 完全に牛の顔と体毛に覆われた人の体になった伝説の魔物ミノタウロスがその正体を現し、戦いは第二ラウンドを迎える。


「へぇ〜...まだ立ち上がるか……動物(ゾオン)系の生命力は侮れない。さっさと勝負を決めるのが得策か...」


 ゴジの電撃と爆発を受けて、黒く焦げていた体毛が人獣型から獣型に変わった瞬間に元々の茶色の体毛に生え変わったのを見てゴジは感嘆の声を上げた。


「はぁ....はぁ...ごろず!!」


 ゴジはウィーブルの身体の変化を見ながら動物(ゾオン)系の悪魔の実は驚異的な力だけでなく、回復力まで有するので古の大迷宮の主にして半神半獣のミノタウロスを圧倒的な火力で倒すと決意する。


「トドメは派手に行くぜ!“武装色・硬化”!!」


 ゴジの武装色の硬化により黒くなった右腕からはバチバチと赤い火花が迸り、同じく黒い左腕からバリバリと青い雷鳴が鳴り響いて、さらに赤と青に光輝くその両腕は怪力の力を全開まで解放したことで筋肉が通常よりの3倍に膨れ上がっている。


「ブモオオオォォォォ!!!」


 対するウィーブルは頭を黒く硬化させて、自慢の角をゴジに向ける前傾姿勢に構えを取ると、そのままゴジ目掛けて突進する。


「一度躱して横っ腹を殴るのが手っ取り早いが...それじゃつまんねぇよな...ニッ!!」


 体長十数メートル、体重1トンに及ぶ巨体と鋭く尖った牛角による突進攻撃こそウィーブル最強の攻撃であるが、闘牛士のように躱すこと等、観察眼と透明化能力を持つゴジには容易いことである。


猛牛打進(もうぎゅうだしん)!」


 ゴジは小細工なしに真正面からウィーブルを打ち破る為に靴の加速装置を全開まで作動させて彼の牛角に目掛けて一直線に闇夜を駆け抜け、互いに彼我の距離を一気詰めていく。
 
 
混色(ブラック)バグ!」


 ゴジの両手拳とウィーブルの2本の牛角が物凄い轟音と闇夜を明るく照らす閃光と共にぶつかり合った。
 

「うおおおぉぉぉ!!」

「ブモ"モ”オオォォォーーッ!!」


 火花を操るスパーキングレッド、電気を操るデンゲキブルー、怪力を操るウインチグリーンの三位一体の合体技をたった一人で放つことの出来るパーフェクトゴールドの必殺技と大迷宮の主の誇る牛角との激突は、レイドスーツにより、覇気、能力、身体能力の全てを強化されたゴジに軍配が上がり、閃光が晴れると同時に自慢の二本角が砕け散った。


