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ジェルマ王国の末っ子は海軍大将

作者:蒼たん
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第一章 少年期
  第十話

 訓練の後、アインは約束通りゼファーとの訓練でボロボロになったゴジを連れて海軍本部にある女風呂に向かっている。


「あのジジイ、少しは手加減ってもんを……」

「でもゴジ君ほんとに凄いわ……ゼファー先生の動きについていけるだけで凄いことよ!」

「それとこれとは…って着いた!!アイン姉ちゃん早く早く!!」


 ゴジは女と書かれた赤い暖簾を見つけて鼻息荒く興奮して疲れも吹っ飛んだように暖簾の手前までダッシュしてアインを急かしている。


「あらあら、はしゃいじゃって可愛い。」


 アインはそんなゴジを見ながら、お風呂にはしゃぐ年相応の反応(勘違い)をしているゴジを見て微笑ましく思っているが、当然ヴィンスモーク家の血を受け継ぐゴジが何に興奮しているのか。

 言わずもがなである。

 更衣室に入るやいなや一瞬で服を脱いだゴジが浴室の扉を開けると目の前の光景に感動で打ち震えた。


「ここは天国だああぁぁぁ。海軍本部に来れてよかった。」

「あらあら……ふふふっ。」


 後ろからアインの声が聞こたゴジが振り変えると、体に白いタオルを巻いただけの姿のアインに見惚れる。


「アイン姉ちゃんも凄く綺麗だよ。」

「あら、ありがとう。さぁ行くわよ。」


 ゴジはアインと互いの背中を流しあった後に湯船に入り、月刊『海軍』でも特集されていた美人な女海兵達の一糸まとわぬ姿に見惚れていると風呂の熱さも相まって逆上せた。


「あ〜美女が沢山……美女が沢山……たくさ……」

「きゃあああ!ゴジ君大丈夫?もう逆上せちゃったの!?しっかりしてええ〜。」


 アインは慌ててゆでダコのように顔を真っ赤にさせて逆上せたゴジを風呂から出して救護室に連れて行こうと女風呂を飛び出したところで男風呂から出てきたゼファーと出会った。


「先生大変です。ゴジ君がお風呂で逆上せちゃいました。」


 ゼファーはアインに抱えられる幸せそうな顔で逆上せたゴジを見て、逆上せた原因を見抜いて軽く頭を抱える


「はぁ、全くこのエロガキは…仕方ねぇな…アイン大丈夫だ。俺が連れて帰ろう。」


 気絶したままのゴジをゼファーが背負って自分の家に連れて帰ることになったが、その姿を見た海兵達の話では疲れて眠ってしまった孫を背負う優しい祖父の姿にしか見えなかったという。

 この時の2人の姿は翌日には海軍本部基地中の海兵に広まることとなり、翌日からゴジはゼファーの秘蔵っ子と呼ばれることになる。


 ◇


 数日後ゴジがマリンフォードに来てから数週間が経ったある日の訓練所、ゼファーに投げ飛ばされたゴジがすぐに立ち上がった。


「くそ!爺さんもっかいだ!」

「ゴジ、目に頼りすぎるな。攻撃が来ることを感じりゃ攻撃なんて簡単に避けれんだよ。」

「そんなんで分かりゃ苦労しねぇよ!?」


 訓練生ではゴジの相手を務めれないことをゴジ自身が証明したため、ゴジとゼファーとのマンツーマンの訓練は既に日課になりつつあった。


「ゼファー先生、私とも一手訓練をお願いします。」

「お前はシュウか……いいだろう。鈍ってないか確かめてやる。ゴジ、外周を走っとけ」

「はっ!ありがとうございました。」


 シュウという名前の白い布で鼻から下を覆い、海軍の帽子を目深に被った海軍将校は背中に正義の二文字の書かれたコートを脱いでゼファーの前に進みで来るので、ゴジは下がって走る準備を始めた。


