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私の中に猫がいる

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1-⑾

 前の日に「明日は早坂さんとランチに行くから、お弁当なしよ」と響先輩に言われていた。私は、朝からシャンプーして、スカートで出勤した。

 お昼になると、ビルの玄関で待ち合わせしているからって、付いて行った。早坂さんは先に来て待っていて

「お待たせ すずりちゃんよ」

「こんにちは、早坂です。時々、すれ違うんだけど、会釈はしてくれるんだけど、なんか声を掛けずらくてね」

「すみません 私 よく、知らなくって・・ ごめんなさい」と、何だか謝っていた。

「いや 僕の方こそ、あつかましく、河田さんに頼んでしまって 申し訳ない」

「じゃぁ 私は、用事あるからね ふたりで行ってきて」と、響先輩は、いきなり言い出した。

「えぇー 先輩 そんなー 困ります、私」

「そうだよ 僕も、困るよー なんか、だましたみたいでー 一緒してくださいよー」

「いいの いいの ご馳走してあげてね 大事な、後輩なんだから」さっさと行ってしまった。

「いつもマイペースな人だなぁー まぁ、良いか ご飯、何がいいですか?」

「はい でも、あんまり、時間ないから・・ 私、ピラフがいいです」と、そんなに食べたいわけではなかったが、上品に食べるには、無難かなと思った。

「ピラフですかー じゃぁ あそこのイタリアンで良いかな」と、早坂さんは歩き出した。

 私、付いて行ったけど、並んで歩いて良いものか、迷いながら、後ろから少し、離れて歩いた。

「すずりちゃん そんなに緊張するなよ もっと、気楽にな 顔が多分、引きつているぞ」とプチの声がした。

「だって 緊張するよー こんなの 先輩も居なくなっちゃうし」

 お店に入って、私、ホタテのピラフを選んだ。早坂さんも同じものと、ジンジャーエールを頼んでくれていた。

「すずりさん そんなに、固くならないでくださいよ 何か、独りでぶつぶつ言ってたけど 本当に申し訳ない こんなつもりでは、なかったのですが」

「ごめんなさい 私 早坂さんって 真面目で、安心した」と、少し、笑った。

「ああ 笑ってくれた! その方が、可愛いよ」と言ってくれて、少し、緊張がほぐれていった。 

「早坂さんは、すれ違うと、いつも足早で・・そんなに、お忙しいんですか?」

「あぁ そうかな、なんか、歩いているのって時間がもったいなくてね そう見えたかな 事務所では、いつも、ぼーっと、しているよ 窓から、外を見たりしてね」

 その時、私、少し声を出して笑ったもんだから

「その笑顔、素敵だなぁ 可愛いよ すましていると、何だか、美人すぎてね 近寄りがたい」

「有難うございます 私 そんなにすましています?」

「うーん なんか、影があった 最近、雰囲気が和やかになったんだけど、なんかあった?」

「私 そんな感じだったんだ 実はね、相棒ってか、帰ってきたんです」

「それは、彼氏? かな」

「いいえ 違いますよー 何だろうなー 秘密です そのうち、お話します」

「そうかー 彼氏でなくて、安心したよ」

 お昼ごはんを済ませて、今度は、少し並んで歩いた。趣味のことなんかも、聞かれたりして、親しみやすくなったからだ。会社の前で、別れる時

「又、食事付き合ってくれると嬉しいな」って言われて

「ハイ」って応えてしまった。

「響先輩 ひどいー いなくなってしまってー」

「ごめんね でも、良い人だったでしょうー」と、先輩はなんでも無かったかのように

「ぇぇ まぁ 素敵でした」と、私は、小さく返事した。本当は、もっと好感を持てていたのだ。
 
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