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イベリス

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第十五話 慣れてきてその八

「昔は洪水もあったし昔は火事も多かったわ」
「何度も災害に逢ったわね」
「それで廃墟になったのよね」
「何度もね。それでも蘇ってきたし」
 これも東京の歴史だ、何度も大災害に逢ってきたがそれでもその都度復興してきたのである。江戸時代からそうであったのだ。
「そのことからもなの」
「災害を封じ込める為に」
 まさにその為にというのだ。
「結界はね」
「あるのね」
「そうも考えられるし。あと天海さんがね」
「あの百二十歳生きた人ね」 
 咲はこの人物も知っていた、江戸時代初期に幕府に仕えた僧侶である。
「妖術使ってたイメージあるわ」
「妖術はどうか知らないけれどこの人そうした知識があったのよ」
「結界の」
「それで江戸の街を造る時にね」
「神社とかお寺置いたのね」
「そうよ、山手線とかビルとか東京タワーは戦後だけれどね」
 勿論スカイツリーもである。
「結界を張ってね」
「東京を護っているのね」
「そこにいる人達もね」
「そうなのね」
「お父さんはもっと信じてるわよ」
 父はそうだというのだ。
「神田明神に毎年お参りしてるでしょ」
「明治神宮や靖国神社にもね」
「それでお家にお札置いてるし」
 そうしてこともしていてというのだ。
「本当にね」
「お母さん以上になの」
「こうしたこと信じているのよ」
「意外ね」
「意外じゃないわよ、あれで縁起担ぐ方だし」
「江戸っ子は縁起担ぐっていうわね」
「その言葉らしくね」
 それでというのだ。
「そうしているのよ」
「そうなのね」
「ええ、それで魔術師といっても」
「いるって言われたら」
「お母さん否定しないわ」
 こう咲に述べた。
「むしろね」
「肯定するのね」
「そうよ、ただ今魔女狩りのお話してるけれど」
 テレビの話もしてきた。
「これはもう頭がおかしいから」
「それは無茶苦茶よね」
 咲もテレビの話を聞いて顔を顰めさせた。
「もうそれこそ」
「そうでしょ、水に放り込んで浮かんだら魔女とかね」
「インチキの取り調べとかね」
「拷問も滅茶苦茶だし」
「こんなのもうおかしいから」
「私もそう思うわ」
「というか本物の魔女はね」 
 それこそというのだ。
「こんなことで捕まらないわ」
「やっぱりそうよね」
「本物の魔術が使えたら」
 若しそうだとすればというのだ。
「こんな裁判簡単に逃げられるでしょ」
「黒猫に化けられたら」
 魔女、魔術師の魔術でとだ。咲は答えた。
「それでね」
「そうでしょ」
「ええ、簡単にね」
「そう、だからこれで殺された人はね」
 何十万にも及ぶその人達はというのだ。 
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