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ジェルマ王国の末っ子は海軍大将

作者:蒼たん
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第一章 少年期
  第十四話 見た目

 
前書き
お気に入り登録が一人増えたので嬉しみ投稿です。

この話はヒナ視点の一人称でお送りします。

 

 
 ※ヒナ視点です。


 ゴジ君は短く刈揃えた黒髪短髪を逆立たせるゼファー先生とお揃いの髪型と眉尻のクルクルが特徴の私の身体を舐めるようにを見ているだらしない顔はいかにもエロガキって顔をしてる一方で先生と同じ構えで、先生と同じ圧倒的な威圧感を持っている姿に驚愕し、間合いを詰めようとした足を止めてしまった。
 

『ヒナ、全力でやれ!!』


 クザン大将と違って私はこの戦いで能力を封じられていない。なら、遠慮なく私は能力をフルに使って全力でいかせてもらうわよ。


「緊縛の鉄錠!!」


 私は先生と同じ構えをするゴジ君との間合いをゆっくりと詰めてから私は鉄檻に変えた左拳を真っ直ぐに突き出すが、すんでのところでゴジ君に躱される。


「黒い拳……だが、覇気じゃなく、オリオリの実の力?」


 私の左拳を首を左に捻ることで躱したゴジ君と目が合う。


「そう。今の私の拳は鉄の強度を誇るから受け止めようとすれば鉄骨で殴られるのと同じだから躱すのが正解。でも……」


 私はゴジ君が突き出したままの左腕を掴もうと右手を伸ばすのを見てほくそ笑んだ。


「それなら、投げ飛ばして……あれっ!?」


 ゴジ君の右手は私の左腕を通過してガシャンという音と共に私の左腕を通過した彼の右腕と私の左腕に8の字型の黒い錠が嵌められていた。
 

「私の手を掴もうとしたのは不正解よ。わたくしの体を通り過ぎる全ての物は“緊縛(ロック)”される。“手錠”!」
 

 これが私の悪魔の実の能力。互いの腕を手錠で拘束されたゴジ君はもう逃げられず、この距離はオリオリの実の能力が十全に使える私の間合いである。


「何だと!?」


 オリオリの実は超人(パラミシア)系に属するが、物理攻撃がほとんど効かないという自然(ロギア)系に近い強みがある悪魔の実であり、ゴジ君は爆発の能力を使うと聞いたが、鉄の強度のある自分には爆発は効かない。
 

「残念ね。ゴジ君、これで私の勝……」


 私は手錠越しに伝わってくるプルプルと震えるゴジ君が負けて悔しがってるのだと思って、彼の肩を叩こうと手を伸ばす。


「来たぁーー"黒檻"のヒナの決めゼリフ!」


 しかし、ゴジ君は私の予想に反して嬉しそうに両手を上げて喜びを顕にしている姿に目が点になる。


「「「うおおおおぉぉー!」」」
 

 さらに私の言葉に大喜びする訓練生達の姿を見てもうこのセリフは封印することを誓った。
 

「こら!ゴジ。真面目にやれ!」

「爺さん。俺はヒナ嬢のあのセリフを一度生で聞いてみたかったんだよ!」
 

 私はゴジ君の「私の決めセリフを聞いてみたかった」という言葉に衝撃を受ける。
 

「あら…?ゴジ君もしかしてわざと捕まったのかしら?私との手合わせで手を抜いてたの?ヒナ不快。」


 とぼけた顔をするゴジ君の顔を私が女だからと“ちゃんと”手を抜いてくれた訓練相手の男海兵達やこれまで拿捕してきた海賊達と重ねてイライラがピークに達する。


「まぁ……わざとじゃないけど、捕まって良かったとは思ってるよ。」


 大人の私が全力で手合わせしてる中、私の半分くらいしか生きてない子供に手を抜かれていることを知って我慢ならず、怒りに任せて自由な右腕を鋼の檻に変える。


「許さない!“緊縛の鉄じ……かはっ!!」
 

 私はゴジ君を殴り飛ばそうとした瞬間、腹部に受ける衝撃とともに目の前が真っ白になるのを感じる。


「だってさ……俺の手足の短さだと、この距離じゃねぇと勝ち目ないんだよ。」


 肺の中の空気が全て吐き出されて、視界が戻ってきた私が見たのは油断なく私をキツく見据えながら、私の腹に左拳を突き立てるゴジ君の姿だった。


「痛っ!?」

「少し手荒になりますが、ご容赦下さい!」


 自分の左手首とゴジ君の右手首が手錠で繋がっているので拳を突き立てられた私は殴り飛ばされることなく、地面にうつ伏せに押し倒された。


「ぐっ!?」


 地面に叩きつけられた顔の痛みと背中に回された左腕をキメられた私は声が漏れるも、ゴジ君は左手で私の首根っこを押さえて顔を地面に押し付けたままでさらに左膝を私の背骨に乗せてを押さえつけていた。


