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ジェルマ王国の末っ子は海軍大将

作者:蒼たん
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第一章 少年期
  第十二話 同期会1

 ゼファーはクザンをみっちりと夜までしごいて風呂に放り込んだ後、センゴクに呼ばれて元帥室に行くと、そこには懐かしい顔ぶれが揃っていた。


「なんだぁ?ガープにつるもいるのか…センゴク。同期会でもおっ始める気か?」


 元帥室にはセンゴクと同じく自分と同期である海軍中将の”英雄”モンキー・D・ガープと同じく海軍中将の”大参謀”つるが応接ソファーに腰掛けていた。


「ぶわっはっはっは。聞いたぞ。ゼファー、面白い子供を拾ってきたらしいのぉ?」

「確かにゴジは面白い子だね。」


 ゼファーは大笑いしながら自分を揶揄うガープと違ってゴジの事を既に知っている風なつるを見て不思議に思う。


「ん?つるはゴジにもう会ったのか?」

「あんたね……海軍本部の女風呂に子供が入ってれば嫌でも私の耳に入ってくるさね。」


 つるは海軍の女性海兵の中で一番の古株で階級も最上位であり、女性海兵達のまとめ役兼相談相手であるから報告を受けて風呂場でゴジと会っていた。


「あぁ……。そういや、ゴジはよくアインにくっついて女風呂に入ってたな。」


 ゼファーがつるがゴジと面識がある事を納得していると、センゴクが早速本題に入る。


「そんな事より今はゴジのことだ。ゼファー詳しく話せ。」


 センゴクはゴジの実力を目の当たりにして、彼の正体が気になって仕方なかった。


「ゴジのことか?俺の言った通り将校になれる男だったろ?」
 

 あまりにも簡単すぎるゼファーの説明にセンゴクが少し険しい顔をする。
 

「はぐらかすなゼファー!そういう事を聞きたいのではない!!ハンデ戦とはいえ10歳にしてグザンに膝を付かせるあの子は異常過ぎるだろう。」


 センゴクの動揺などいざ知らずマイペースを崩さないガープは何処から取り出したか分からないせんべいの袋を開けてバリバリとせんべいを齧り始めていた。


「バリバリ…ぶわっはっはっ!クザンも油断したんじゃろうが、若くて有能な海兵が育ってるのはいい事じゃろう。あっ…せんべい食うか?」


 センゴクはせんべいを頬張って笑いながらゼファーに同意するガープを前に頭を抱えていると、その袋に手を伸ばしてせんべいを一つ摘んだつるがセンゴクを説得する。


「ガープ、せんべい貰うよ……センゴク諦めな。ゼファーに話す気がないのは分かるだろ?」


 センゴクを始めとしてこの場にいる男達の性格を熟知する同期の紅一点つるの言葉に、センゴクも情けない声をあげる。


「むぅ……しかし、おつるちゃん……」
 

 悪魔の実の能力を封じられたとて、見聞色の覇気と武装色の覇気を使いこなす海軍大将に膝をつかせる10歳児など異常すぎることはゼファー自身も理解している。


「正直な所……俺もクザンに勝ったことには驚いた。つる、センゴク。お前達の目にゴジは悪人に見えたか?」


 なんのことはない間近でゴジの成長を見守ってきたゼファー自身が彼の異常すぎる成長速度に度肝を抜かれてるのだ。


「いや……私はそうは見えなかったか……おつるちゃんはどうだ?」
 
「そうさね……。風呂場でゴジにウォシュウォシュの実の能力を使った事があるけど、悪しき心を流す為の全く泡立たなかった。間違いなく悪人ではないよ…」


 超人(パラミシア)系悪魔の実ウォシュウォシュの実の能力者であるつる。彼女の能力は悪しき心まで洗い流す事が出来る。


「センゴク、聞いた通りだ。つるが言うなら間違いないだろ?ゴジは俺が拾ってきた子だから俺が責任を持って育てるそれでいいだろう。」


 つるの能力はこの場にいる全員が知っているため、彼女のお墨付きであればゴジが悪人でないことを証明するにはこの上ないとゼファーは断言する。


「おつるちゃんの見立てながら間違いないか……。ゼファーそれが貴様の答えか?」


 しかし、センゴクはゼファーが自分に隠し事をするのが気に入らない。


「あぁ……。そうだ。」


 センゴクとてゼファーとは半世紀近い年を共にした仲であり、ゼファーがゴジの出生を何か理由があって隠していることは検討がついているが、互いに譲れずに睨み合いになる。


「センゴク、それくらいにするんじゃ!」

「ゼファー!あんたもだよ!」


 ガープがセンゴクを引き離し、つるがゼファーを引き離した。


「分かった。ならばこの話は終わりだ!ガープせんべいをもらうぞ!バリッ…」


 センゴクはイライラをせんべいにぶつけるようにガープが持つせんべい袋からせんべいを1枚ひったくるように取ってから、ドンッと椅子に腰掛けながらそれを噛み砕く。


「ガープ、俺にも寄こせ!バリッ…バリバリ…そういや、来月の航海訓練にゴジを連れて行くからな。」


 ゼファーはガープから貰ったせんべいを噛み砕きながらセンゴクへの用事を思い出したので、そのまま伝えた。

 航海訓練とは訓練生の卒業試験のようなもので、ゼファーを船長として訓練生全員で1ヶ月の航海をする訓練であり、勿論海賊と戦闘になる可能性すらあるという実践形式の訓練である。