「ブモオオォォォォ!?おでのツノがああぁぁぁ!!」


 ゴジは掌を上に向けて四指をクイクイっと曲げてウィーブルを挑発する。


「ぎゃあぎゃあ騒ぐな。まだ動けるだろう?さっさとかかって来い!」


 角を折られた事で怒りに狂ったウィーブルがゴジに向かって無我夢中で走って行く。


「ん?ゴジ君の周りにピンク色の霧?」


 戦いを見守るアインとゼファーはゴジの周りを覆い始める桃色の霧に気付いて目を丸くする。


「そうか...ゴジ。お前は当然のように毒も使えるのか!?」


 ウィーブルはゴジの周りを漂い始めた桃色の霧に気が付かずに、がこの霧に不用意に足を踏み入れた瞬間、彼は自らの首を両手で抑えて苦しみ始める。


「このチビ許さ……がぁ……ぐわあああぁぁ!?」


 その苦しみは相当なもののようで獣形態を維持出来ずに、人型形態に戻ってしまう程である。
 

「“桃色毒罠(ピンクトラップ)”。獣は本来野生の勘で毒には近付かないが、怒りに支配された暴れ牛ならば罠に嵌めるのは容易い。」


 ゴジが右手の人差し指と親指でパチンと指を鳴らすと桃色の霧が霧散した。


「が……あ……ぐ……あぁ……。」


 この霧のせいでゴジとウィーブルの姿の見えなかった訓練生達も霧が霧散したことで、甲板の上に立つゴジと倒れ伏して苦しみに呻くウィーブルを見て勝敗を知ることになる。


「「「うおおおおぉぉぉぉーーっ!」」」

 
 訓練生達の歓喜の雄叫びが夜空に轟くと、長い夜が明けて周囲を明るく照らす朝日が差し込んできた。
 

「ポイズンピンクの毒の能力だな。なぁ……ゴz、いやパーフェクトゴールド、ウィーブルはこのまま死ぬのか?」


 ゼファーは毒を以てウィーブルを倒したゴジの『66』と刻まれたマントの靡く背中に尋ねた。

 ウィーブルは『デットオアアライブ』つまり『生死問わず』の賞金首であり、仮に殺してしまっても褒められこそすれ全く問題はないが、ゼファーの信条は別にある。


「ただの神経毒だよ。コイツには真面目に罪を償わさないとな…そうだろ?爺さ……いや、ゼファー海軍教官。」


 ゴジとゼファーは、パーフェクトゴールドとウィーブルの戦いを見ていた訓練生達がパーフェクトゴールドの勝利を知り、避難船から訓練船に続々と戻ってきた事に気づいて普段の呼び方ではなく、対外的な呼び方に言い直した。


「そうだな。パーフェクトゴールド、よくやってくれた。協力感謝する。」
 

 ゼファーはウィーブルを殺さずに捕らえるという判断をしたゴジを誇りに思いながら、ゴジが正体を隠したがっている事を瞬時に悟ると何も知らない訓練生達を前に敬礼で応える。

 ゼファーは罪を償わさないといけないという海兵としての信条を持っていた為、現役時代から海賊を殺さなかった。

 彼が大将の座を降りたのは自分の信条に一度だけ反して、妻子を殺した海賊を殺したからであり、ゴジを含めた新兵達には海賊達を殺さずに捕らえるように教育してきたのだ。
 

「凄い!凄い!あんな化け物に勝っちゃったよ!ゴ…もごもご…」


 ゼファーはゴジの名前を呼ぼうとしたアインの口を残った左手で咄嗟に押さえて彼女に耳打ちする


『アイン、ゴジは自分の正体を隠したがってる。話を合わせろ。』


 アインは首を縦に振るのでゼファーは彼女を解放するとゴジは感謝する訓練生達に囲まれ始めた。


「すげー!ほんとにパーフェクトゴールドだ!」

「そういや、なんでお前、この金ピ…えっと、パーフェクトゴールド?知ってんの?」


 北の海(ノースブルー)出身でパーフェクトゴールドをよく知ってる訓練生が知らない者達に対して再度説明していく。


「はっ?俺の説明聞いてなかったのかよ…だからパーフェクトゴールドってのはな…」
 

 ”海の戦士ソラ”は敵役としてジェルマ66(ダブルシックス)という北の海(ノースブルー)に実在するジェルマ王国をモデルにしているため、北の海(ノースブルー)では大人から子供まで知らぬ者がいない話であるが、その他の海の出身者は知らない者の方が多い。
 

「あ〜……そういやウィーブルの船はどこだろ?」


 自分の正体を明かす訳にもいかないゴジが逃げ道を探しているとゼファーもそれに気付いて助け舟を出す。


「ん?あぁ…それなら…あれだな。パーフェクトゴールド。一足先に行ってあれも倒しといてくれねぇか?俺達もコイツを拘束して、治療したらすぐに行く。」


 ゼファーは訓練船から数百メートル離れたところで係留する海賊船を指差す。


「あぁ...あれもこの船が来る頃には無力化しとくさ。俺だけなら気付かれずに船に近付けるからな。」


 ゴジはゼファーの『船を制圧したら透明化の能力を使って合流しろ』という言葉の真意を適切に読み取って感謝しながら敵船を見据える。


「頼もしいな。ステルスブラックの透明化能力を使う気なのか?」


 爆発、電気、怪力そして毒の能力を持つゴジなら当然最後の1つ透明化能力も持っているはずというゼファーの読みも的中する。


「流石は教官殿。ご明察だ...“透明化”」


 ゴジがゼファーの心遣いに軽く頭を下げると彼の姿がゆっくりその場から掻き消えていく。


「「「消えたあああ!?」」」 

「凄い!ステルスブラックの透明化の能力だ!ほんとに本物なんだ!!」


 ゴジの姿が消えた事に驚く訓練生の中でパーフェクトゴールドの正体を知っている訓練生だけはその光景に感動して涙を流していた。


「気をつけてね。」


 アインは海賊船へ向けて飛んでいっているであろうゴジに向けて声援を送った。 
 

 
後書き
5月19日加筆修正 
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