「うっ…ぐぅ…!?」


 逃げ出そうにも見た目以上にゴジ君の力は強く、足をバタバタとさせるだけで全く抜け出せずにそれでも無理に抜け出そうとすると腕を折られる手前まで関節を強く決められるので体動かせない。


「爺さん、勝負は付いたろ?」


 ゴジ君がゼファー先生を呼ぶ声を聞いて、私は抵抗を諦めてゴジ君の右手を拘束していた手錠を解除した。


「それまで!ゴジの勝ちだ。」


 お手本のような制圧技と私が能力を解除した事を合図にゼファー先生は当然の如く、ゴジ君の勝利を宣言すると彼は私の背中から飛び退いてくれた。


「痛たたっ……負けたわ。ゴジ君、君はなんで私の体を通過しなかったの?ヒナ疑問。」
 

 この勝敗自体には文句はないが、腑に落ちなかった疑問の答えは私に向けて差し伸べてきたゴジ君の手を見て直ぐに明らかになった。


「覇気なら貴女にも聞くでしょう?それよりも大丈夫ですか?」


 ゴジ君が片膝を付きながら差し出してきた右手は武装色の覇気を纏って黒く硬化していた。


「なっ……まさかそれは“黒腕”!?」


 私の能力にも当然ながら武装色の覇気は有効であり、覇気を纏った攻撃は私の体を通過しない。
 

「ヒナ中尉、ありがとうございました。そしてすみませんでした。」
 

 私はつい差し出されたゴジ君の手を取ってしまったけど、彼はグッと引っ張って体格差のある私をあっさりと立たせてくれた。
 

「本当に君は強いのね……それに比べて私は……はぁ〜……。」
 

 この子は強いから私のような女が相手では手を抜いて戦っても当然だと思うとこれまで男にも負けないように鍛錬を重ねてきた己が惨めで虚しくなり、ため息を吐いてしまう。


「おい!ヒナ。お前はゴジを手っ取り早くオリオリの実の能力で拘束して制圧してやろうと考えてなかったか?」


 敗北に落ち込む私に対してゼファー先生が掛けてくれた言葉は慰めではなかったが、私はその言葉を受けて弾かれたように顔を上げた。


「えっ……!?」


 ゼファー先生はサングラス越しに私を見下ろしながら、矢継ぎ早に質問を続ける。


「なぜクザンを倒したゴジの力を警戒して間合いを取って戦わなかった?能力頼りのバカになるなと俺は教えたはずだが?それともゴジを見た目で判断したのか?」

「えっ……それは……まさかっ!?」


 私は慌ててゴジ君を見ると彼はゼファー先生の言葉にうなづいて同意する。


「俺はヒナ中尉が自分から間合いを詰めてくれたので助かりました。汎用性の高いオリオリの実の能力で間合いを取られたら厄介だと感じていました。俺は単純な力比べなら爺さんにも負ける気はありません。」

「ちっ……こいつは一言多いんだよ!!」


 私はゼファー先生とゴジ君のやり取りを見て、ゴジ君が衰え知らずの筋肉を持つゼファー先生よりも力があるなんて聞いてなかった……。


「違うわ……相手はゴジ君を見て所詮子供だと[[rb:見た目 > ・・・]]で判断した。ヒナ完敗……」


 所詮女と侮って手を抜いて訓練に付き合ってくれた同期や、これまで拿捕してきた海賊達と同じようにゴジ君が子供だからという理由で無意識に手を抜いてたのは私だったのね。


「俺は憧れのヒナ中尉と戦えて嬉しかったです。」


 訓練生時代、いつも厳しかったゼファー先生と同期のスモーカー君だけは私を女ではなく一人の海兵として接してくれていた。

 それは目の前で満面の笑みを浮かべる小さな紳士も同じだった。


「全く……そのままいい男になりなさいよ。ちゅっ!」
 

 私はゴジ君に近づいておデコに軽くキスをする。


「へっ?」


 彼はびっくりした顔をして頭をあげるので、すかさず彼のおデコに軽くデコピンする。


「約束のご褒美よ。ゴジ君、じゃあね!」
 

 キスは私と真剣に戦ってくれたゴジ君へのお礼と彼を子供と侮っていた事への謝罪。そして最後のデコピンは終始余裕で海軍中尉の私をあっさりと倒してくれたゴジ君への意趣返しである。


