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ジェルマ王国の末っ子は海軍大将

作者:蒼たん
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第一章 少年期
  第十五話

 ゴジが朝起きてリビングに出ると、既に起きているゼファーが朝食を用意してある。
 

「爺さん、おはよ。」

「おぉ。おはよう。ほら飯にするぞ。」

「うん…。」

「「いただきます。」」
 

 ゴジとゼファーは互いに挨拶を済ませてから席に着いてから二人での朝食が始まった。

 本日のメニューは大きさのバラバラな具の入った味噌汁に白米、少し焦げている焼き魚というシンプルな物でゼファーの大味な味付けがゴジは気に入っている。


「今日も美味そうだ。」

「冷めねぇうちにさっさと食え!」


 口に出した言葉とは裏腹に料理を褒められて悪い気のしないゼファーはゴジを急かしながら、食べ始めた。

 ゴジがここへ来てからほぼ毎朝の光景であり、ゼファーはゴジの衣食住と全ての面倒をみている。昼食、夕食は海軍本部の食堂で済ますが、朝飯は自分で作ろうと慣れない料理に挑戦していた。

 ゴジはそんなゼファーの優しさに触れる度にジェルマ王国を出る時に、血統因子の研究について話す訳にはいかないとゼファーに対して自分の能力について『電気、怪力、毒の能力を使えることを隠した上で爆発系の悪魔の実の能力者である』と嘘の設定を伝えたことを後悔している。

 本当のことをゼファーに伝えたかったが、ここへ来て数ヶ月…真実を未だに話せないままでいた。


「ゴジどうした?嫌いなもんでも入ってたか?」


 ゼファーは自分の顔色を伺っている様子のゴジを訝しむ。


「いや……そんなことねぇよ。がつがつ……もぐもぐ……。」
 

 ゴジは慌てて朝飯を口に放り込んで誤魔化す。

 昔から研究ばかりでろくに人付き合いをしてこなかったゴジはゼファーから軽蔑されてこの関係が崩れるのがただ怖かったのだ。

 ゼファーは今日からアイン達訓練生と1ヶ月の航海訓練で家を空けるので、ゼファーが家を出る前に本当のことを伝えようと決意して口を開こうとする。


「爺さ…」
 

 ゴジは何故か今伝えないと、一生ゼファーに伝える機会が訪れないかもしれないと思ったのだ。


「ゴジ!飯食べたらお前も一緒に海へ出るぞ!」
 

 しかし、ゼファーの一言でゴジの意を決した話は遮られた。
 

「ん?あぁ…アインが言ってた航海訓練か…まだ海兵でもない俺が行けるわけねぇだろ!とうとうボケたか…爺さ…(ゴン!)…っ!?」

 

 大事な話を遮られたゴジが不機嫌に答えると、ボケたと言われたゼファーはゴジに無言でゲンコツを落とした。

 
「ありゃ、つい力入っちまったな。しゃーない勝手に連れてくか…」

 

 口より先に手が出るのはゼファーの悪い癖であるが、ゼファーは特に気にすることもなく、そのまま頭に大きなたんこぶを作って気を失っているゴジを小脇に抱えて家を出た。

  

 ◇

  

 次にゴジが目覚めると、はじめに目に入ったのは眩しいくらいに青い空を照らす太陽とアインの笑顔だった。
 

「あっ…ゴジ君気がついた?大丈夫?」


 ゴジはどうやらアインに膝枕をされていることと気付いたが、気を失う前に聞いたゼファーの台詞を思い出し、嫌な予感がして慌てて起き上がって周囲を見渡すとそこは案の定海に浮く船の上だった。

 そう。ゼファーは気を失ったゴジを抱えて訓練船に乗せて航海訓練に出発したのだ。
 

「ここは…」

「航海訓練の真っ最中よ。ゴジ君は来年海軍入隊時に訓練を免除する変わりに海兵見習いとしてこの航海に参加させるって言ってたわよ。」


 新兵訓練は1年を掛けて行われるため、それを免除になることは正直ゴジにとってはありがたいが、当日になんの説明もなく訓練航海に同行させるのは違うと思う。


「そういうことならそう言えよ。クソジジイ。どうせ俺を驚かせようとでもしたんだろうけど…まったく、どっちがガキだよ…」

「ふふふっ。」

 
 ゴジはゼファーが自分を驚かせる為に当日まで黙っていたのだろうと確信して一言文句を言おうと、左右に首を振ってゼファーを探すが近くにいないようだった。
 

「ん…?ゴジ君?」
 

 ゴジは再びアインの膝に寝転ぶとアインはビックリした顔を浮かべる。

 
「アイン姉ちゃんは俺の面倒見るように爺さんに言われてんだろ?もう少し二人でのんびりしてようか…ニッ!」


 ゼファーの姿は見えずとも、彼の新兵達を指揮する声と、その声に従ってバタバタと慌ただしく駆け回る新兵達の姿は確認出来た。


「正面からの風を受けて推進力にする!ちゃんと帆を張って風を受け流せ!」

「「「イエッサー!」」」


ゴジはそれを横目に見ながら、寝たフリを決め込んでアインにサボろうか提案する。


「もう…少しだけよ。」
 

 実際アインはゼファーにゴジが目覚めるまで世話をするように指示を受けている。

 流石にゼファーも気絶させるつもりはなかったので悪いと思って、ゴジが目を覚ました時に少しでも機嫌が良くなるようにゴジの世話係にアインを指名をしたのだ。

 

 その後ゴジは小一時間くらいアインの膝を占領して話をしながら、風通しのよいデッキの上を占領して日向ぼっこしながらゴロゴロしていると、新兵達が船の扱いに慣れてきたようで、手の空いたゼファーに気づかれた。
 

「おう!ゴジ起きたか?」

「いや…起きたかじゃねぇよ。まず言う事があるだろう。」

「がははは!すまん、すまん。ほら見習い、しっかりと働けよ。アインも世話を任せて悪かったな!」

「はいよ。」

「いえ、楽しい時間でしたよ。」
 

 ゴジの扱いは自分の知らない間に海兵見習いとなったようだが、12歳となる来年には訓練期間免除で普通の海兵として働けると知り、ゼファーの心遣いに感謝していた。


 ───この航海が無事に終わったらきちんと伝えよう。
 

 ゴジはゼファーの期待に応えるために無事にこの航海を成功させてから隠してきた真実をゼファーに伝えようと決意した。  
 

 
後書き
アイン達と行くゼファーの訓練航海といえば……もちろんあの日です。 
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