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私の中に猫がいる

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1-⑶

 私は、パンツスーツで出掛けることにした。お化粧も、今日は、控えめにしていた。朝ご飯の時、言われたように、チッチも自分のお皿でご飯を食べていた。

 昨日のことが、夢だったのかしら、と思いながら、駅に向かった。坂の下の公園にさし掛かった時

「すずりちゃんと、出会った場所だよね。樹が大きくなった」

「プチッ やっぱり、夢じゃぁなかったんだ。居てくれたんだ」

「そうだよ 安心して」

 - - - - - ☆ ☆ ☆ - - - - -
 
 就業時間が終わって、お化粧を直して、

「さあ いくぞ プチ」と言うと

「ああ 居るよ 一緒に」って声が聞こえた。

 ホテルのロビーで待ち合わせして、港が見える最上階のレストランだった。相手は30才になろうかというところで、建設会社で、まもなく課長に昇進するという話だ。少し、太り気味なのに、神経質なところがあって、私は、気にいらないが、うちの会社にとっては、お世話になっているらしい。

 会社の先輩は「適当に受け流して、ごちそうになってくればいいのよ」と気楽に言っていたが、私、こんなの初めてだから・・。

「こんな、かわいい人と食事が出来るなんて、夢のようだよ」しきりに、歯が浮くような言葉を言ってくる。

 港の見える景色は、きれいで、お料理もおいしかった。私は、食べることに、感動していたが、その人は、一生懸命、今まで手掛けてきた建設のことを話していて、不思議なことに、プチが私の声を借りて、適当に相槌を打ってくれていた。その間に、しきりとワインを勧められたが、私は、一口、飲んだだけで、誤魔化していた。

 レストランを出る時に、もう一軒、飲みに行こうと、しつこく誘ってきて、断っていたが、ホテルを出ると、「じゃぁ 公園を少し、歩こうよ」と、私の腰に手をまわそうとしてきた。その時、

「シャーァ」とすごい声がした。私、じゃぁ無い!

 その人も驚いたみたいで、手を引いて黙ってしまった。やっと

「さっき、何か、言った? 気のせいかな すごい、声がした もう、送っていくよ」と言ってきたが、声が震えているようだった。

「私、父と一緒に帰るので、待ち合わせしていますので 今日は、ありがとうございました とっても、おいしかったです」

「そーなんですか じゃ ここで」 と、足早に人込みの中に去って行った。

「あんなの最低の男じゃないか よく、あんなのとデートするよ」とプチの声

「でも、少し、かわいそうな感じ」

「同情しちゃぁダメだよ すずりちゃんをなんとかしようと、下心みえみえだよ」

「そうだったね ありがとう、プチ 私、ずるずると断れなかったかも でも、お料理おいしかったわよ」

「そうだね 自分だけ、楽しめて良かったね」

「プチ 怒ってるの わかった プチの分、お肉買って帰るから」
 
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