「ふふっ…照れちゃって可愛いわね。ヒナ満足!」

 
 両手でおデコを押さえて顔を赤らめたまま放心状態のゴジ君を横目に見ながら、煙草を咥えて火をつけながら訓練所を後にした。
 

 ◇
 

 その日の夜、海軍本部の女風呂の更衣室で服を脱いでいると、訓練所で別れたアインと再会する。


「ヒナさん、お疲れ様です。」


 私に憧れてくれているアインにはカッコよく勝つ姿を見せたかったと少し肩を落とす。


「あら?アイン、今日はかっこ悪いとこ見せちゃったわね…」


 アインはそんな私を励まそうとしてくれているのか、私が去ってからの訓練所での出来事を教えてくれた。


「うふふっ…ゴジ君はあれから使い物にならなくて大変だったんですよ!本当にヒナさんのこと好きみたいですよ。」


 アインの言葉を聞いて、改めてゴジ君が本気で私に向かって来てくれた事に申し訳なくなる。


「ふふっ……そう。惚れてる相手にも手を抜かずに真剣に戦ってくれたのね。なのに私ときたら……そんなゴジ君の容姿から所詮子供と彼を侮っていたことと謝り損ねたわ……今度謝らないと……」

「あぁ…それならすぐに言ってあげて下さい。」

「ん?あ〜今日も来てるのね……」
 

 私はアインが言ってる意味を察してお風呂場の扉を開けると予想通りゴジ君がいた。
 

「なんでこんな美女が沢山いる風呂場でいつもいつも婆さんに洗われにゃならんのだ。ガキじゃねぇんだから一人で洗えるよ。」

「なら、女風呂じゃなくて男風呂に行きな。」

「ワァーイ…婆サンニ洗ッテモラエテ嬉シイナ。」

「えらく棒読みだね…ったく、ほら、ゴジ。泡を洗い流すから目を閉じな。」
 

 海軍本部唯一の女性中将にして“大参謀”と呼ばれるおつるさんは泡まみれになって強く目を瞑っているゴジ君の頭からお湯を掛けて泡を流してあげている。


「え〜と……何これ?」

「ふぅ〜サッパリした。ほら、次は婆さんの番だぞ。背中流してやるからあっち向けよ。あっ!ヒナ中尉、こんばんは。裸もやっぱり綺麗ですね…この婆さんとは大違い…」

「煩いよ。私だって10年前は…」


 続いておつるさんの背中を流そうとしているゴジ君が私に気付いて笑顔で挨拶してくれた後、何事もないようにゴジ君はおつるさんの背中をスポンジで擦りながら仲良く軽口を言い合ってるその姿はおつるさんには失礼ながら孫と祖母にしか見えない。
 

「はっ…40年前のまちが…いでっ!何しやがんだよ!」


 ゴジ君の要らない一言でゴジ君に背中を洗われているおつるさんは無言で風呂桶を後ろに放り投げるとそれがゴジ君の顔にヒットし、スコーンという小気味よい音音ともに彼は顔を押さえて風呂場で悶絶している。


「全く……一言多いんだよ。あんたは!」
 

 それを湯船に入ったり、体を洗ってる女海兵達が微笑ましそうに見てる所からするとこれは日常の光景なのだと納得するしかない。

 
「本当にゴジ君は女風呂に来てるのね?私は大抵は部屋のシャワーで済ましちゃうから、ここでゴジ君と会うのは、この前以来なの。どういう状況なの?」

「おつるさんと一緒に入る事を条件に許可してもらったみたいですよ。」


 そんなゴジ君を見て、彼に謝罪するよりも喜びそうな事を思い付いて洗い場の椅子に座って彼に背を向けながら振り返る。


「うふふっ…ゴジ君、おつるさんの背中を流し終わった後は私の背中よろしくね?」


 ゴジ君は目をハートマークに変えて私の背中を見ながらおつるさんの背中を擦るタオルを超高速で上下し始める。


「ヒナ嬢の背中を流す……⸝⸝⸝はい!もちろん!!婆さんの背中なんてすぐに洗ってやるぜ!うおおおおぉぉぉ!!」

「ちょ……ゴジ……熱っ!?止め……熱いからお止め!!?」

「「「あははははっ!!」」」


 普段は温厚でお淑やかなおつるさんがゴジ君が超高速でタオルを擦る摩擦熱で悶絶している姿を見て、更に笑いが起き、今後浅からぬ縁を結ぶことになるゴジ君との一日は幕を閉じた。 
 

 
後書き
5月11日加筆修正 
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