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物語の交差点

作者:福岡市民
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とっておきの夏(スケッチブック×のんのんびより)
  仲直り

それからほどなくして小鞠が帰ってきた。


小鞠「夏海ー?なんか玄関に靴がいっぱいあったんだけど……ええっ!?」

なっちゃん「おお、君がなっつんのお姉さんかー!」

渚「初めまして、お邪魔してます」

小鞠「」ポカーン


目に飛び込んできたのは見慣れない顔、顔、顔。何気なく居間の襖を開けた小鞠は驚いてその場で固まってしまった。


なっつん「まあ座ってよ。詳しいことは今から話すからさ」



ーー
ーーー


小鞠「へー、そうだったんだ」


なっつんからこれまでの経緯を聞いて小鞠は納得した。


なっつん「うん。まだ出会って2〜3時間しか経ってないんだけどさ、もうずっと一緒だったような気がしてるから不思議なんだよね」

小鞠「そういうのってなんかよくあるよね……。そうだ、これ!」ガサッ


小鞠は持っていたレジ袋をなっつんに差し出した。見るとラップに包まれたピザトーストが入っている。


なっつん「姉ちゃん、これは?」

小鞠「さっき、このみちゃんと二人で作ったの」

なっつん「へ、へえ…」

小鞠「私ね、このみちゃんに『からかってきた夏海ちゃんも悪いと思うけど、それくらいで怒った小鞠ちゃんも大人気ないよ?』って言われたの。このみちゃんの言うとおりだなと思った。私は夏海の姉で一日(いちじつ)(ちょう)があるのにちっとも姉らしく振る舞えてないなって」

なっつん「そんなこと…!」

小鞠「夏海、ごめんね。一緒にこれ食べて仲直りしよう?」


小鞠が申し訳なさそうに言った。


なっつん「……ウチもれんちょんに大人気ないって言われたなあ。そして空ちゃんにも言われたんだよね、『もう少しお姉さんの気持ちを考えてあげないと』って。『きょうだいはこの世にたった一人しかいないんだから仲良くしないとだめだよ』とも言われたな。確かにそうだと思ったよ」

小鞠「夏海…」

なっつん「ウチ、姉ちゃんの気持ちを全然わかっていなかった。苦手なものは人それぞれあるのにそれを馬鹿にされたら誰だって怒るよね。姉ちゃん、本当にごめんなさい!反省してます!!」バッ!


なっつんは小鞠に深く頭を下げた。


小鞠「ううん、もういいよ。私のほうこそごめんね?」

なっつん「姉ちゃん…」


小鞠は柔和な笑顔をなっつんに向けた。


小鞠「よし、この話しはおしまい。冷めないうちにトースト食べよっか!」

なっつん「うん、それはいいんだけど…」


なっつんはバツが悪そうに身じろぎした。


なっつん「みんなが見ている前でウチらだけ食べるのってなんか悪くない?」

一穂「いやー、ウチらは別にいいんだけどね?」

木陰「私たちも気にしてないわよ」


すかさず一穂と木陰がフォローを入れた。


小鞠「いや、流石にそういうわけには…。あ、そうだ!それならこのみちゃんも呼んで皆の分のピザトースト作りませんか?材料はたしかあったと思うんで」

れんげ「いいと思いますん!うちは大賛成なーん!!」キラキラ


真っ先に賛成の意を示したのはれんげだった。目が輝いている。


なっつん「さすが姉ちゃん!その発想はなかったよー!」

朝霞「いいですねー、親睦も深めあえて小腹も満たされる。一石二鳥じゃないですかー!」

なっちゃん「おお、よかやん(いいじゃん)!」

一穂「ほたるん(一条蛍)も呼ぼうか。たしか親御さんと町に出かけてるんだよね。そろそろ帰ってくるころかな?」

ひかげ「家に電話しようか?」

一穂「うん、よろしく」

小鞠「それじゃあ、このみちゃん呼んでくるので皆さんちょっと待ってて下さい!」

一同「はーい」


小鞠は再び居間を出ていった。


渚「いやいや、思いもよらない展開になったねえ」

樹々「そうねえ。でもこういうのもたまにはいいんじゃない?」

ケイト「空、楽しみですネー!」

空:うん、美味しいトーストが食べたい……。 ホワーン




まさかの急展開。しかしこれも旅の醍醐味である。予測不可能なのが「旅」というものなのだ。
ーーー皆で作って食べるピザトーストはきっと素晴らしく美味しいものになるだろう。 
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