「へいへい……。」


 ゴジがゼファーに鍛えてもらっている間にも、ゼファーに鍛え直してもらう為に多くの将校達が彼を尋ねてくるので、ゼファーが海兵達にどれだけ慕われているのかがよく分かる。


「ぐはっ!」


 シュウがゼファーに殴り飛ばされて訓練所の壁に衝突して意識を失っていた。


「ダメだダメだダメだ。貴様は悪魔の実の能力に頼りすぎている!」


 シュウは触れたものを何でも錆びさせてしまう超人系(パラミシア)悪魔の実サビサビの能力者で若くして海軍本部中尉の地位に付いた新進気鋭の有望株であるが、ゼファーの前では形無しである。


「やっぱり爺さんはすげーな。」


 ゴジはゼファーが悪魔の実の能力者である将校達を相手に能力に頼りすぎると言いながら彼らをいつも圧倒している姿に憧れた。

 今も走ながら戦闘の一部始終を見逃すまいとしっかり見ていたが、ゼファーと距離を取って能力を発動しようとするシュウを見るや一瞬で間合いを詰めたゼファーに殴り飛ばれたのだ。

 自分は能力頼りの男にはなりたくないと思い、訓練において血統因子で得た能力を使わずに自分の覇気や体を鍛えてゼファーに一人前の海兵と認められるまでは能力は使わないと決めて訓練に望んでいた。
 

「ゼファー!ゼファーどこだ!?」

「ん?この声はセンゴクか……まったく騒がしい。ゴジ、少し休憩だ!アイン、ビンズ。お前達も休憩だ!」


 ゼファーの声が聞こえたゴジはそれを見ながら偉い大物が来たなと思いながらも休憩と聞いて疲れた体を休めるためにその場で仰向けに寝転ぶ。


「あ”ぁ〜疲れたぁ〜」

 バタッ!


 訓練生の纏め役であるアインとビンズの合図で訓練生達もセンゴク元帥とクザン大将の登場に驚きながらも各々休憩を始めた。

 ビンズというのは忍者でもないのにいつも忍者のコスプレをしている変わった男であるが、訓練生の中ではアインに次ぐ実力の持ち主である。


「センゴク元帥……。それにクザン大将」

「トップ2がどうしてこんなとこにで」


 2人の姿に驚愕が隠せない。

 海軍本部のトップ元帥とその直属の地位にある大将の2人が訓練所に顔を出すだけでも珍しいのに、ボサボサの黒髪で3メートル近い身長のあるいかにもやる気無さそうな顔をしている海軍本部に三人しかいない大将の一人クザン。

 そんな海軍本部を代表する三大将の一人がセンゴク元帥に首根っこを掴まれた状態で引き摺られてきたのだ。
 

「ゼファー!このバカを鍛え直してくれ!」

「げっ…先生!?俺ぁ〜新兵じゃねぇんだから、センゴクさん勘弁して下さいよぉ〜」


 優秀ながらも“だらけきった正義”を掲げるマヌケ者であるクザンが超絶真面目人間であるセンゴクに怒られる理由等想像に容易い。


「あぁ…クザンか…お前どうせまた書類仕事サボって遊んでたんだろ?そうだ。ゴジ起きろ!丁度いい相手が来たぞ!」

「はっ?」


 ゴジは飛び起きて『さっき休憩って言っただろう?』と言いたげな非難の顔をゼファーに向ける。

 クザン大将は海兵達の評判もいい人間の出来た男ではあるが、だらけきった正義という碌でもない正義を掲げて、その信条の通りに仕事をサボっていつも部下から注意を受けているのだが、今回は耐えかねた部下が元帥に直訴した事でセンゴクの逆鱗に触れて罰を与える為にここへ連れてきたのだ。

