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イベリス

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第十六話 ゴールデンウィーク前にその八

「咲ちゃんみたいに上手くなるわよ」
「私歌上手?」
「上手よ」
 その返事は一言だった。
「かなりね」
「そうだったの」
「自信持っていいわよ」
 咲に笑って話した。
「咲ちゃん歌上手よ」
「そうなの」
「だからもっと歌えばね」
「もっと上手になるのね」
「歌えば歌うだけね、それで私もね」
「努力してるのね」
「歌ってね」
 カラオケボックスでそうしてというのだ。
「そうしてるのよ」
「そうなのね」
「そう、だから負けないから」
 また先に笑って話した。
「いいわね」
「私になの」
「そう、今度新曲も練習してるから」
「誰の新曲?」
「AKBのね」
 アイドルグループの曲をというのだ。
「それをね」
「そうなの」
「そう、乃木坂もHKTもNMBもね」
「凝ってるわね」
「やっぱりアイドルの曲がね」 
 それがというのだ。
「歌いたいでしょ」
「新曲ね」
「そしてアニソンね」
 このジャンルの歌もというのだ。
「こちらもね」
「新曲勉強してるの」
「今クールのね」
「早速なのね」
「出たら」
 カラオケにというのだ。
「もうね」
「歌うのね」
「そうするわ」
 咲に強い声で答えた。
「そうするわ」
「そうなのね」
「ええ、ただね」
「ただ?」
「アニソンも最近多いから」
「というか多過ぎよね」
 咲は真面目な声で応えた。
「言われてみると」
「そうでしょ」
「アニメ自体が一クール何十作とあるから」
「それだけオープニングとエンディングあるでしょ」
「アニメは一クールで一曲だしね」
「特撮だと一年だけれどね」 
 愛はこちらのジャンルの作品の話もした。
「それがね」
「アニメだと一クールだから」
「それが何十作よ」
「無茶苦茶多くなるのも当然ね」
「しかも声優さんが歌う曲もあるでしょ」
「オープニング以外にもね」
「エンディングだってね」
 こちらの曲の話もした。
「あるから」
「カラオケにある曲だけでもね」
「もう相当に多いから」
「歌うのも困るわね」
「そうなのよね」
「多過ぎても」
 咲はたまりかねた様に言った。 
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