「ぶおおぉぉぉ!?なっ…私は聞いてないぞ。ゼファー!ゴジはまだ海兵じゃないだろう!!」


 突然のゼファーの話に飲んでいたお茶を吹き出したセンゴクは再度立ち上がってゼファーに詰め寄った。


「バリバリ…今言った。お前もあの子の力は見たろ?ゴジに新兵訓練は必要ない。航海訓練までにはあの子は11歳になるから海兵見習いとして連れていく。それとつる、航海訓練から帰ったらお前の部隊でゴジを面倒見てアイツに見聞色の覇気を教えてやってくれねぇか?」


 ゼファーは詰め寄るセンゴクを無視して、つるに軽く頭を下げる。


「あんたがあたしに頼るなんて珍しいこともあるもんさね。」
 

 ゼファーは戦闘において無意識に見聞色の覇気を使うが、使い方を教えろと言われると困る程度にしか使えずに教え方が分からないのだ。


「ゴジは恐ろしく目がいい。相手の動きを見極めながら後の先を取って戦う事を得意としているが、ゴジの目に先の先を取れる見聞色が合わされば凄いことになる。」


 ゼファーはゴジの更なる成長には見聞色の覇気を習得させるのが一番であると考えて、海軍本部でも随一の見聞色の覇気の使い手であるつるに頼むことした。


「ふふっ……未来を見通せる見聞色の覇気の使い手が生まれるかもね。まぁ、ゴジは既にうちの子達に大人気でね。元々うちで面倒みようかと思っていたんだ。見聞色の覇気の件も含めて任せときな!」


 つるは海軍本部随一の見聞色の覇気で使い手であると同時に海軍唯一の女性部隊を率いる女傑であり、ゴジがジャッジ譲りの女好きと知っているゼファーは孫の為にどうせならつるの部隊に入れてやろうという老婆心である。


「おい!二人で勝手に話を進めるな!」


 つるとゼファーで勝手にゴジの配属部隊を決めたことでセンゴクが割って入った。

 センゴクもゴジの実力は高く買っているが、若すぎるので数年間みっちりと教育を施してからでも遅くはないと思っている。


「センゴク、お前にも頼みがある。サイファーポールへの交渉を頼みたい。」


 サイファーポールとは世界政府が凶悪犯や危険組織の調査を行うための諜報機関であり、各人が六式と呼ばれる超人体術を扱う集団である。


「サイファーポールだと?何の交渉だか分からないが、それは無理d……ゼファー!?」


 同じ世界政府直轄組織である海軍本部とサイファーポールだが、互いに交流もないので正直無理難題だとセンゴクが断ろうとした時……。


「ゴジに六式を教えたい。六式を使える人間をゴジに付けてくれ。無理は承知だがこの通り頼む。」


 センゴクはゼファーの頭を下げる姿を見て無理だという言葉を飲み込んで苦笑せざるを得ない。


「「ゼファー……」」


 何故ならセンゴク、ガープ、つるの3人ががゼファーの頭を下げた姿を見るのはこれで二度目であった。


『私怨で海賊を……人を殺すような男にもう”正義”なんて語れねぇ。すまねぇ……。』


 一度目は自分の妻子を殺した海賊に復讐を果たしたゼファーが失意の内に除隊を願い出た時以来であり、当時のコング元帥と自分達でなんとか説得して大将の座を降りて教官という立場に収まってもらった時である。


「お前が私に頭を下げる姿は二度目だな。一度目に比べれば遥かにマシな頼みか……なるほど……本気なのだな……」


 そんな男が今度はゴジに更なる成長する機会を与える為に頭を下げているのだから、友として協力しないわけにはいかない。


「あぁ……俺はゴジを最強の海兵するためなら、何でもやる。アイツはこの大海賊時代を終わらせる男だ。」


 センゴクはゼファーの決意に満ちた目を見て嘆息しながら、ガープを指差す。


「はぁ…任せておけ。しかし、ゴジの成長に私も一枚噛ませてもらうぞ。」

「ん?ガープ?」


 ゼファーはせんべいの欠片が歯の間に挟まってそれを取るために、必死で指を口の中に突っ込んでいるガープを見て頭を捻る中、センゴクはガープを指差した理由を話す。


「私はゴジの教育を担当する。ゴジを腕っ節だけのガープみたいな[[rb:海兵 > バカ]]にするわけにはいかまい?」

「ふががぁ……ふぃ〜やっととれたわい。」
 

 ゼファーは煎餅の欠片が取れて喜んでいるガープを見ながら、センゴクの言い分は全くだと深く頷いた。


「よし、センゴク任せたぞ。」

「承った。」


 センゴクはゴジを直接自分が教育することで自分の不安を解消しようと考えて、対するゼファーは”智将”の二つ名を持つセンゴクが教育してくれるならガープみたいにはならないだろうとゼファーはセンゴクの提案を願ってもないと受け入れる。


「なんじゃ?わしの顔に何かついとるのか?」


 ゼファーは自分の用事は終わったとガープの元へ歩いていく。


「ガハハハ!持つべき者は同期だな。センゴク、つる。二人ともゴジを任せたぞ!早速ゴジに伝えてこよう。ガープ!せんべいを袋ごと寄越せ!」


 ガープはまだ半分以上せんべいが残っている袋を取り上げられて悲しそうな顔をしながら手を伸ばす。


「何っ!?わしのせんべいが……」


 ゼファーはガープの手を振り払ってせんべい袋片手に元帥室を退出した。


「ゴジの土産にするんだよ。ケチケチすんな!ガープ、お前はたまに訓練所に遊びに来い。ゴジと遊んでやってくれ!!」


 ガープはバカだが、“英雄”という異名は伊達では無いくらいに強く、ゴジの訓練相手にはうってつけだと声を掛けた。


「ん?ぶわっはっはっは!そういう事ならわしに任せておけ!!」


 ガープが快諾した事でゴジは自分の知らないところで自分の成長の為に必要な将来設計が決まっていったのだった。 
 

 
後書き
5月7日加筆修正 
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