 
「爺さん!俺は休憩中だぞ!」


 折角の休憩と聞かされているのに、たまったもんじゃないとゴジは抗議の声をあげるが、ゼファーが聞くはずもない。


「いいから起きろ!クザン、このゴジと戦って勝つことが出来れば訓練は免除してやろう。」

「はっ?だからそのガキと戦えっての?冗談キツいよ先生。そいつ10歳くらいだろ?見習いですらないじゃん?」


 クザンは訓練免除を餌にされたところで、流石に10歳程度のガキと戦えと言われて断ろうとしている。


「そのもじゃもじゃの言うとおりだぜ!」

「もじゃもじゃって……人が気にしてるとこをさ。。」

 
 ゴジは話を進めるゼファーにたまらずに立ち上がって天に向かって吠えている。

 そんなゴジを興味深そうにセンゴクとクザンが見ている。

 パッと見は年齢通りの子供だが、鍛えられた体と覇気で年齢通りではないことは彼らにも伝わっていた。


「ほぉ…その子が噂のゼファーが拾ってきた子か?ゼファーが自慢するその子の実力を見たかった所だ!面白い、クザンやれ!」

 
 センゴクもゼファーとガープの同期でガープの孫自慢に嫌気が差していた一人だが、最近はゼファーの孫自慢話をいつも聞かされているのでゴジに興味があった。

 

「ちょ…ちょっとセンゴクさんまで…ほら、そのガキもすっごい嫌そうな顔してるでじょ?」


 ゼファーとセンゴクが乗り気である以上は対戦相手であるゴジが納得していないことがクザンにとっての最後の砦となっている。

 クザンとてゼファーの秘蔵子と呼ばれているゴジの強さは気になるが、流石に自分が子供と戦うのは勘弁したいのだ。

 ゼファーはゴジに近付いて彼のやる気を出させる為の取っておきの情報を耳打ちする。


「爺さん、なんだよ?児童虐待で訴えるぞ!」

「もしお前がクザンに勝てば明日、海軍本部に戻ってくる予定のヒナと会わせてやろう。」

「えっ…本当?ヒナ嬢が本部に来るのか!?」


 月刊『海軍』の人気コーナー”女海兵特集”で何度も特集されている“黒檻”のヒナはゴジの一番のお気に入りであり、ゴジの初恋の人と呼んでも差し支えない。

 ちなみにヒナ嬢というのは彼女のファン達が名付けたヒナの愛称である。

 ここに来た当初、偉大なる航路(グランドライン)の支部に配属されているヒナは滅多に本部に帰って来ないことを知ったゴジは肩を落としたものだ。

 

「確かな情報だ。そしてアイツも俺の生徒だからな…ガハハハ!やる気出たな?あの馬鹿の鼻っ柱折ってやれ!」

「任せろ!」


 ヒナに会えると聞いたゴジのやる気は漲っている。

 ヒナは機関誌の撮影の為に定期的に本部に呼び出されており、今回も女海兵特集の撮影と取材が目的であった。

 見た目、実力とも確かなヒナは本人の意思に反して広告塔としての活躍も期待されている才媛である。


「爺さん見てろよ!俺があのモジャモジャぶっ飛ばしてやるよ!」

「その意気だ!絶対勝てよマセカギ!」

 

 ゴジは勢いよく立ち上がって笑顔でクザンの元へ走っていき、拳を構えたが、それを見たクザンはもう逃げられないと困った顔をする。

 ゼファーがゴジを気に入ってるのは間違いなく、そんな子供に怪我をさせたら自分はゼファーにボコボコにされるのが見えているので出来れば戦いたくないのだ。

 

「おいおい…マジで?ガキ…お前も怪我したくなけりゃ…」

「うっせー!モジャモジャ、ぶっ飛ばしてやるよ!」

「はぁ〜これは…大人に対する口の利き方がなっちゃないね。こりゃ、ちょっと教育の必要がありそうだこと。」

 

 二回りくらい歳が違うゴジの挑発にクザンは諦めたように両手を広げて顔を左右に振る。 
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