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ジェルマ王国の末っ子は海軍大将

作者:蒼たん
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第一章 少年期
  第六話

 ゴジは初めてみる優しい瞳をした父の顔を見て目を丸くして驚いている。


「次はゴジか……」


 正直なところ目まぐるしく変わる展開についていけてない。ゴジが計画していたのはイチジ達の性格に関わる血統因子を元に戻したことを告げてジャッジを改心出来れば幸いというところまで、最悪力づくでジャッジを王座から引きづり下ろそうとすら考えていた。


「父さん……。」


 父ジャッジが元々優しい男で、しかも兄姉達が自分の夢を知っている上でこれを叶えてくれようとしていることに驚きを隠せない。

 料理人になる事を公言しているサンジとは違い、ゴジは夢について誰にも話したことはなかったのだ。


「ゴジ、お前には今まで苦労ばかり掛けたからな。お前の夢ならば私達は全力で応援しよう。私もお前の夢についても検討がついている。」

「ゴジ、私も知ってるわよ」

「へ…?」


 兄姉だけでなく、父と母にもバレていた事に驚くゴジ。


「お前の夢は海軍に入ることだろう?」

「なっ…ほんとに皆知っていたのか!?」


 ゴジが父の言葉に驚きながら周りを見渡すと、家族が微笑ましい顔で自分を見ている事に誰にもバレていないと思っていた自分が気恥しくなって顔を赤らめた。


「うん……俺は海軍に入って…。」

「優しいお前の事だ。人々を苦しめる海賊を捕まえたいのだろう?」


 海軍に入りたい理由の”1つ”を当てられた事にさらに驚くが……。


 ───あれ?


 確かにゴジは体を張り、屈強な海賊達に怯むことなく、彼らを捕え、治安維持に貢献するある(・・)海兵達に憧れを抱いており、一緒に海へ出たいという夢を持っている。


 ───本当になりたい理由はバレてない?


 ゴジは家族達の優しげな顔を見回して首を傾げそうになるのを必死で堪える。


「貴方が暇な時に海軍の機関誌を眺めていること皆知ってるのよ。」

「俺はお前を誇りに思っている。」

「俺達の治療やレイドスーツ作りで大変だったもんな。本当にありがとう。」

「ごめん。ゴジの部屋の本棚に月刊『海軍』があることを皆に話しちゃった。」

「水くせぇな。お前には感謝してるんだ!国のことは俺らに任せてお前は自分の夢叶えてこい!」


 ゴジは家族の思いに心打たれながらも動揺しているのを悟られまいと必死にポーカーフェイスを保っている。

 確かにゴジは暇な時に海軍本部が発行している機関誌月刊『海軍』を読んでいるが、実はあるコーナーだけ熟読しているのだが……


 ───やっぱり本当の理由はバレてない!!


 そんな中でゴジの本当の理由にもある程度検討がついているレイジュだけは首を傾げながら爆弾を投下しようとする。


「あれ?でも、ゴジが見てるのって確か…」

「姉さぁ〜ん!」


 ゴジは感極まってレイジュに抱き着く振りをして、彼女の口を押さえながら耳元で囁くようにお願いする。


「しぃ〜。姉さんお願い少し黙ってて!」


 レイジュは仕方ないという顔をしつつゴジの言葉を了承したと分かるように首を縦に振ると、ゴジはホッとしてレイジュを解放してから家族の方を向いて力強く宣言する。


「うん。俺は海軍に入って、悪いヤツを捕まえる立派な将校になりたいんだ!」


 ゴジは背中にレイジュの白い目を背中に受けながらもハッキリ告げると、祝福してくれる家族の中でジャッジだけは少し思案した後でゴジの目を見ながら右拳を構えた。


「ならばゴジ、この海で戦う事を決意したお前に覇気を教える。それを覚えるまではここに残れ。」

「覇気?」


 父から発せられた聞き慣れない言葉にゴジは首を傾げる。


「ゴジ、俺の腕を見てろ…。」


 するとジャッジの右腕の肘から拳に掛けてが真っ黒に変色した。


「腕が黒くなった?父さんがさっきイチジ兄さんの拳を受け止めた時と同じ技?」


 ゴジは先程父がイチジの拳を受け止めた時に彼の右腕が黒くなったように見えたが、どうやら錯覚じゃなかったようだ。


「流石、よく見てるな?そうだ。これは武装色の覇気という。口で言うよりも体に覚え込ませた方が早いだろう……ゴジ、レイドスーツは着たままで腕をクロスさせて全力で防御しろ!」


 さっきの槍の件で分かると思うが、生身の体であるジャッジと外骨格を持つゴジでは体の強度がまるで違うのだ。

 その上ゴジはレイドスーツを纏っているにも関わらず、全力で受けろと言われたので、凄く嫌な予感がして腕をクロスしてしっかり防御姿勢をとった。


「いくぞ…」


 ジャッジはゴジが防御体制を取ったのを確認してから黒く変色した右手を真っ直ぐにゴジのクロスした両腕目掛けて打ち付けた。

 ジャッジの拳を受け止めたゴジはガンっという衝撃を受けて数メートルに渡り弾き飛ばされ、壁に背中を打ち付けた。

 ゴジが打ち付けた壁にゴジを中心として蜘蛛の巣状に亀裂が入ってるのを見て、家族達はジャッジの技の威力に驚愕する。


「ぐっ…!?いってぇぇーっ!」


 ゴジは苦痛に顔を歪ませて両手をブラブラを揺らしている。


「痛いだと……?」

「そんな……どうなってるの?」


 防御性能に優れるこのレイドスーツを着て、さらに銃弾をも通さぬ外骨格を持つゴジが痛む一撃をレイドスーツを着ているとはいえ生身であるジャッジが衝撃を与えた事にゴジだけでなく、同じ外骨格を持つイチジ達兄姉も驚愕している。


「つぅ〜…これが覇気?」

「そうだ。武装色の覇気とは体内の覇気を引き出して身に纏うことができる力だ。武装色の覇気での攻撃は悪魔の実の能力にも有効なダメージを与えられる。覇気は多かれ少なかれ誰でも持ちうる力だ。海兵として海へ出て海賊を相手に戦うならこれを体得してからにしろ!」


 ゴジは血統因子で強化されたこの体とレイドスーツがあれば無敵だと思ってたが、井の中の蛙だったことを痛感した。

 ジャッジは愛する息子の門出への最大の贈り物としてこの武装色の覇気を習得させようとしていた。


「父さん、もう一度覇気を纏ってくれない?もっとよく”見たい”んだ…」

「ん?見ただけで体得出来るモノではないが、好きにしろ。」


 ジャッジはそう言いながらもゴジの要望に応じて再び覇気を右腕に纏う。

 ゴジは再び右腕を黒くするジャッジを観察すると、体の内側から溢れるモヤのような物を右手に集中させているのでこれが武装色の覇気だと判断するが、これを模倣しようとするもゴジは自分の中の覇気を認識できない。


 ───ふざけるなよ!

 ───母さんを助けて、兄さんや姉さんを助けることが出来たらいつか叶えたいと思っていた"夢"があるんだ。

 ───それに父さんとも仲良く出来た。家族皆のお陰でようやく夢が叶えられそうなのにこんな所で足踏みしてたまるかぁぁ!


 その時突如微量であるが、ゴジは怒りと共に体の内部から沸き出る力を感じる。


 ───これが覇気か!


 ゴジはジャッジがしていたことを模倣して体から湧き上がる僅かなモヤを全て右腕に集中させる!


「「「「…っ!?」」」」


 家族が騒然となる中で、ゴジの右腕の拳だけが黒く変色した。


「はぁ、はぁ、ど…どう?」


 しかし、長くは続かずにゴジの覇気は尽きたようで右拳が元に戻ると当時に全身の力が抜けてその場に倒れそうになる。

 地面に当たる衝撃を予想していたのに予想は外れてすんでのところでジャッジがゴジを受け止めたことで、ゴジは父の大きな胸板に顔を打ち付けた。


「武装色の覇気の”硬化”を一度見ただけで体得するとは…!?」


 ジャッジの見立てでは血統因子操作により突出した戦闘能力を有する息子たちの中でも群を抜いた戦闘センスを持つゴジであれば数ヶ月もあれば取得出来ると思っていた。

 さらに通常の武装色の覇気は目に見えない鎧を体に纏うような物なのでゴジに分かるように武装色の覇気を目に見えるように1箇所に集中させて黒く変色させることで爆発的な攻撃力を生み出す”硬化”という応用技であり、ジャッジはゴジが体内の武装色の覇気を認識出来れば合格にするつもりだった。


「この子の才能は一体どれほどなのだ……。」


 自分ごときではゴジの力の一端すら測ることは出来ないと息子の才能を誇らしく思う反面、寂しさすら感じていた。


「はぁ、はぁ……。父さんありがとう。後は使いこなせるように自分で鍛錬するからさ…これで問題ないよね?」


 ゴジは倒れる自分を受け止めてくれたジャッジに礼を言うと、ジャッジの驚いた顔が徐々に呆れた顔に変わってゴジの頭を優しく撫でてくれる。


「あぁ…。」


 ───この子の力の使い方を引き出せる”師”が必要だな。


 ジャッジはかつて海軍本部において最強と呼ばれた古い友人にゴジを預けようと心に決めた。


「すごいわ!流石ゴジね。」


 ソラはよく分かっていないが、ジャッジの課題をクリアしたゴジを手放して褒めると力を使い果たしたゴジは力なく笑って意識を手放した。


「ふぅ…ありがとう母さん、俺頑張るよ……でも今は寝かせて……くぅぅ……。」

「あらあら疲れちゃったのね……おやすみなさいゴジ。」


 ソラの治療する研究に明け暮れるゴジの唯一の癒しとなったのは新規海兵募集の為に毎月発行されている海軍の一般向け機関誌 月刊『海軍』の大人気コーナー


 ”女海兵特集”


 であり、雑誌に写る戦う美女達を眺めながらいつかこんな女海兵達と一緒に海へ出たいという“夢”を抱くようになった。

 力を使い果たして父と母に抱かれて眠ってしまったゴジは立派な海軍将校となり、美人な女性海兵達に囲まれて航海している幸せな夢を見ていた。 
 

 
後書き
ヴィンスモーク家の異性に目がない血は濃ゆいというお話です。
ということでゴジ君は海軍ルートをひた走ります。 
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